2012年06月13日

信長とフロイス ルイス・フロイス

信長とフロイス ルイス・フロイス 中央公論新社

 新聞で見た歴史と地理の記事がきっかけになってこの本、それから、秀吉に関する同作者の本を買いました。
 フロイスとは何者なのか。信長や秀吉と同時代に生きたキリスト教宣教師のようです。実物の信長や秀吉に会ったことがある人の記述です。今から450年ぐらい前の出来事です。
 読む前に期待していたことは、読み終えてからは、期待はずれでした。信長については、その残虐な性質しか残りませんでした。当時の日本人の暮らしぶりを知りたかった。きっと、のんびり暮らしていたに違いないという思い込みで読み始めたのですが、堕胎が日常茶飯事で行われており、乳児の死体を野良犬たちが食べていたという記述は、衝撃を受けつつも受け入れたのでした。また、別の本で、時代はさかのぼるのですが、貴族が木造家屋で暮らしていた頃、庶民はまだ、竪穴式住居で暮らしていたという記述には真実味がありました。
 内容のほとんどは宗教活動に関するものに終始しています。わたしにとっては興味の湧かない部分なので、その部分は読み飛ばしました。現代にも存在する地名がたくさん登場します。自分が知っている場所、行ったことがある場所、住んでいたことがある場所。それが意外であり、歴史を身近に感じました。
 現代人たちが、その当時の日本にタイムスリップしたら信長に皆殺しにされてしまうでしょう。ネズミがたくさんいる家屋、キリスト教と仏教との緊張した関係、信長は大声で話をする人だったそうです。14年間独裁者として天下を支配した人物です。
 感じたことは、人間は歴史の流れの中で「個人」という単体で、同じような体験を繰り返していく生き物というものでした。永遠に生き続けることができる人間はいない。知識や体験の世代間継承は簡単なようでなかなかできない。だから、同じような過ちを何度も繰り返しながら、人が入れ替わるだけで、時代が流れていく。
 都(みやこ・京都)やその周辺地域以外に住んでいた人々の暮らしぶりを読んでみたかった。警察組織がないこの時代に、人々はどうやって生活の秩序を保っていたのだろうか。
 読み終えた後、今は、秀吉編を読み始めています。フロイスは、秀吉は「下品な人」というレッテルを貼っています。

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