2012年06月10日

土佐日記、蜻蛉日記(かげろう)、とはずがたり


土佐日記、蜻蛉日記(かげろう)、とはずがたり 小学館

「土佐日記」紀貫之(きのつらゆき)さんの作品です。作者は男性ですが主人公は女性です。日記なので、ふつうは男性のままで記録すると思うのですが、何か意図があったのでしょう。土佐から京都までの旅の記録です。西暦でいうと934年なので、平安時代です。文中にむかしの人はこうだったというくだりがあります。その昔は、716年奈良時代です。そして、2010年の今、わたしは、彼の旅行日記を読んでいるのです。子を亡くした女性の悲しみがせつせつと繰り返し語られています。また、異性との別れ話もあります。月、海、自然に囲まれて人々は暮らしていた。いくつもの和歌が添えられています。作品自体は短いものでした。仙洞御所(せんとうごしょ)に紀貫之さんの家があったそうです。仙洞御所は以前見学しました。氷室(ひむろ)がありました。冬の間に凍った氷を地面の下のほうで保存するものでした。
「蜻蛉日記(かげろう)」女性の作品です。男が3日続けて通うと婚姻が成立するそうです。一夫多妻だったのでしょう。今でいう婚姻届はなかっただろうし、戸籍制度自体がなかったでしょう。こちらの作品も自然とか、情(じょう)、子に関するものになっています。
「とはずがたり」1271年から1306年、作者が14歳から49歳までの半世記となっています。原文は、和歌が合体したような文章です。外国語のようです。皇族の暮らし、宮廷の様子です。心地よいリズムがあります。当時の京都の風俗史でもあります。この頃、学校はなかったわけで、こどもたちは毎日何をしていたのだろう。労働力としかみられていなかったことでしょう。源氏物語ごっこみたいな遊びがあります。原文は、意味はとれませんが、生き生きとしていることはよく伝わってきます。後半では、仏教を始めとした宗教について考えました。だれしも死期が近づくと宗教にすがりつきたくなります。

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