2012年06月16日

再会 横関大

再会 横関大(だい) 講談社

 推理小説です。出だしの「髪を切る」美容室シーンは斬新で気に入りました。店長岩本万季子、彼女の元夫清原圭介建築士、佐久間直人佐久間産業社長の息子、飛奈淳一(とびな)地元警察署刑事、彼らは同級生で35歳です。彼らが23年前、小学校の校庭に埋めたタイムカプセルに、この物語の核心が納められています。舞台は神奈川県三ツ葉市、人口20万人のベッドタウンです。嘘を解き明かしていくのが、県警捜査一課の南奈(なら)刑事30歳で、彼が軸になって推理は進んでいきます。
 私立中学校受験にからんだ母親岩本万季子さんのわがまま勝手、よくいえば母性愛で、正規のルールを無視したために殺人事件が勃発(ぼっぱつ)して、周囲の人間の過去が暴(あば)かれ、予定されていた未来が崩壊します。発端は、万季子さんの小学生息子正樹くんの行動です。作中で、彼の気持ち表現が薄いことが気になります。
 読んでいて、殺された人間の素行が悪かったとは思えない。この程度の男はどこにもいます。あわせて、女性も、こんなにか弱いとは思えません。女性は強いです。
犯人が複数でみんなが仲間ということも考えました。作者は意図的に、タイムカプセルの中身を読者に知らせました。中身について、読者は公表の前に気づけます。公表した目的は何だろう。そして、誰がタイムカプセルを掘り起こしたのかも同様に知らせました。読者を混乱させるためという目的でしょう。わたしは、もしかしたら、もう1個タイムカプセルが校庭に埋められているのではないかと推理しました。
 23年前、12歳の4人に何があったのかをドラマチックに記述してあるのは成功です。銃弾の発射数は、気になるところです。読みながら何度も計算しました。飛奈淳一刑事は殺されるのではないかと心配しました。銀行強盗大島伸和45歳の共犯者は早い段階で、銃のトリックとあわせて気づくことができました。されど、トリックの手法がなかなかわかりません。全体で326ページ中の293ページまできてようやくひらめきました。


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