2012年04月02日

大人もぞっとする初版『グリム童話』 由良弥生

大人もぞっとする初版『グリム童話』 由良弥生 三笠書房

 書店の文庫本コーナーの売れゆき上位棚に置いてありました。興味が湧きました。グリム童話の原作は現代版と異なり怖いことが書いてあることはテレビで紹介されたことから知っていました。
 残酷、性愛、狂気、不道徳で、戦慄を覚えるとなっています。時代は1700年代、舞台はドイツです。9作品が登載されています。いくつかについて感想を書きます。
「ヘンゼルとグレーテル」外国庶民の生活は貧しい。姥捨て山、子捨て森の物語です。他の作品同様に魔女が登場します。当時の時代背景ことにキリスト教の影響を知っていないと理解できません。人を憎むことについて書いてあり、子どもが母親の支配から独立する内容となっています。
「トゥルーデおばさん」色情魔の15才女子の話です。母親の言葉「男はみんな腹の中では笑っている」が記憶に残りました。
「長靴をはいた猫」今ちょうど映画が上映されています。自分は読んだことがないと思っていましたが、文章を目で追っているうちに読んだことがあることを思い出しました。長靴をはいた猫は、貧しい男に恩返しをします。だけど猫は嘘つきです。猫はカラバ公爵という架空の人物を設定します。魔法使いは猫にだまされて、象、ライオン、ネズミに姿を変えて、猫に飲み込まれてしまいます。
「灰かぶり(シンデレラ)」世界文学全集で読んだシンデレラ姫とは趣がずいぶん異なります。こういう話だったかなあ。
「赤ずきん」これが一番面白かった。

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