2012年06月14日

世界は危険で面白い 渡部陽一


世界は危険で面白い 渡部陽一 産経新聞出版

 作者は報道カメラマンです。世界各地の紛争地域へ入り込み、現地の状況を撮影しています。
 9ページ、アフリカにて、こどもが体重を測る場面の写真とコメントは気に入りました。75ページ、戦時下にある戦地でお寿司屋さんが営業している記事もいい。イスラエル、イラクの記事は心に重くのしかかる。171ページ、たくさんの野犬に襲われた経験の記事は迫力がありました。(この本と同時期に「告白」町田康著を読んでいたのですが、主人公が同様に野犬の群れに襲われる場面があり迫力が倍増されました。)作者がマラリアに感染してまで写真撮影をしたい動機を知りたい。取材という仕事だからなのか、それとも作者自身に放浪癖があり、一箇所でじっと生活することが性格的にできないのか、凡人は、安定した生活を望みます。作者は、家族や友人との語らいの少ない、とんがった生活を送っているように感じました。
 精神の平穏を保つために宗教とか信仰があると感じました。人間とは何なのだろうとも考えました。人間は結局、殺し合いをやめることができない。歴史をふりかえれば、古代から争いばかりです。
 食べ物に関する先入観はなかなか排除できないのですが、作者は果敢に挑戦しています。空腹だから克服できるようです。
 187ページ、船中での遺失物話にはもらい泣きをしました。人は真面目に生きていれば、必ずいいことがあるという事例でした。

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