2012年05月20日

拝啓 十五の君へ アンジェラ・アキと中学生たち


拝啓 十五の君へ アンジェラ・アキと中学生たち ポプラ社

 読み始め最初のうちは、抽象的な記述で、中身を把握できず、このまま最後までいくのだろうかと感じていましたが、中盤から感動が波のように押し寄せてきます。良書です。とくに中学生女子に読ませたい。
 アンジェラ・アキという人をよく知りません。歌手ということはわかります。最初に本の前書き部分を読んで、次にラストのいく人かの人たちから寄せられた未来の自分あての手紙を読み、それから最初へ戻って、順番に読み始めました。
 登場する中学生たちは、みなさん「真面目(まじめ)」で、そのことにまず驚きました。正反対な人間として、心が汚れきってしまった50歳すぎの自分がここにいるわけで、それでも汚れたことに後悔はありません。アンジェラ氏の体験として、親が作ってくれた弁当を学校で食べずに捨てたことが語られています。わたしにも同様の体験があります。
 今の若い人たちがもつ暗さが綴(つづ)られています。表面上は明るく見えるのですが、実際は真っ暗なようです。つながりとか支えがありません。
 手紙=日記です。デジタル(電子)社会の現在でも人間の心はアナログ(手書き)です。友人や親との葛藤(かっとう)があるもののお金の悩みが出ないのが昔とは違うようです。登場するこどもたちは、どちらかといえば中流、上流の生活環境にあるこどもたちでしょう。お金があっても時間があっても悩みは尽きない。悩むことが仕事の思春期です。
 歌は人間を支えてくれます。アンジェラ氏と厳しかった彼女の音楽教師の過去の話には涙しました。
 アンジェラ氏と外国人の祖母との交流は、「西の魔女が死んだ」梨木香歩著の主人公中学3年生まいさんと彼女のおばあさんの関係そのものです。現在(いま)だけを考えながら現在(いま)を悩んでいる中学生たちです。
 アンジェラ氏は歌手というよりも詩人です。日本で言うところの詩人ではなく、外国における地位の高い詩人です。活動家でもあります。

(その後、CDを聴きDVDを見ました)
  作者がこれからも「繊細さ」を維持していくことは年齢の増加につれて厳しいものがあると感じました。
  15歳は悩みが多いですが、50歳すぎでも同様です。
  負けそうでから始まる文節の最後、消えそうなという部分では切なくなります。消えそうということは、  生きているという意味や価値がないという評価を自ら、そして周囲が下すことであり致命的です。だれかひとりでもいいからいてほしいと励ましてほしい。


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