2012年05月20日

夏の庭 湯本香樹実

夏の庭 湯本香樹実(かずみ) 新潮文庫

 発端は、ぼく(木山君、あだなはきゅうり)、山下君(太っちょ、祖母のお葬式に参列した。)、川辺君(メガネ)の小学校6年生3人が、とある家でひとり暮らしをしているおじいさんが亡くなるのを見たがることです。死んでいる人を見たい、あるいは人が死ぬのを見たい。
 遺体を見る機会が減りました。自宅での葬儀が減りました。遺体を見ると心がやさしくなれます。
 書き手は結論をどこへもっていくのだろうか。
 木山君の母親は明らかにアルコール依存症であり問題がある。
 物語進行の脇に本音がある。汚れ(けがれ)を知らない少年3人がだんだん世の中の汚れを知るようになる。中原中也の詩「汚れちまった悲しみに」が頭に浮かぶ。
 人間の一面に自分の意思とは反対の行動をとってしまうことがあります。この物語は現在進行形ではなく過去の思い出ではなかろうか。83ページ、「怖がって触らないでいたらいつまで経っても使えない」はいい話です。
 124ページにあるおじいさんの話には泣けた。できるだけたくさんのこどもさんたちにこの本を読んでほしい。山下君の祖母の葬式話が、こんなにも広い範囲へと世界が広がっていきました。人間ってすばらしい。


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