2012年05月25日

サクリファイス 近藤史恵

サクリファイス 近藤史恵 新潮社

 読み終えて背筋に電流が流れるような感動がありました。読んでよかった本が3冊続きました。「赤い指」東野圭吾著、「いつかパラソルの下で」森絵都著、そしてこの本です。サクリファイスというのは英語で「生贄(いけにえ)」とか、「(だれかのために)犠牲になる」という意味だった。伊坂幸太郎氏にも同名の短編があった記憶です。
 素材は自転車のグループによる競技です。日本ではなじみが薄いので、ルールを知りませんでした。前半部分で、その精神が語られて納得します。チームのエースを勝たせるために犠牲になるアシスト役の選手が必要なのです。エースは石尾豪さん33歳です。アシスト役が白石誓(ちかと読むのかちかしなのかわかりませんが、振られた彼女初野香乃さんにはチカと呼ばれています。)23歳です。チームの名称はなんとかオッジとかそういう名前でした。ほかに赤城さん36歳、エース候補の伊庭君23歳(いばくんで読み方はいいでしょう。)斎木監督に篠崎さんという選手もいました。
 主人公がしゃべるときに「ぼくは」という単語は入れないほうがいい。幼くなります。それから語尾が弱いと感じました。香乃さんのような女性はいない気がしますが、作者は女性なので、男性のわたしの思い違いでしょう。なにせ香乃さんの男性観はめちゃくちゃです。貞操観念がありません。
 ドキュメンタリーのようです。レースシーンには血が湧き踊ります。覚醒効果があります。アシストの白石君は自分の高い実力を知らない。読んでいる最中は、自転車のサドルにまたがっている気分でした。スピード感あり。最高です。以前読んだ「凍れる牙」の主人公アラスカオオカミ犬のハヤトだったかハヤテだったか、忠犬ハチ公とは外見が全然違うタイプなのですが、彼を思いだしました。彼は風を切って走るのです。
 過去に石尾さんの生贄(いけにえ)となったらしき袴田(はかまだ)一平さんはなにかをたくらんでいる。
 正直言って、最後のほうの種明かしはめんどくさい。こんがらがりすぎです。されど心に残ったいい作品でした。


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