2012年06月18日

みなまたの木 三枝三七子


みなまたの木 三枝三七子(みえだみなこ) 創英社

 たまたまふたりの兄弟とか姉妹を扱った本を連続で3冊読みました。標題の本のほかに「おにいちゃんがいるからね」と「レンタルロボット」です。
 公害を扱ったメッセージ性の高い絵本です。東日本大震災で岩手県の陸前高田市に残った奇跡の一本松と同様に熊本県水俣市(みなまたし)に残った一本の松の木がみつめたある家族の物語です。原子力発電所と化学工場とが重なります。放射能で体を壊すか、有機水銀で命を落とすかです。
 鉛筆スケッチの絵が続きます。不安定な漁での生活を離れて、安定した工場で働く。安定した収入と引き換えに健康な体を失う。現代人が体験した経済構造で、これは、世間一般の事務とか営業の仕事にも共通します。心の病に陥る人があとを絶ちません。
 絵本では、食物連鎖に従って、山の木が枯れ始め、空から鳥が堕(お)ちてきて、犬や猫が狂い死に、病(やまい)で泣き続けた妹は亡くなります。
 おとなたちはお金がほしかった。おとうさんもおかあさんも病気で死んで、姉ひとりが残った。湾も死んで、埋め立てられた。大きな犠牲があった。長い年月をかけて海の浄化を果たしたけれど亡くなった命はもう還(かえ)らない。何を基準にして生きていけばいいのかを考えさせられます。


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この記事へのコメント
感想を書いてくださって、ありがとうございます。
Posted by 三枝三七子 at 2012年11月15日 23:49
恐縮です。
作者の方からメッセージをいただいたのは初めてです。
たいていご批判の言葉をいただくので、今回はたいへんうれしかったです。
Posted by 熊太郎熊太郎 at 2012年11月16日 21:32
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