2012年06月02日

あなたに褒められたくて 高倉健

あなたに褒(ほ)められたくて 高倉健 集英社文庫

 わたしが作者について知っていることは、やくざ映画の俳優だった。福岡県の出身で家出した。日本映画「幸せの黄色いハンカチ」この映画を見た旧ソビエト連邦に住むおばちゃんが号泣した。作者は歌手と結婚して離婚した。かたくなで無口に見えるけれど実はよくしゃべる。(そんなふうには見えない。)
 「あなたにほめられたくて」のあなたは、お母さんです。この本の内容は、思い出のふりかえりです。読みながら書き手は作家ではないと、あたりまえのことですが、再確認しました。
 体験の数々が尋常ではありません。凡人には経験できないことばかりです。映画のロケというのは長い海外生活です。体験の質が違います。すごすぎる。モンゴルでの「映画」の地位の高さには驚きました。同国は文化を大切にする国です。
 なりたくてなった役者ではないそうです。たとえば、美しい役柄の女優さんというのは、なりたくてなるのではなく、なりたくなくても周囲がならせてくれるものなのでしょう。
 読みながら自分はこの人(書き手)とは違うという強い印象が生まれます。書き手と同じような生活はできないと首を横に振りながら、また映画の世界でも働けないと思い知ります。先日、千利休の本を読んだのですが、高倉健氏と千利休氏は性格において共通するものがあると感じます。頑固、追求、極めるというところです。
 この本の全編を通じて「旅」が綴られています。
 書中に「催眠術」の記述があります。書き手や読み手を始めとして、世界中のすべてのひとたちが催眠術で動いているのではないかと、読み終えて感じたのです。

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