2011年01月14日

パッチギ DVD

パッチギ DVD

 119分間にたくさんの事柄が詰め込まれているため、わかりにくい内容になっています。もどかしさが残ります。世間に隠れている差別を扱った映画でもあります。日本人が演じる在日朝鮮人映画です。また、若い役者を育てる映画でもあります。
 時は、1968年(昭和43年)ですが、どうしても現代を想像しながら見てしまうので、意識を過去に置くことがむずかしい。日本人と韓国人の顔・姿が似ていることで、どっちがどっちかわからず、また、セリフに日本語とハングル語が混在していることが、これもまたわかりにくい要因となっています。特典映像で、俳優さんたちのインタビューを見ましたが、撮影の仕方や監督評、将来の夢だけで、作品内容に言及した俳優さんはおふたりしかおられませんでした。言いにくいものがあるのでしょう。
 冒頭付近から最後まで、暴力シーンが続きます。朝鮮人学校の生徒は暴力を振るうという誤ったイメージがつくられることを心配します。基本的に警察とか教師とかを除外した報復合戦の繰り返しです。見終ったときに、報復の繰り返しは、南北朝鮮の紛争を表現しているのだろうと解釈しました。何が、彼らをそうさせるのか。プライド(誇り)を傷つけられるからです。
 内容は、京都府立東高校の2年生男子が朝鮮高校の女子を好きになり、フォークソングを通じて在日朝鮮人の集団に入っていくものです。日本人男子松山康介君は、朝鮮人女子リ・アンソンさんから「将来、結婚したくなったときに、朝鮮人になれる?」という言葉をもらいます。
 放送禁止・発売禁止の歌として「イムジンガン(河)」があったことは知っていましたが、北の人が南の人に向けて歌ったものか、その逆なのかはわかりません。ソ連・中国対アメリカ合衆国という図式があって、同じ民族が南北に分かれて境界線ができた。境界線の基準として、朝鮮半島を東西に流れるイムジンガンという河(かわ)がある。韓国を旅したときに、重い気持をもってイムジンガンを見ました。でも、見えたのは、普通の川でした。なんだか拍子抜けしました。
 劇中の赤ちゃん誕生シーンは、妊婦さん役の出産シーンがあまりにもおおげさに感じましたが、生まれてきた赤ちゃんの姿を見て、立会い出産だったので、自分のこどもたちの出産直後の場面が脳裏によみがえり、胸にじんときました。平和であるからこそ、味わえる幸福感です。映像に「パッチギ」の意味の紹介はなかったと思います。ネットで調べたら、突き破る、乗り越える、頭突きとありました。そういえば頭突き(ずつき)シーンがたくさんありました。

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