2012年06月12日

全訳 マルコ・ポーロー東方見聞録


全訳 マルコ・ポーロー東方見聞録 青木和夫訳 校倉書房

 初めて読みました。誤解がありました。マルコ・ポーローは冒険家で単独にてシルクロードを歩いた人ではありませんでした。時は日本の鎌倉時代、マルコはまだ15歳、父親と叔父と一緒に商売の旅にイタリアヴェニスからスタートしています。再びヴェニスに戻ってきたのは25年後、マルコは40歳に達しています。
 記述の中にあるのはまるで映画の中の風景です。アジアの様子です。王がいて、一夫多妻制で、世襲です。支配する者の権力は強大です。一族内の権力闘争があって、毒殺がある。日本も同時期に同様な形態の社会がありました。国は発展して堕落の経過をたどり侵略や内戦によりやがて滅びていく。タルタル人、サラセン人、ジェノア人、アルメニア人、ジョルジャ人、トリシン人、カタイ人は今の何人なのかわからない。ドイツ人、フランス人、ユダヤ人、トルコ人はわかる。キリスト教、マホメットの宗教があって、偶像崇拝の宗教がある。
 移動手段は徒歩、馬、船、砂漠はらくだ。移動日数はかかるけれど気にはしていない。砂漠は8日間で通過する。通過してしまえば、何日かかったかは問題ではない。
 事実の記録というよりも小説っぽい。よって、正確性に欠ける部分もある。日本に関する記述は数ページに渡る。東大寺大仏殿のような巨大な建物がすべて金でできている。金の厚みは指2本ある。日本人は他の民族を殺して食べる。子供の頃、外国には人食い人種がいるという漫画を読んだことがあるのですが、昔は外国人が日本人は人食い人種だと考えていたことがわかりました。知らないということは怖いことです。昨夏に読んだインパラのなんとかという本に世界は誤解と錯覚で成り立っているという記述があったことを思い出しました。鎌倉時代ですから元寇(げんこう)の記述があります。元は大風(台風)に負けた。優しいチベット人というイメージがあるのですが、本書では、チベット人は野蛮で残酷と評されています。
 金糸、絨毯(じゅうたん)、宝石、暦(こよみ)、飛脚、駅、戦争。アジア世界の記録です。

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