2012年06月09日

無趣味のすすめ 村上龍

無趣味のすすめ 村上龍 幻冬舎

 短文のエッセイ集です。文字が大きいので読みやすい。1日あれば読むことができる230ページほどの本です。
 「仕事」は憂鬱なものであり、失意と絶望の隣り合わせという定義には共感しました。仕事をしている限り、目の前には避けては通れない争いごとが待ち受けており、そのことが常に頭の片隅にあるわけで、その圧迫から逃れたいがために旅に出て気分転換をするわけですが、作者によると、そういうことをするための趣味をもつ必要性は、本来ないというご意見です。
 DV(ドメスティックバイオレンス・家庭内暴力)の原因は「依存」にある。怒りの源は「依存」にあると解釈しました。だれだれが、なになにをしてくれないから、あるいは、このようにしてくれないから、という気持ちが怒りに変化していきます。自立した人には、怒りが生じません。なぜなら自分ひとりで事を成し遂げる能力が身についているからです。身近な親族や他人を頼らない。そうすれば怒りも生じません。
 「集中」と「緊張」は違う。緊張しているときには集中できない。そのとおりです。肝心な瞬間にはリラックスできる度胸と体験の獲得が必要です。
 他者のことよりも自分のことを考える。これも怒りを生じさせないコツです。自分のことしか考えていないということとは、意味合いが違います。
 中盤に、日本がつぶれてもトヨタは残るとありますが、思いがけない状況が起こっており、未来を定義できる言葉はなくなりました。
 作者は、物事を判断するときに「意味があるかないか」を物差しにしています。この作者の作家としての特徴です。
 「発想」に関して、一線を超えるという説明には共感します。30代の頃、とことん突き詰めて考え抜くと、ある一線を超える瞬間を味わうことがありました。超えた瞬間にアイデアがこぼれ落ちてきます。ただし、その超えた一線からすぐに戻る努力をしないと発狂します。


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