2012年06月13日

信長の棺(ひつぎ) 加藤廣

信長の棺(ひつぎ) 加藤廣 日本経済新聞社

 主役は太田牛一、信長を慕う警護役の家臣であり、かつ伝記作家でもあります。秀吉から信長や秀吉の伝記執筆を依頼されています。
 本能寺の変で亡くなった信長の遺骸が見つからない。それを探す推理小説になっています。織田信長氏の偉大さが伝わってきます。世界の中の日本の立場・発展途上の位置を正確に理解し把握して将来の日本像を描き日本を発展させていく。そこに、私利私欲はみられません。信長はうつ病になるときがあって、そのときに虐殺や殺戮(さつりく)が起こるそうです。
 桶狭間の合戦における策謀、陰謀がきっかけとなって、信長の死についても同様の策略があったと信じこませてくれる説得力があります。235ページあたりから続く牛一と若くて魅力的な女性楓(かえで)との男女関係の話は、歌探しをする長崎ぶらぶら節、なかにし礼著に登場する学者さん、そして遊女と重なりました。
 物語における真実の解明と推理に、はらはらどきどきしました。秀吉の中国大返しを始めとして、自分の頭の中にある日本地図上で、時を越えて複数の人物たちがこの安土桃山時代に重なるように現れては消えるという幻を楽しみました。
 第6章は秀逸です。織田信長氏の人格とか素養とか寛大さについて考えました。


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