2012年06月07日

墓場の少年 ニ-ルゲイマン

墓場の少年 ニ-ルゲイマン 角川書店

 とある夜半、両親と姉が自宅で殺し屋に殺されます。殺戮(さつりく)の現場から、まだ1歳半だった男児だけが偶然墓場へまぎれこみます。殺し屋は男児を殺すために墓場まで追いかけて来ます。墓場に棲む幽霊たちが男児を助けます。殺し屋の名前はジャックです。幽霊たちは男児をボッド(名無しという意味)と名付けます。男児は、幽霊の養父母をもち、サイラスという教育係に守られ、何百年も前に死んだ王侯や魔女や詩人と交流をもちながら育っていきます。ジャック一味は、殺しそこねたボッドを探し続けます。成長したボッドは、殺された父母と姉の復讐をするために、ジャック一味へ戦いを挑んでいくというストーリー展開になります。
 墓場で幽霊に育てられるという設定に興味をもって、本を手に入れました。読み始めは、ゲゲゲの鬼太郎とか悪魔くんを思い出します。ホラー(恐怖)のようでそうではなく、怖くはありません。ボッドは心の優しい少年に育ちます。魔女ライザを気の毒に思い、お墓がない彼女のために墓石を建ててあげようとします。
 ボッドは幽霊たちに教えられて人間にできない能力を身につけます。見えないものが見えたり、他人の夢の中に登場したり、姿を消すこともできます。作中ではそういった能力を正義のために使うわけですが、間違って使えば悪魔にもなれます。そういったことから本読みはかなりおもしろい。
 ボッドは勉強がしたくて周囲の反対を押し切り学校へ通い始めます。そこにあったのはいじめです。魔女狩りの話も含めて、人間の心の暗い部分を浮き彫りにしていきます。悪い出来事をひとりの人間のせいにして、その人間を集団でいじめぬいて殺すまでに至る。人間はそういう性質をもった生き物です。
 ジャックは最後にボッドを殺すのではないかと心配するほどボッドは追い詰められます。戦いの場である墓地はボッドのホームグラウンドであることから16歳のボッドに油断があります。
 ボッドが10歳のとき、生者たちと死者たちとのダンスまつり「マカブレイ」が開催されます。ボッドは生きている者と死んでいる者とを結びつける能力をもっています。シャーマンと呼ばれる人たちです。死者の霊が、生きているボッドを仲間として受け入れた理由でしょう。


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