2012年01月22日

パーフェクトワールド 映画 DVD

パーフェクトワールド 映画 DVD

 138分間のうち後半の30分間は充実しています。胸にぐっときます。ただ、途中経過においては、わからないことがいくつもあります。脱獄囚のケビン・コスナーが8才の男児フィリップを誘拐してテキサスから北を目指して逃亡するロードムービーです。子どものフィリップが逃げ出すチャンスは何度もありました。なぜ逃げないのか。黒人ファミリー宅で、ケビンは祖父を射殺しようとします。なぜ、射殺しなければならないのか。わかりません。
 回顧の映画です。アメリカ人年寄りが喜ぶ内容です。テキサスは農業地域らしくのんびりしています。西部劇を見ているようでもあります。ここは、義理人情、縁故のつながりで生活してゆくというセリフどおりの州です。BGMはカントリーウェスタンで、治安の悪さとか銃社会という側面があるものの、みなきょうだいという意識があれば楽園です。スローな動きの映画で、鑑賞中はどこがいいのかと疑問が生じるのですが、観終えて数日経ってもシーンが脳裏に残っています。すばやく激しい展開の映画ではみられない現象です。
 児童に対する父親の暴力防止の訴えが映画の内容にこめられています。派生キリスト教に対する否定もあります。年代設定は1963年ですが、映画が製作された93年当時の世相が反映されています。アメリカ人も日本人も心が痛んだとき北を目指すことで同じ人間としての共通点があることを認識しました。
 自動車をタイムマシンにたとえています。アクセルを踏めば前方は未来へ、後方は過去へ、ブレーキを踏んで停止すれば現在というたとえが好きです。誘拐された男の子は父に頼りたいのに父はいない。父性復帰の願いがこめられている映画です。こどもにあれもこれもだめだとは言うな。コスナーは最低限周囲にいるこどもと同じ体験をさせろと怒りを子の実母に向けています。だから誘拐されたフィリップはコスナーから逃げなかった。自分を大切に考えてくれる男と評価した。加えて、子どものフィリップはコスナーをゆがんだ生活・精神状態から救いたかった。愛情を感じていた。これを書きながらわからなかったことの理由のひとつがわかりました。だから少年は誘拐犯の手から逃げようとしなかった。
 警察署長クリント・イーストウッドたちはボックス型小型トレーラーの中(停止した箱)、コスナーと子どもは、移動するフォード車(移動する箱)という対比で、それぞれ撮影が別個であったことから、両者のつながりがなく、見ていて実感が湧きません。ふたつの車両がすれ違って、追いかけっこが始まる頃から一体感が生まれてきます。
 ラジオからの情報は危険を生み出します。知らないなら知らない方が安全な場合があります。セリフの言葉数が多すぎる難点があります。理解するのにわかりにくくなります。なんでもかんでも殺してしまえばいいというアメリカ映画に一石を投じる作品です。


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