2012年06月01日

初恋温泉 吉田修一

初恋温泉 吉田修一 集英社文庫

 5つの短編です。いずれもさまざまな形態のカップルが主人公となっています。ただ、「ためらいの湯」と「風来温泉」は作者の意図がわかず、読み終えても何のことかさっぱりわかりませんでした。
「初恋温泉」落ち着いた文章です。温泉に行きたくなりました。同時期に「ゲゲゲの女房」武良布枝(むらぬのえ)著を読んでいました。ふたつの本の内容を重ねて楽しみました。ゲゲゲの奥さんは、夫婦の片方だけのしあわせはだめよと口を尖(とが)らせているのです。
「白雪温泉」読み始めてすぐに、この場面に記憶ありとひらめきました。やはり青森空港でした。わたしは以前2回青森県を訪れました。八甲田山の頂上は音のない世界でした。精霊たちの棲(す)む空間でした。それは、この短編の秘密を解き明かすヒントです。わたしは、読んでいる途中で、不思議な雰囲気をかもしだしているカップルの秘密がわかりました。ひとにやさしくしてもらったことがない人は、人にやさしくできないとか、こどものころ虐待やいじめを受けた人は、人間不信になって、おとなになってから接客業は向かないだろうとか、そんな余計なことまで考えました。
「純情温泉」この短編は最高に愉快です。高校生カップルのユーモラスな交際の様子です。健治君ののんきさがいい。健治君の父親の言動もいい。現実は、ロマンチックなものではなく、「新婚さんいらっしゃい」みたいに、面白おかしいものなのです。


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