2012年03月23日

ALWAYS 続・三丁目の夕日 映画

ALWAYS 続・三丁目の夕日 映画 ケーブルTV録画

 シナリオも映像も演技も緻密に構築されたブロック(積木)です。暗に東京タワーの構築と重ねてあります。ラスト付近、小雪さんが戻ってきたワンショットには身震いしました。背景に中年女性像を入れたところがいい。
 茶川竜之介が芥川賞を目指します。受賞したら淳之介12才と一緒に暮らすことができます。受賞したら大手を振って、ストリップ劇場に売られた小雪さんを迎えにいけます。ひとりぼっちだったひとりひとりが3人そろって暮らすことができます。他人同士ではあるけれど気持ちの通いあう者同士が集まって家庭を築くことができます。でも、竜之介の作品「踊り子」は落選しました。
 臨時ニュースがゴジラの来襲を告げる。竜之介はあいかわらず漫画の原作を書いている。周囲の人たちから「文学」と呼ばれる竜之介がうらやましい。純文学はわからないといいつつ、みんなはこっそり竜之介の作品を読んで涙を流している。
 淳之介の実父お金持ち実業家(淳之介の母は実父の亡愛人)は、竜之介に50万円を握らせて、淳之介を連れて行こうとする。竜之介が「金じゃないんだよー」と叫ぶ。鈴木オートの一平も淳之介もいいヤツです。淳之介は礼儀正しく美しい言葉遣いで好感をもちました。青森娘堀北さんの演技も抜群です。
 前半は、なにげなく流れていく貧しい日常生活、大衆の世界が続きます。前回の作品では蒸気機関車のリアルな映像に驚きました。
 後半は前半に仕掛けておいた伏線が次々と花を咲かせます。24色の色鉛筆セット、高所恐怖症の鈴木オートのおやじ、水洗いをしたあと手の甲に塗るクリーム、タロと名付けた野良犬などがあります。アクマと呼ばれる三浦友和さんが演じる宅間医師のしぐさも笑えます。
 前半で戦争のために好きな男性と結婚できなかった薬師丸さんの話が出ます。それを受けての後半で、茶川竜之介と小雪さんも同様に結婚できないだろうという悲観が芽生えます。淳之介の実父川渕康成が現れたあたりから緊張感が高まり神の領域に入っていきます。狂気の一線を超えなければなりません。次はどんなセリフが出てくるのか期待でわくわくしました。自分も次のセリフを考えながら観ていました。お金のない悲しみを描きつつ、お金がないからこそある「夢」を胸に、だれしも人間らしく暮らしてゆくのです。

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