2012年03月06日

ユリゴゴロ 沼田まほかる

ユリゴゴロ 沼田まほかる 双葉社

 ぐいぐいと読ませてくれます。288ページあります。遅い昼食後に読み始めて、途中お昼寝をはさんで午後8時00分頃読み終えました。完成度の高い作品でした。ホラー、サスペンス、推理が充実しています。
 「ユリゴコロ」とは、「拠り所(よりどころ)」を聞き違えたものです。「依り所」とも解釈します。気持の依り所なのです。それは「家族」を指します。困ったときに頼るところがファミリーなのです。
 読書中に主人公亮24歳の母親が入れ替わったことには気づけます。背景と具体的な手法、理由はわかりません。
 1冊の本のなかに2本の小説が交互に収められています。表の物語よりも裏の物語のほうがメインです。裏の物語は芥川賞選考対象作品です。人間の汚れた悪の部分があからさまに表現されています。秘密のノートです。秘密は読書欲をそそります。公序良俗を否定する内容です。自傷行為を幇助(ほうじょ、助ける)する記述もあります。登場人物は仕置き人(殺し屋)です。途中、秘密ノートの内容は創作であろうと、読み手の気持はいったん薄まりますが、その後濃厚さは復活します。裏作品は「胎児」のようです。この1冊の本が母親の母体で、裏作品が「胎児」という構成です。この本は「妊婦」なのです。


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