2012年05月20日
私の中のあなた 上・下
私の中のあなた 上・下 ジョディ・ピコー 早川書房
長編でまだ4分の1しか読んでいないのですが、感想は書き始めます。姉ケイト16歳、妹アナ13歳、舞台は最初はイギリスと思いましたが、どうもアメリカ合衆国です。姉は小さい頃から白血病です。妹は姉の手術治療時などに自分の体の一部などを提供しつづけている適合者です。思春期13歳を迎えた妹は、体の提供を拒否します。しかし、両親は許してくれません。なぜなら、姉が死んでしまうからです。妹アナはなけなしの金をはたいて、有名な弁護士を雇います。アナが、両親を訴えた部分まできました。そして、主人公アナの母親は、弁護士なのです。
次女アナは、長女ケイトを救うためにつくられた背景があります。次女アナは普通分娩ではなく、人口受精によるクローン人間に近い存在のようです。
先日、ノーベル賞受賞者たちがこどもたちの質問に答える本を読みました。そのなかに、クローン人間について記述がありました。クローン人間の臓器を人間に移植することが、クローン人間製作目的のひとつとあり、いつかはかなう夢とありました。そのときの条件のひとつとして、完璧な人間の姿・形になるまでは成長させないとありました。読んでいて、背筋が寒くなり、気分が悪くなりました。
自然界の掟にさからった両親の大きな罪があります。地獄の炎が燃え上がる、意味は違うのですが、「鬼火(地獄から迎えにくるときに燃えている炎)」火車(かしゃ)宮部みゆき著を思い出しました。奇(く)しくも姉妹の父親は消防士で、かつ、姉妹の兄ジェシーは放火行為をしています。家族が壊れています。
書き出しの記述はすばらしく、わたしはこんなふうには書けません。章の固まりの最後部分のいいまわしが上手です。
ひとつひとつの「章」は、個人の語りです。登場人物たちがひとりずつ自分の気持ちを語っていきます。
(感想は、次回へ続く)
上巻を読み終えました。下巻に移りますがあと1週間はかかりそうです。感想を続けてみます。
兄ジェシーの気持ちは痛いほど伝わってきます。彼は両親に反抗しています。原因のひとつは、妹ケイトの病気について、自分が臓器提供等の適合者ではないことから両親に存在を否定されたこと。彼は、両親に愛されていないのです。
母親サラの語りから、彼女は2女アナをまったく愛していないことがわかります。アナは、長女ケイトに臓器等を提供させるために人工的に出産した存在です。だからアナは怒(いか)っているのです。そして、泣いているのです。アナがかわいそうすぎる。
アナの代理人弁護士アレグザンダーと彼の昔の恋人らしき弁護士ジュリアとの恋愛話は不要です。姉のケイトはしゃべりすぎです。それから、兄のジェシーはくずれすぎています。
アナとケイトは一体です。一緒に消滅するか、一緒に生きるしかありません。
父親ブライアンが家族の再生に手をかけます。妻でありこどもたちの母親であるサラから離れて、父親とアナはふたりで消防署で暮らし始めました。母親はかやの外になりました。これからどうなるのだろう。
(下巻へ続く)
最後まで読み終えました。意外な結末が待っていました。また、妹アナが臓器提供を拒否して裁判を起こしたわけではないことが判明しました。ラストは悲劇で、わたしは、深い悲しみに沈みました。
下巻では、姉ケイトの気持ちがなかなか語られません。最後に語ってくれます。彼女が語ってくれる前にわたしが彼女の代わりに考えたことは、「何もかもが、これで最後になる」ということでした。訴訟は、妹アナの勝訴となり、ケイトは命を失う。なかんずく、アナが臓器移植に応じてくれてもケイトは命を失う運命にある。人間は、たとえきょうだいであっても「個人」という単位で区別される。両親の苦悩は深い。
長編でまだ4分の1しか読んでいないのですが、感想は書き始めます。姉ケイト16歳、妹アナ13歳、舞台は最初はイギリスと思いましたが、どうもアメリカ合衆国です。姉は小さい頃から白血病です。妹は姉の手術治療時などに自分の体の一部などを提供しつづけている適合者です。思春期13歳を迎えた妹は、体の提供を拒否します。しかし、両親は許してくれません。なぜなら、姉が死んでしまうからです。妹アナはなけなしの金をはたいて、有名な弁護士を雇います。アナが、両親を訴えた部分まできました。そして、主人公アナの母親は、弁護士なのです。
次女アナは、長女ケイトを救うためにつくられた背景があります。次女アナは普通分娩ではなく、人口受精によるクローン人間に近い存在のようです。
先日、ノーベル賞受賞者たちがこどもたちの質問に答える本を読みました。そのなかに、クローン人間について記述がありました。クローン人間の臓器を人間に移植することが、クローン人間製作目的のひとつとあり、いつかはかなう夢とありました。そのときの条件のひとつとして、完璧な人間の姿・形になるまでは成長させないとありました。読んでいて、背筋が寒くなり、気分が悪くなりました。
自然界の掟にさからった両親の大きな罪があります。地獄の炎が燃え上がる、意味は違うのですが、「鬼火(地獄から迎えにくるときに燃えている炎)」火車(かしゃ)宮部みゆき著を思い出しました。奇(く)しくも姉妹の父親は消防士で、かつ、姉妹の兄ジェシーは放火行為をしています。家族が壊れています。
書き出しの記述はすばらしく、わたしはこんなふうには書けません。章の固まりの最後部分のいいまわしが上手です。
ひとつひとつの「章」は、個人の語りです。登場人物たちがひとりずつ自分の気持ちを語っていきます。
(感想は、次回へ続く)
上巻を読み終えました。下巻に移りますがあと1週間はかかりそうです。感想を続けてみます。
兄ジェシーの気持ちは痛いほど伝わってきます。彼は両親に反抗しています。原因のひとつは、妹ケイトの病気について、自分が臓器提供等の適合者ではないことから両親に存在を否定されたこと。彼は、両親に愛されていないのです。
母親サラの語りから、彼女は2女アナをまったく愛していないことがわかります。アナは、長女ケイトに臓器等を提供させるために人工的に出産した存在です。だからアナは怒(いか)っているのです。そして、泣いているのです。アナがかわいそうすぎる。
アナの代理人弁護士アレグザンダーと彼の昔の恋人らしき弁護士ジュリアとの恋愛話は不要です。姉のケイトはしゃべりすぎです。それから、兄のジェシーはくずれすぎています。
アナとケイトは一体です。一緒に消滅するか、一緒に生きるしかありません。
父親ブライアンが家族の再生に手をかけます。妻でありこどもたちの母親であるサラから離れて、父親とアナはふたりで消防署で暮らし始めました。母親はかやの外になりました。これからどうなるのだろう。
(下巻へ続く)
最後まで読み終えました。意外な結末が待っていました。また、妹アナが臓器提供を拒否して裁判を起こしたわけではないことが判明しました。ラストは悲劇で、わたしは、深い悲しみに沈みました。
下巻では、姉ケイトの気持ちがなかなか語られません。最後に語ってくれます。彼女が語ってくれる前にわたしが彼女の代わりに考えたことは、「何もかもが、これで最後になる」ということでした。訴訟は、妹アナの勝訴となり、ケイトは命を失う。なかんずく、アナが臓器移植に応じてくれてもケイトは命を失う運命にある。人間は、たとえきょうだいであっても「個人」という単位で区別される。両親の苦悩は深い。
この記事へのトラックバックURL
http://kumataro.mediacat-blog.jp/t78988
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません