2012年06月26日

またたび東方見聞録 群ようこ

またたび東方見聞録 群ようこ(むれようこ) 幻冬舎文庫

 またたび? こどもの頃よく聞いた言葉でしたが、意味を思い出せません。ねこいらずのような、あるいは旅人を称するような、調べてみます。旅をするばくち人、芸者のようです。わたしの中では死語です。
 タイ、上海、京都の3篇から成っている本です。
「タイ」暑くて快適な環境ではないようです。その記述が多いために観光に行こうという気にさせてくれませんが、各種ホームページを見るとタイにはユーモラスな仏像がたくさんあって楽しい、また首都バンコクよりも地方がよろしいようです。
 作者を中心とした関係者4人グループの観光旅行で、狭い世界の狭い移動範囲の出来事が記録されています。文章化を前提とした旅行なので、文章のほうも字数が多い。写真と短い散文でよかった気がします。わたしは時系列的な紀行文は好きではありません。ポイントを絞った力強い記事が好みです。作者はこの旅行を楽しめたとは思えません。反面、全体をとおしてただよっているほんわかとした力が抜けた感じがとてもいい。
「上海」わたしも揚子江を見たい。236ページ魯迅(ろじん)記念館での日本人軍隊が中国人にした行為の記録は同じ日本人としてうつむきたくなります。中国人の日本人に対する憎悪は永久になくならないのでしょう。
「京都」驚くことばかりです。作者の母親が京都に一度も行ったことがなかったということで驚き、さらに作者の金銭感覚に驚かされました。新幹線の個室を利用したり、タクシーで京都巡りをしたり、180万円の着物を購入したりは庶民にはできませぬ。この章は全体を通して旅行レポートではなく、小説のような記述になっています。日常の雑記です。夏目漱石著「我輩は猫である」を思い出しました。
 旅行の内容は今から14年前のことになっています。


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