2012年06月27日

つるかめ助産院 小川糸

つるかめ助産院 小川糸 集英社

 書評の評判が良かったので読んでみました。今、妊娠している女性、ママになったばかりの女性に読んでいただきたい良書です。わたしが、妊娠・出産の体験がない、またはすることがない男性である点で、しっくりこない部分はあります。わたしにとっては異世界のお話でした。童話のような小説です。ファンタジー(幻想)の世界です。
 人間不信に陥った孤独な人たちが集まったのが、とある南の島です。ある人の両親は自殺し、ある人は父親にだまされて失望し、またある人は死産している。そこへ、クリスマスの日に教会の前に遺棄されて、施設入所後里親に出された(里親との関係はよくなかった)まりあ28才が船で到着します。彼女の夫小野寺は失踪してしまいました。彼が失踪した理由が明らかにされないのですが、わたしは、まりあが小野寺を頼りすぎた。小野寺は我慢してきたけれどついに耐え切れなくなったと推測するのです。また、まりあが暗い過去について気持ちの整理がつかず、里親への不満を解消できないまま、いまだに不幸を引きずっている様子をみることがつらかったということもあるでしょう。
 料理の本でもあります。心を癒す料理であったり、妊婦の体によい料理だったりもします。食べ物作家さんです。過去をふりかえって、よかったことはよかったなりに、悪かったことは悪かったなりに、自分で自分を納得させる小説です。そして、赤ちゃんが運んでくるものがあるのです。
 手によるマッサージシーンがときおり登場します。てのひらは、理屈ではなく、感情とか気持ちで心と体を癒します。南の島には「幸福」があるというイメージがあります。現実にはそうであるはずもなく、「南の島」は、青い鳥のようなものです。


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