2012年05月24日

いとしのヒナゴン 重松清

いとしのヒナゴン 重松清 文春文庫

 最初に、昔新聞をにぎわせた「ツチノコ」騒動を思い出し、それがヒントになっていると勘違いしました。最後にある作者のあとがきでは「ヒバゴン」となっています。そういう怪物もいました。
 お役所ものの物語です。主人公は女性で、のぶちゃんこと石井信子さん25歳、東京から広島県へ帰郷します。町長が五十嵐一郎さん、彼は元暴走族40歳で、ふたりの幼ななじみたちが周囲を固めます。
 ヒバゴンは実在するのかしないのか。完全否定をしない人間になろう。それがこの物語のメッセージです。人間と機械の違いです。人間は完全否定をしなくても生きていけるのです。
 信子さんが、ひいおじいちゃんである亡石井健作さんを信じる気持ちは熱い。教育委員会職員西野さんの比奈町を思う気持ちも熱い。そしてなにより五十嵐一郎町長のふるさとに尽くす熱情は燃えている。日本は広いけれど、自分が住めるところは少ない。読者を泣かせる文章です。文章が歌っている。こんな町があったらいい。でも、ないと思う。


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