2012年06月15日

鹿男あをによし 万城目学

鹿男あをによし 万城目学 幻冬舎

 「あをによし」と聞けば奈良を思い浮かべます。「あをによし」の意味は知りません。でも「あをによし」は奈良なのです。枕詞(まくらことば)でしょうか。
 本書には奈良の有名な寺社・遺跡がたくさん登場します。観光案内書の趣もあります。ことに東大寺周辺の講堂跡、大仏池、転轄門(てんがいもん)などは、わたしも訪れたことがある場所なので、主人公が鹿と語る場面は現実味を感じました。
 主人公27歳ぐらいを最初は大学生と思いましたが、その後の展開で、どうも大学院の学生さんか助手の方のようです。その主人公が東京から奈良女学館高等学校へ臨時講師として赴任するわけですが、「坊ちゃん」夏目漱石著や「二十四の瞳」壺井榮著のような雰囲気で始まります。
 表面上は一見、平穏無事に流れているような社会ですが、一歩組織の一員として労働社会に踏み込めばさまざまな問題に引きずりこまれることが世の習いです。今回は富士山噴火とか大地震の発生のようです。大ナマズに 鹿、狐、鼠(ねずみ)の三角関係がからんできます。
 高校1年生堀田イトに対する主人公の叱責は世界が狭い。主人公には幻覚や幻聴があり、彼は精神病なのだろうか。ネズミ、キツネ、シカの話はどこまで信用できるのだろうか。
 コミック、マンガのようだ。地震で日本が滅びるのなら滅びることしかないだろうというのが中高年のわたしの意見です。自然災害を完璧に避けることはむつかしい。
 全体で400ページぐらい。長い物語を読み終えることは、高い山頂に登頂した気分と同じです。だからコツコツと本を読んでいます。
 道端での排泄話は、トイレのドアが無い中国とか、そういえばグァム島の公園のトイレにもドアがなかったと思い出させてくれました。
 剣道の試合中継は、積み上げた練習の成果がないという不満をもちながらも興奮しました。
 「サンカク」探しの推理小説になっています。娯楽作品となっています。


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