2012年05月06日

HOME 愛しの座敷わらし 

HOME 愛しの座敷わらし 映画館

 お客さんは入っていませんでしたがいい映画でした。今が5月で、小説を読んだのは昨年の9月でした。その頃から映画の公開を楽しみにしていました。
 岩手県の自然が美しい。水谷豊・安田成美夫妻が演じる高橋ファミリーには東京でいじめに遭っていた長女とゲームでしかサッカーをしたことがない小学生長男がいます。水谷パパは左遷で盛岡に飛ばされた50代の食品会社課長職という設定になっています。草笛光子さん演じる澄代おばあさんには認知症の気配があります。
 悪いこともあればいいこともある。コンクリート、アスファルト、ガラスとプラスチックに囲まれた都会のマンション暮らしから、山や川、田畑や樹木という自然に包まれた地域に引っ越したファミリーは引っ越してきたばかりなのに都市暮らしに戻ろうとします。最初、ファミリーは、座敷わらしに恐怖感をもちます。古老のおばあさんが「(座敷わらしは)間引きされたこども」というあたりから物語は真剣味を増します。大木が風に揺すられて出す葉の重なり合う音、ときおり差し込まれるコノハズク(フクロウ)の映像、満天いっぱいに広がる無数の星、わたしは風に揺れるススキの一瞬の映像が気に入りました。座敷わらしのぼくちゃんは座敷わらしそのものの表情としぐさで適役です。水谷パパは愛を語ります。世の中がそうであるといいなという夢があります。でも現実はそうではありません。無理なことです。せめて映画の世界のなかではこんな世界にひたりたい。

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