2012年06月15日

三人姉妹 大島真寿美

三人姉妹 大島真寿美 新潮社

 短編集です。冒頭の「三人姉妹」はいい出来です。同作者の「香港の甘い豆腐」は読んでよかった作品でした。この本では、三人姉妹の長姉が祖父江亜矢さん(既婚こどもあり)、次姉が福地真矢さん(未婚)、そして主人公が姉ふたりからは歳の離れた大学生福地水絵さんです。父親はタイ国へ単身赴任中で、わけありで夫の帰国を望まない母親がいます。ひとつの文章が長すぎる嫌いはありますが、味わいがある文章です。結婚というものは、愛し合うふたりだけであれば問題は少ないのですが、親兄弟その他親族がからんでくるとぐちゃぐちゃになります。入籍しなければ長くつきあえたのにということはあります。
以下各短編のひとこと感想です。
「ジ・エンド」主人公の水絵さんと恋人未満の右京くんとの恋の様子です。こういう書き方はこの作家さんでしか表現できない個性です。
「恋の季節」上手ではあるけれど、50歳すぎのわたしにとっては内容が幼い。
「調和の幻想」何十年も前にしでかしたエラーをつい今しがた起こったことのように話題にして相手を責めるのが夫婦です。
「セカンドチャンス」「ゴーストシネマ」もう30年ぐらい前に流行った(はやった)桜田淳子さんの「しあわせ芝居」(作詞作曲中島みゆきさん)という歌を思い出しました。
「天国は待ってくれる」世の中にはいつまでも同じ場所にいる人とそうでない人がいる。

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