2024年08月27日

ローズマリーの赤ちゃん 洋画 1968年

ローズマリーの赤ちゃん 洋画 1968年(昭和43年) 動画配信サービス

 有名な映画ですが、観たのは今回が初めてでした。
 古い映画ですが、カラー画像でした。
 ホラーに属するのですが、わたしは、ラストシーン付近は、喜劇だと受け止めました。
 異常な宗教儀式への風刺や皮肉があります。赤ちゃんを生贄(いけにえ。悪魔に提供する。捧げる(ささげる))として提供するそうですが、映像では大切に扱われていました。

 なるべく簡単に感想を落としてみます。(結果的には長くなりました)

 場所はニューヨーク、新婚カップルが登場します。
 同じアパートに住む老夫婦にだんだん洗脳されていく若いカップルのご主人です。奥さんは最後まで正常でしたが、だんなさんは、宗教集団にとりこまれてしまいました。(洗脳(せんのう)される。心をのっとられてコントロールされる)

 冒頭と最後に流れる女性の高い声が、ラララーーなのですが、名作ドラマ『北の国から』のアーアーアアアアアーとか、由紀さおりさんの夜明けのスキャット『ルールルールー』のヒントにこの映画がなっているのではないかとピントくるものがありました。でも、ほんとかどうかはわかりません。

 けっこう高層のアパートメントなのですが、(主人公夫婦の部屋は7階)、お隣との壁が薄くて、お隣の話し声が聞こえるのです。昔の日本のアパートや長屋も壁が薄かった。それは日本独自のものだと思っていましたが、アメリカニューヨークでも同じだったのかと初めて知りました。
 若いカップルは、魔のアパートに引っ越してきてしまっているそうです。
 アパート内で男が半殺しのめにあったとか、地下室に赤子(あかご。あかちゃん)の死体があったとか……

 キモイ(きもちが悪くなる)シーンもあります。なにせホラー(恐怖映画)ですから。
 人間の欲望がからめてあります。だれかの幸せは、だれかの不幸の上にあるのです。
 人間界のありようとして、1番になった人間は大喜びしますが、2番以下には、大泣きした人間がたくさんいるのです。
 いっけん親切そうに見える人たちが悪魔のような行動をとります。善人に見える人たちが、悪人です。
 悪魔の話がときおりでてきます。わたしは、この世には悪魔というものはいないと思っています。悪魔はいませんが、悪人はいます。

 部屋に置いてあるテレビでは、バイクのレースシーン映像が流れています。
 日本製ヤマハのバイクが優勝しました。ヤマハのバイクが7位まで独占しました。ヤマハの優勝は3年連続だそうです。なんだか、歴史の勉強をしているみたいです。1965年、昭和40年ころの話です。
 ラスト付近には、メガネをかけた日本人がカメラをもって写真撮影をしています。外国人が見たそのころの日本人のイメージです。メガネをかけてカメラをもった姿が日本人像でした。なんとなく、ばかにされている気がします。まじめなだけでは人間としてだめなのです。外国人に認められるためには、想像力とユーモア、豊かな発想と心がいるのです。

 タバコの煙シーンが多い。
 妊婦がいるというのに、妊婦の前で、平気でタバコをふかす人たちです。

 薬草という毒物、薬物接種で幻視があります。善人に毒物を摂取させて、幻視を神の行いと錯覚させるのです。マインドコントロール(洗脳)、儀式、いけにえ、異常な宗教団体です。クレイジー、まやかし(ウソ)です。

 映像で、さっき出てきた若い女の人がもう死にました。元気だったのに……
 飛び降り自殺のようにみえますが、どうも違うらしい。薬物で死に追い詰められたふうです。
 本人も知らないうちに薬物を投与されていたというからくりです。からくり:仕掛け(しかけ)
 
 主人公の女性は、妊婦なのにどういうわけか、やせていきます。

 だめな旦那(だんな)です。
 妊娠している妻よりも、宗教の教団員である他人たちのことのほうが優先です。教団員のいいつけを聞けば、自分が出世できると思いこんでいるからです。
 自分の名誉と誇りのために妊娠している妻を犠牲者にします。妻にとって一番信頼すべき夫が、一番の敵になってしまいました。夫は教団に洗脳されてしまったのです。

 悪魔の集団が奥さんをだましている。
 奥さんのあかちゃんが狙われている。(ねらわれている)
 権力は悪人の手の中にある。
 めちゃくちゃですなあ。
 どう話を落とすのだろう。
 おおぜいの喜ぶ人と、たったひとりの悲しむ不幸があります。
 奥さんは、悪魔の子を育てることにしました。
 あきらめるしかない。
 『母親は君だ』(あかちゃんの父親は、悪魔です)

 宗教的な壁画や絵画がたくさん出てきます。
 信者たちは、親切すぎて気味が悪い人たちです。
 妊婦の親友だった童話作家年配男性が突然の病気で亡くなりました。教団に殺されたのです。薬物が投与されたのかも。
 教団員は、生まれたての赤ん坊の血を吸う儀式を行うそうな。狂っています。
 妊婦のまわりにいる人間たちがみんなグル(仲間)です。もうだれも信じることができません。女優さんは、ここからが、演技の見せどころです。

 いろいろと問題提起のある作品でしょう。
 なんだか、現実の世界でもありそうなホラー話です。(恐怖の物語)。弱き者は、悪人の手から逃げきれないのです。自分も集団にとけこむしか、生きていく術(すべ)がないのです。

 途中、主演のミア・ファローさんが、大竹しのぶさんに見えました。似ています。



 映画を観たあとで、二冊の本を思い出しました。
 『信仰から解放されない子どもたち #宗教2世に信教の自由を 横道誠 編・著 明石書店』
 かなり衝撃を受けました。ひどい。宗教二世の不幸が書いてありました。この文章を読んで、救われる人がいるでしょう。同じく宗教二世で育って、ひどい体験をされた、あるいは、今されている人たちです。
 異常な世界があります。どうしてこんなことが起きるのだろう。人間はだまされやすい。だれが得をしたのだろう。教団の上層部の人間です。合法的な暴力と虐待があります。被害者は抵抗ができないこどもです。
 こどもたちの親が洗脳されています。(せんのう。権力者の都合のいいように、心の動きをコントロールされている。心も体もお金も命も、権力者の意のままに管理されている)。親は教団に対しては、被害者であり、こどもに対しては、加害者でもあります。
 カルト:崇拝。礼拝。中心にカリスマ的指導者の存在がある。(超人間的。教祖。英雄)。熱狂的な会員がいる。反社会的な団体。犯罪行為がある。
 
 日本映画、『星の子』では、最後に、芦田愛菜さんが演じるこどもさんは信仰から逃れる(のがれる)ことをあきらめるのです。両親が信仰する宗教に浸かる(つかる)ことにしたのです。物悲しいお話でした。
 『星の子 今村夏子 朝日新聞出版』
 病弱に生まれた主人公林ちひろ(ちーちゃん)を救うために、『水』にからんだ新興宗教らしき活動に積極的に関わる両親がいます。それが原因で、親族関係、親子関係(ちーちゃんの5歳上に姉のまさみさん、まーちゃんがいる)が破たんしていきます。宗教小説は避けられる傾向にあるのですが、この小説の場合、成功しています。

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