2012年06月24日

ぼくんち上・中・下 西原理恵子

ぼくんち上・中・下 西原理恵子 角川文庫

 マンガの本ですが、小説を読むぐらい時間を要します。中身は貧困生活を基礎にして、非情な内容となっています。
 13年前に出版された本になります。母親が3年間、家を出たまま帰ってこなかったという衝撃的な出だしから始まります。記述にある日常生活は、作者自身の体験からきているものでしょう。登場するのは、血がつながっているのかいないのかわからない長女らしい「かの子」であり、長男「一太」であり、次男「二太」です。ブラックジョークは素晴らしい。すごすぎて声が出ません。「絶望」を生き抜くための教育本という位置づけもあります。
 病気になっても健康保険証がない。だから病気は気力で治す。
 本の内容は、理屈っぽいかなと思うところもありますが受け入れることができます。普通に考えれば、こどもたちは施設入所の対象になるし、生活保護の適用も必要です。まじめに読み込んでいると気が狂いそうな内容です。
 戦後から昭和40年代なかばにかけて全国で見られた日常生活風景です。作中のさおりちゃんのお父さんは児童虐待、アルコール依存症、ギャンブル中毒、いいところなしですが、お父さんのお父さんもそうだったのでしょう。
 上・中・下の3巻ですが、いったいどこからアイデアが次々と湧き出してくるのかと驚嘆します。読むのにも大きなエネルギーを要します。
 16歳でこどもを産んで、そのあとの長い人生を棒に振る。後悔しながら死ぬまで過ごす。
 家族がそろって夕食をとることができるということは、しあわせなことです。下巻の最後では、号泣したくなりました。
 この本を読んで、世代間対立について考えました。昭和45年から昭和55年ぐらいの10年間を境目にして、世代のものごとの考え方が違うように感じます。
 冷房の無いバスや鉄道を共用して場所を移動していた世代に対して、生まれたときから冷暖房完備の自家用車に乗って、個人で場所を移動する世代とに別れています。


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