2012年05月26日

風が強く吹いている 三浦しおん


風が強く吹いている 三浦しおん 新潮社

スポーツライターの文体である。
その書き方は書き進むにつれて落ち着いてくる。
漫画チックでもある。コミック漫画のページをめくっているようだ。
こんなことはありえないという話だ。作者はラストシーンをどう置くのだろうか。
映画「しこふんじゃった」「ウォーターボーイズ」系の内容である。
登場人物ハイジは竹中直人だ。
作者が読者に伝えたい意思は「嫌なことが世の中にはいっぱいあるけれど楽しもうよ!」ということである。
本を読むよりも映像で見たほうがいいと思った。
読み終えてみると本を読んだほうがいいと思った。
駅伝を素材にしているけれど駅伝の話ではない。
走り方には人生の学びがある。自分には自分の能力と継続維持のための速度がある。
限界を超えた走力の空想空間は漫画「スプリンター」と同じだ。
競馬のようでもある。
映像化されるときには原作どおりにはいかないのだろう。

(上の感想を書いた数年後に映画化されて、今回ケーブルテレビで観ました。以下は映画の感想です。)
風が強く吹いている 映画

 気持ちがいいさわやかな青春群像作品でした。小説は読んだことがあります。名作です。小説の文章と映像は違います。小説では、「ひたひたひた」と後ろから駆け足が近づいてきます。映画では駆ける映像が映ります。違っていてもいい。表現したいことは同じです。箱根駅伝に大学生たちが挑戦する内容です。それぞれはそれぞれが生きる重みをかかえています。家族であったり、病気であったり、障害であったりします。「速さ」だけでは勝てない。「強さ」が必要というセリフにあるとおり、速くても弱かったかれらは協力し合って徐々に強さを増していきます。
 ハイジとクララとユキちゃんは、アルプスの少女ハイジからとったのでしょう。原作者三浦しをんさんの小説ではときにその名付け手法がとられています。本屋大賞受賞作「舟を編む」もそうです。かぐや姫でした。
 駅伝シーンが長い。1冊の本を2時間の映画に納めることはむずかしい。本も読んでください。映画とは違ったおもむきがあります。

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