2011年01月19日

◎ポストマン DVD

ポストマン DVD

 中国の映画に「山の郵便配達」という名作があることを知り鑑賞しようとしたのですが、ビデオの価格が高価で、あきらめたことがあります。今回古書店でタイトルのDVDを見つけて、もしかししたら似た内容かもしれないと思い購入しました。でも、中身は違っているようです。
 舞台は千葉県房総半島の太平洋に面した町です。父親郵便局配達担当海江田龍平、長女14歳あゆみ、長男鉄兵小学校3年生ぐらいの3人家族がいます。母親いずみさんは、2年前に病気で亡くなっています。
 映画では、日本の美しい風景が紹介されていきます。漁村の狭い路地裏、富士山、1両編成の地方鉄道列車、そして黄色がまばゆいたくさんの菜の花です。それらは、特別な風景ではなく、日本のそこかしこで見かけるものです。
 いまどき、こんな映画は流行らない(はやらない)と感じながら見始めました。されど、だんだん物語に引き込まれてゆき、汚れた心を洗ってくれる、たまには、こういう映画もいいものだと、何度か涙しました。
 いくつかの柱があります。ひとつは、変化していく郵便制度への対抗心です。海江田龍平さんは、いまだにバタンコと呼ばれる赤い郵便配達用の自転車を使って配達をしています。信じられません。彼の頭には、原付バイクとか、パソコンとか、電子メールとか、携帯電話とかインターネットはありません。古い体制をかたくなに維持しようとします。郵便は郵便物を配達するだけではないという彼の言葉にはしらける部分もあります。昔はお金のためだけに働いているわけではないという一本線がありました。今は、カネだけのために働くと割り切らないと精神状態がもちません。ところが、彼の精神を支えているのはいまだに、努力であり、根性であり、忍耐なのです。そして、職業は世襲であり、家族はそろってひとつ屋根の下で暮らすという頑固な思い込みなのです。
 だから、ふたつめの柱として、14歳の娘、あゆみさんが、父親に反発して、中学校卒業後は家を出る! と主張するのです。むずかしい年頃です。娘をもったことがある父親が見るとせつなくなるでしょう。
 文通を通じて亡妻との愛を成就した龍平さんは「手紙」を大切にします。絆(きずな)を主題とした健全な音楽が流れます。映画の中と現実世界にはかなりの差があるので、これはかなわぬ「夢」です。されど、故意にだまされて見るのもいい。昨年亡くなった谷啓さんが車椅子で登場します。クレイジーキャッツの仲間である犬塚さんも病気で倒れる役柄で登場します。時代の変化、世代交代、明治維新時とか、太平洋戦争の終戦とか、日本は今、そのときのような時期を迎えています。


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