2012年05月26日

采配(さいはい) 落合博満

采配(さいはい) 落合博満 ダイヤモンド社

 昔、なにかで読んだ落合前監督の話として、仕事がなかった頃は、東京の公園でホームレスをしていたというものがあります。本当かどうかわかりませんが、本当ぽいものを感じさせてくれる人柄です。大学は中退、同野球部も退部という経歴は事実です。なのに、たいしたものです。最終ページに8年間で4回もリーグ優勝をしたのではなく、4回もリーグ優勝ができなかったという趣旨のことが書いてあります。ほほえみました
 300ページあります。半日で読むことができる文章量です。いつ原稿を書いたのだろう。これまでのシーズンオフに書き溜めてあったものを追加、推敲(すいこう)したものと考えます。監督を辞めたから書ける事も書いてあります。現役選手の固有名詞も登場します。最初はおとなしい内容を予想していました。違います。強い口調、時には激しい主張があります。びっくりしました。本が主張しています。
 野球の犠牲になったのが子育てだった。24時間、野球のことだけを考えながら生活していたら、息子は成人していた。野球の評論は結果論。77ページ、山井投手の幻の完全試合、256ページ、開幕投手に川崎選手を起用した理由が書かれています。涙がにじみました。ドラマを始めたのです。太い杭(くい)を打ち込んだのです。奇跡を起こすことに通じます。昨年滋賀県を旅した折に、立ち寄ったおみやげ屋で関西からきた小学生たちが「中日はどうしてあんなに強いんだ。ふつうあきらめるだろ!」と阪神ファンなので叫んでいました。落合監督の指導についていった練習量の多い選手たちのおかげです。
 監督の選手に対する愛情は強い。選手を守る。選手の家族の生活も守る。現実的な視点は好きです。選手へのメッセージがこめられた本です。記述は熱い。体技心、勝利より勝負、植物化・ロボット化した指示待ち人間の現代若者に対する対処法などが書いてあります。無理して一般企業向けに書いた部分もいくつかみられます。「野球」を他の業種に置き換える必要はありません。読み手が考えることです。
 メディア(マスコミ)に対する抗議があります。ごもっともです。ラスト付近は、日本人の能力の衰退について警鐘を出しておられます。同感です。お疲れさまでした。またどこかのチームで監督をしてください。ファンは楽しみに待っています。


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