2012年07月03日

ガール 奥田英朗

ガール 奥田英朗 講談社文庫
 
 映画が公開されていますが上映が縮小化されていますので興行は低調だったのでしょう。ギャルが暴れまわる物語かと思っていましたが違います。元ギャル、30代未婚女性を中心とした哀歌と応援歌となっています。文庫には5編の短編が収められています。そのうちの1編が「ガール」です。映画が5編すべて描かれているのか、それとも「ガール」の1編なのかはわかりません。たぶん映画は観ないと思います。内容からして仕事を思い出すし、生活をふりかえることになります。疲れます。
「ヒロくん」ヒロくんは旦那さんです。共働きで妻のほうが収入が多い。ジェンダーだったっけ。女性蔑視の問題点です。
「マンション」ひとり暮らしの30代女性がマンション購入に積極的になるお話です。うーん。所帯持ちには考えられない。石原ゆかり35才は都心のマンションを買うために仕事場での高慢な態度に封印をするのです。営業マンとの相性がよくて契約成立というのはよくあることです。
「ガール」歳(とし)のいっている30代女性ががんばる。でも無理がある。お金があるんだなーって思いました。女性の洋服に関する男性作者の積み上げはすごい。緻密です。なかなかここまで書けません。既婚でも未婚でも、子どもがいてもいなくても、人生の半分はブルーというセリフには説得力がありました。
「ワーキングマザー」ワーキングマザーであると同時に×1の平井孝子さん36才です。預けての子育ては身につまされます。ふと考えたのです。預けられた子どもは成人すると親のそばから離れていきます。預けられたことに感謝する子どもはいません。子どもを錦の御旗(みはた、こどもがいるからどうのこうの)にするという話題が出てきます。わたしはそれを読みながら、「子どもを金ずるにする人はいる」と思いつきました。
「ひと回り」12才年下新人男性に恋をする35才小坂容子さんです。無理です。それなのに彼女は自信満々です。無茶です。

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