2012年03月11日

椿三十郎 映画 三船敏郎

椿三十郎 映画 三船敏郎 DVD

 傑作です。痛快でした。
 侍(さむらい)映画というと切腹とセットで血なまぐさく暗いイメージがあります。この映画はカラリと乾燥しています。ラストは西部劇シーンのようでした。人間臭いやりとりにユーモアがあり笑えます。ことに城代家老(じょうだいかろう)の奥方(おくがた、おくさん)とそのお嬢さんの言動が間延びしていてほっとします。三船さんはさすがです。豪放快活で万人から好かれる個性設定となっています。立ち回りはアーノルド・シュワルツネッガーのようでした。
 藩内の汚職をめぐるクーデター(内紛と政権転覆)です。9人の若侍が正義感をもって立ち上がります。城代家老(江戸にて執務中の殿様の代わりに地元の城を守る役職)が正義で、次席家老が不正を働いており、大目付(大名の監視役)がその仲間です。大目付らに幽閉(ゆうへい、閉じ込める)された城代家老を10人で救い出すことが目標です。
 1962年(昭和37年)の黒澤監督による白黒映画作品です。原作は山本周五郎です。のんびりしたお庭を見ながら自分の名は「椿三十郎」と、とってつけたように嘘をつくのが椿三十郎です。敵とのかけひき、嘘つき合戦です。斬り合いのシーンは少ないけれど、斬り合いシーンは豪快であり、最後は瞬間的です。城代家老の奥方が言うように「人を斬るのは悪い癖」、必要最小限の刃傷(にんじょう)となっています。
 バックに流れる音楽が楽しい。クレイジーキャッツののりで侍さんたちが浮き足立ちます。セリフに無駄な説明がありません。次のセリフを予想しても当たりません。精神的に抜き身のない(さやのない)刀をもつ三船さんと仲代さんの対決も見ものです。おとうさまのタヌキはなかなかのものですと言う奥方は、死ぬ覚悟ができています。

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