2012年01月30日

ヒミズ(アンコール刊行劣情の種子編) 古谷実

ヒミズ(アンコール刊行劣情の種子編) 古谷実 講談社

 コンビニに立ち寄った折に見かけて購入しました。映画が評判になっていたことがきっかけです。原作となった漫画です。「ヒミズ」の意味は読み終えた今になってもわかりません。「劣情の種子」は不遇な境遇にあって殺人がらみのトラブルに巻き込まれると解釈します。映画は他に観たい作品がいくつかあるので、公開が終わらなければ見に行くつもりです。
 登場人物たちの整理から始めます。最初は高校生3年2組メンバーかと勘違いしました。中学生でした。主人公が「住田祐一」15才。離婚母子家庭のひとり息子で、父親は無気力なろくでなし。金をせびりにきます。母親は男をつくって家を出て行きました。家といってもボートハウスで、祐一はホームレスに近い状態です。祐一は孤独で人間不信です。心は冷めています。平凡で目立たない生活を目指しますが時の流れはそれを許してくれません。「夜野正造(よるのしょうぞう)」小柄で前歯が出ている。同じく15才。お金と女子が好きです。「赤田健一」ブタのような容貌でグロテスクです。漫画家志望の15才です。大西とか西という学生にいじめられています。彼には本格的に漫画家へ挑戦する年上いとこの男性がいます。いとこは「きいっちゃん」と呼ばれています。「茶沢景子」気の強い女子15才です。映画では重要な役柄なのでしょうが、この漫画では小さな脇役です。
 さて感想です。奇怪ですが魅力があります。作者の実体験も織り交ぜてあるのでしょう。住田祐一は人間を「普通の人間」と「特別な人間」に分けます。自分は普通でいたいのに神は特別になることを求めます。純文学小説を読むようでした。養育を放棄した父親を怨む。母親も憎いでしょう。
(その後)
 「ヒミズ」の意味は「もぐら(の種類)」でした。陽見ず(ひみず、太陽を見ない)からきているのだろうと自分で理解しました。

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