2012年04月06日

モンスターU子の嘘 越智月子

モンスターU子の嘘 越智月子(おちつきこ) 小学館

 U子というのは、「石山詩子(うたこ)」を指します。詩子の人物像を浮かび上がらせる小説です。詩子像を刻んでくれるのはフリーライター蒲田俊明です。彼の行動の動機付けは、詩子の娘音子15才の父親探しです。
 314ページのうち270ページまでは創作の意図をつかめません。本の帯には悪女を描くとありますが詩子のどこが悪女なのか受け止めることができませんでした。270ページ付近から様相が変わります。ドラマチックな展開となります。ラストをスタートにもってきて展開を組み上げたらよかったのに。それが読後感です。
 女性を収容する刑務所内部のありさまが表現されます。時代背景は平成元年あたりです。実際にあった事件とか人物が名称を変えて登場します。視野を広げれば詩子の向こう側に素行が汚れた大衆がいます。
 たくさんの楽曲が紹介されます。歌手名は実名です。裏社会のお話です。詐欺話です。ラストはあいまいな記述ですが詩子は嘘をついています。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t77532
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい