2012年06月23日

怪談 ラフカディオ・ハーン 湯浅卓訳

怪談 ラフカディオ・ハーン 湯浅卓訳 PHP研究所

 「16歳の教科書」講談社で紹介されていたことが読み始めたきっかけです。訳者は、テレビのバラエティ番組で見かける湯浅氏です。
「耳なし芳一」優(すぐ)れた文章です。構成もいい。奈良市東大寺二月堂のお水取りで見た炎の玉を思い出しました。鬼火です。また、山口県・福岡県にかかる関門大橋の周辺を思い出しました。源平合戦の地です。この本は、こどもたちに読ませたい一冊です。
「鴛鴦(おしどり)」本のタイトルは「怪談」ですが、怖くありません。死が身近に感じられるのは、昔の日本人の暮らしと直結していたからなのでしょう。日本語訳は、おどけた部分、あるいはくだけた部分があるのですが、とても読みやすい。こどもさん向けなのでしょう。
「おていの物語」「乳母桜(うばざくら)」「如才(じょさい)ない交渉」「鏡と鐘」鏡と鐘では、鏡の意味を考えました。人間は、古代から外見を気にしていたのか、それとも鏡は占いの道具だったのか、あるいは心を映すものが鏡だったのか。
「食人記(じきにんき)」この本の全体をとおしてですが、集中力をもって読まないと場面を想像することができません。夢想国師(むそうこくし)というお坊さんは名付け方がいい。五輪石(ごりんいし)、これはお墓の形状なのですが、わたしは、鎌倉の縁切り寺の敷地内にあった墓地で初めて見ました。苔むしていて、なんだかおでんの形のようで、どうしてこのような形状のお墓なのかと疑問をもちました。この本のこの部分に解説があり、地・水・火・風・空の意味だそうです。風林火山の由来もそこに関係があるのかもしれません。
「むじな」この本がラフカディオ・ハーン(小泉八雲)によって書かれたのは、1904年(明治37年)となっています。今から107年前です。以前見学した京都博物館が確かその頃に建設されています。
「ろくろっ首」記述はリアルです。西暦1400年頃のお話となっています。室町時代です。話ははずれますが、江戸時代が200年間ぐらい、平安時代が400年ぐらい、とても長く続いています。現代は何年ぐらい続くのだろうか。また、次の時代はどんな時代になるのだろうか。永久に同じ時代が続くことはなさそうです。

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