2012年06月10日

東洋ごろごろ膝栗毛 群ようこ

東洋ごろごろ膝栗毛 群ようこ 幻冬舎文庫

 台湾編と北京編になっています。わたしは、台北と北京に行ったことがあるので、そのときのことを思い出しながら読み始めました。
 いやはやにぎやかな旅行です。いままでに女性のひとり旅の本を何冊か読んだのですが、その内容は、やはり淋しさが旅の道連れでした。この本は、作者と作者の友人たち、どちらかといえば、恋人とか配偶者に恵まれない人たちの破天荒な旅行となっています。
「台湾編」選挙制度の実施開始が、1996年と浅いことを初めて知り驚きました。参加者は男性3人、女性4人、合計7人です。わたしは、テレサ・テンのCDを聞きながら部屋でこの本を読み始めました。彼女が台湾人なのか、香港人なのかは知りませんが、彼女の歌声は疲れた男性の心を慰めてくれます。
 ウシハラ君の乳毛の話は、台湾とは関係の無いことなのですが、人生のわびしさがあります。温泉話には、人間のやさしさの原点があり、著者自身が評価する自分が書いた売れない旅行記という表現には、楽しくなります。137ページにある親切で優しい台湾の人々は、かつての日本人の姿でもあります。
 夢や希望や品物や体験を苦労して手に入れる幸せを実感したい。3分間でラーメンができることに始まって、瞬間的に手続きが済むとか、短時間で移動ができるとか、今の日本は便利すぎる。わたしは、もっと早く生まれたかったと思うことがあります。便利になればなるほど感動しなくなり、便利でなければ不満を言う日本人が増えました。
 世界に共通する「お寿司」の魅力はどこにあるのだろう。先日読んだ、「世界は危険で面白い」渡部陽一著産経新聞出版でも、戦時下のレバノンで営業している寿司屋があるという記事を思い出しました。
 歴史や自然を訪ねる旅行記というよりも仲間内のコミュニケーション話に終始するのですが、読んでいて苦にはなりません。
「北京」この部分を読む直前に妻と娘から「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」を知っているかと訪ねられ、聞いたことがないと返事をしたところ、この部分を読み始めたらすぐに「冬虫夏草」を買う記述に出くわして驚きました。薬のようです。冬は菌で、夏には草になるようです。
 記事の最初のほうにある強引な「物売り」にはわたしも閉口しました。押し売りの言葉だけではなくて、観光バスを下車した途端にいきなり商品の野球帽をかぶせられたり、何気なく商品を手にもたせようとしたり、悪質です。お互いの知恵比べみたいな面もあります。万里の長城で、押し付けられるがままに買い続ける若いアメリカ人男性を見たときには、彼は心を病んでいるのではないかと思いました。全般的に貨幣価値が低いので、購入しても多大な出費にはならないのですが、品物はごみ同然のものが多いようです。
 内容は歴史学習からほど遠いもので、世間話に尽きます。おみやげ、酒、食べ物、男と女、お買い物と井戸端会議のようです。283ページ付近の扉のないトイレの話とか人力自転車の話はとても楽しい。


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