2012年06月05日

インドな日々 流水りんこ


インドな日々 流水りんこ(ながみりんこ) 1巻~3巻 朝日新聞社

 漫画「働くインド人!!」を読んで興味をもち、続けて同作者の漫画兼インド国案内随筆を読み始めました。
「1巻の感想」女子は意外に「うんこ話」が好きです。この巻はかなり汚い。ただ、作者はだいぶ年齢がいっているようで、話の種自体は20年近く前のものとなっています。その後インド国の衛生状態は改善されていると思いたい。以前読んださくらももこさんの「もものかんづめ」「さるのこしかけ」「そういうふうにできている」の3冊のうちのどれかにインド旅行記がありました。やはり汚物ネタでした。すこやかな笑いを誘われました。本作品の場合、驚愕(きょうがく)と目をそむけたくなる嫌悪が生じます。ふりかえってみれば、小学校低学年の頃の昔の日本には、本書にあるようなインドの暮らしがありました。具体的なことはここには書きませんが、郷愁に誘われました。なぜという思いは消えません。なぜ、作者はこんなひどい経験をしたがるのか。悪意をもって考えるなら、漫画・文章のネタを仕入れるためという結論にたどりつくのです。作家は自分をさらけだしながら収入を得る宿命があるのです。(その後、第3巻の末尾で、作者自らがそう語っている記事にたどりつきました。)
「2巻の感想」前作の1巻から2年が経過しているようです。この巻では、インドの宗教、性、言語を核にひとり旅の体験が書かれています。ただのマンガではありません。文化解説書を読むぐらい時間がかかります。ひとり旅の孤独な作者がいて、5人家族のママである作者がいます。こちらの漫画では、孤高の少女が描かれていて、その点で未婚時の過去のふりかえりとなります。通貨の単位「ルピー」はかわいらしい。なんだかんだいってもインド人は親切だから再訪したくなる。詳細なエジプト記事からは行った気分になれる。この本を読んで、エジプトにしろインドにしろ、行きたい気持ちにはなれません。読むだけで十分です。きれいごとではない現地の生活がレポートされています。宝石はお守りという記事があります。お守りがないとこわくて旅はできません。
「3巻の感想」最後の3巻が一番読みやすかった。1巻と2巻は漫画とエッセイ部分の内容が重複しています。読み疲れる原因はくどさでした。内容も面白かった。ホラー(恐怖)が中心となっています。笑ったのは、ガンジス河にかかる橋を渡り始めたら途中で板が流されていて、鉄骨にお尻をつきながら対岸まで渡った部分でした。120ページ付近では自殺に関する考察が記されています。バックパッカーが孤独な気持ちになったら自死が待ち受けている。最後に、インド人のよさは「気持ち」とか、インドの雰囲気のよさは「密度」にあると解説されています。以上3冊でインドを満喫しました。

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