2011年08月17日

Mr.&Mrs.Smith ミスターアンドミセススミス

Mr.&Mrs.Smith ミスター アンド ミセス スミス DVD

 競合する殺し屋組織をロミオとジュリエットの下地にのせる。それぞれの代表がミスター・スミスとミセス・スミスとする。ただし、前者では結婚できず悲劇となるが、後者では新婚さんという設定にする。
 夫婦の育成番組のようです。最初はお互いが殺し屋であることを知らない。ふたりのカウンセリングシーンから始まります。お互いに殺し屋であることが秘密となっているので、夫婦仲がしっくりいっていません。ラストシーンもカウンセリングシーンです。夫婦仲は円満へと変化しています。途中経過で何があったのか。壮大な夫婦喧嘩がありました。お互いを狙った銃撃戦に始まり、殴ったり蹴ったり、爆発物が破裂したり、いやはや気持ちがいい。最後にふたりはお互いを認め合い、誤解も解けて、しっかり抱きあうのです。
 コロンビアのボコダで知り合ったふたりはわずか6週間で結婚を決めてしまいます。一緒になる理由は見た目の良さと性的欲求の充足です。周囲は反対します。脇役のセリフが真理です。「結婚は信頼と絆(きずな)だ。」 最初は見た目でしょう。それから内面となりますが、このふたりは、見た目の段階でくっついてしまいました。ラストはどうなるのかと興味津々でした。ふたつの殺し屋組織はふたりを罠(わな)にはめました。お互いに知らなかったとはいえ、ライバル会社双方の男女が結婚したら企業秘密の漏洩から始まって、会社にとって不利益が生じることが予測されます。ふたつの組織はふたりのうちのどちらかを48時間以内に抹殺しなければなりません。最初は、お互いで殺し合いをするように仕向けたのですが、会社の意に反してふたりは仲良くなってしまいました。だから殺し屋組織は、今度はふたりともを抹殺しようとしたのです。ふたりが立ち向かうべき共通の対象者がふたり以外に存在することによって、ふたりの気持ちはひとつになりました。
 昨夜テレビで少しだけかいま見た「硫黄島からの手紙」と同じセリフがこのスミスさんの映画でも出ました。「来世で会おう」です。スミス夫妻は死を覚悟して、殺し屋組織に銃で挑みます。二人の銃撃シーンは華麗なダンスでした。
 よくできた映画です。白黒映画の過去から続くアメリカ映画の企画、手法などの積み上げによって完成された映画です。日本映画は、過去経験の積み上げがみられません。随時そのときの個人プレーです。
 ミセス・スミスであるジェーンが車のなかで、本当のわたしはユダヤ人孤児だと告白します。この映画を見た午前中に読み終えた「マルカの長い旅」と重なりました。ユダヤ人狩りから逃れた7歳の女児を描いた作品でした。マルカは成長してジェーンになって、「墓場の少年」ニールゲイマン著に登場する少年ボッドのように、両親と姉を殺した殺し屋組織に復讐目的で闘いを挑んでいく。ひとつの映画とふたつの小説をくっつけてひとつの空想空間をつくって楽しみました。
 ふたりがお互いに殺し屋であることがわかるまでは、対称方式の画面となります。スムーズに流れていきます。静かです。ガラスの表面を見ているようでした。冷たい感じがします。互いに殺し屋であることが判明してから、1個の塊(かたまり)を撮影する方式に変化します。活気と熱気が出ています。前半と後半は対照的です。効果において、いい結果が出ています。

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