2012年06月20日

武士の家計簿 映画 DVD

武士の家計簿 映画 DVD

 地味な映画ではありますが、江戸時代末期から明治維新にかけての「家族」をまんなかにおいて、庶民の生活を克明に浮かび上がらせています。そろばんザムライ(藩の経理担当)を主役にして、前半は藩上層部の不正との闘い、後半は長男の教育に誠心誠意人生を尽くした男の生き方を描いた映画です。
 特典映像も観ました。森田監督はもっていたイメージとは違う方で、非常に熱心な演技指導を個別に役者さんにつけておられます。親切でやさしい人柄が伝わってきました。「よーい、スタート」のかけ声がいつまでも耳に残ります。
 家計というものは、入ってくるお金より出て行くお金が多くなれば破綻します。父子ふたりの収入よりも出費が多く、父子ふたりの収入の2倍以上の借金がある。このままこの状態が続けば、藩の役職を解かれて転居しなければなりません。
 実在の人物が書いた日記や家計簿が映画の基本となっています。めでたい席でお祝いの鯛(たい)が買えなくて絵に描いた鯛をお膳において食べる「にらみ鯛」のシーンではこどもの頃の出来事を思い出してほほえみました。まだ就学前の6才くらいの頃、3才の弟といっしょに料理本を広げて写真にある料理を食べる真似をしていました。
 主人公の猪山直之は生真面目で実直そのものの人です。賛否が分かれるところですが、息子の教育において情(なさけ)がありません。彼のような人は少ないけれど、実際にはいます。さいごのほうで彼が言う「おのれひとりのため生きてきたわけではない」という言葉に救われます。家の借金は個人が原因ではない。家の借金は家族全員で返済する。極端ともとれる節約と家族の協力が笑いと涙を誘います。

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