2012年05月27日

コッペリア 加納朋子


コッペリア 加納朋子 講談社文庫

 コッペリア? コッペパンとロッテリアしか思い浮かばない。読んでみると人形が登場する舞台劇を指すようです。如月まゆら(きさらぎ、本名春野真由子、人形製作師、自殺願望者)がつくった人形とそっくりな顔をしたアングラ劇団の女優聖(ひじり、本名聖子、パトロンあり)に恋をした(人形のほうに)大学生了(りょう、両親も養父母も事故死)に聖の後輩である美保、同じく親戚である佐久間宅、同じくパトロンである小野寺創也などがからんできます。
 人形さんに恋する世界は、わたしが苦手とする世界です。好きな作家さんですが、本作品はいつもと筆致が違う。天性の文才を感じるけれどこの記述手法は作者に似合わない。文章に硬さと緊張感がある。他の作品との共通点としては、名前の由来にこだわるところ。
 漫画「ガラスの仮面」の記述はなつかしい。北島マヤとか月影先生とか。もう25年ぐらい前、3か月ほど入院していたときに、病院の前にあった書店で買ってきて病室のベッドで読んでいました。
 共感を呼びながら文章に引き込まれていった部分もあるけれど、ややこしい。「たけくらべ」樋口一葉(ひぐちいちよう)を思わせるシーンもある。265ページまできて事件が終息した。しかし、あと100ページも残っている。作者はこのあと何を書くのか。
読み終えて感じたことは、女子の心理は複雑で難しいということでした。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t79276
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい