2012年05月30日

うまれてきたんだよ 内田麟太郎


うまれてきたんだよ 内田麟太郎文 味戸ケイコ絵 エルくらぶ

 児童虐待を責める絵本です。主人公である生まれたこどもは、親に虐待されて3年で死んだのです。絵に登場するこどもさんは男の子に見えます。暗い表情です。彼はしゃべりません。あるいはしゃべれません。おとなだって、人間関係が嫌になったら、しゃべらなくなります。
 人間という生き物は、誰かを責める、誰かに当り散らす、誰かをいじめる性質をもっています。この本を読みながら泣ける人は少ないでしょう。不条理に気づきつつも、自分にもこの子の親のような性質をみつけるからです。読みながら眉間に深いしわができるほど表情は厳しくなります。強い志をもたないと虐待の撲滅は達成できません。きょうもまた、だれかがだれかをいじめぬいています。
 70歳近い作者の叫び声が聞こえてきます。物語の構成は、「結果」→「疑問」→「笑いたい欲望」→「愛情」→「自然に還る(かえる)」となっています。亡くなったこどもさんには、花が捧(ささ)げられています。花は、「祈り」です。


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