2024年01月17日

古本食堂 原田ひ香

古本食堂 原田ひ香 角川春樹事務所

 6本の話があります。それぞれ関連があるのでしょう。
 第一話から最終話までです。
 2021年に(令和3年)発表されています。
 短編に、『古本食堂』という作品はありません。

『第一話 「お弁当づくり ハッと驚く秘訣集」 小林カツ代著と三百年前のお寿司』
 第一話を読み終えたところです。女性向けの本です。人間関係を把握するのに時間がかかるのですが、内容はいい本です。人間関係がややこしく、話の語り手が途中で変わるのでわかりにくいのですが、理解できると、なかなか味わいのあるいい作品であることがわかります。作品に、『良心(道徳的な正しい心の動き)』があります。
 第一話は、お弁当づくりに疲れた若いママ(こどもさんはまだ幼児)が探しているお弁当の作り方の本についてです。ママは、毎朝5時30分に起きてお弁当をつくっていましたが疲れ果てて、とほうにくれています。

 鷹島珊瑚(たかしま・さんご):女性。愛称が、「さんちゃん」。三人きょうだい(長兄、次兄、自分)。北海道で、介護ヘルパーをしていた。帯広市内の8階建てのマンションに両親と住んでいた。両親が亡くなって、縁あって東京神田に出て、亡くなった親族(次兄)から古本屋『鷹島古書店』を引き継いだ。(鷹島古書店は1年近く店を閉めていた。次兄の財産は、3階建てのビル1棟。1階が、鷹島書店で午前9時に開店する。2階と3階が、翻訳書中心の辻堂出版で、その会社に貸している)

 鷹島珊瑚にとっての長兄:鷹島統一郎。統一郎の妻が、「米子」。ふたりともすでに他界した。統一郎のひとり息子が、「光太郎」、光太郎の娘が、「美希喜(みきき。大学生、その後大学院生)」

 鷹島珊瑚にとっての次兄:鷹島滋郎(珊瑚より6歳年上で珊瑚が生まれたときに名前を両親に提案した。鷹島滋郎は、東京大学大学院中退)。鷹島滋郎は、鷹島珊瑚の家族に対して、帯広のマンションの手配をしてくれた。次兄である滋郎は、珊瑚にとって、重要な人物である。東京神田で古本屋をしていたが病気で急死した。その古本屋を妹の東山珊瑚が引き継いだ。相続である。鷹島滋郎の相続人は、鷹島珊瑚と亡鷹島統一郎のひとり息子である鷹島光太郎である。鷹島滋郎の現金・有価証券類は鷹島統一郎が相続した。固定資産であるビルは、鷹島珊瑚が相続した。鷹島光太郎の妻鷹島芽衣子(たかしまめいこ。鷹島美希喜(みきき)の母)は、リアリストである。(現実主義者)

 鈴子:北海道帯広市内に住んでいる介護ヘルパーで東山珊瑚の仕事仲間だった。鈴子の夫は定年後まもなくで病気で死去されたようです。

 山本和子:帯広市居住、東山珊瑚の小学校の時からの友だち。

 東山:今のところ不明な帯広市の人物。鷹島珊瑚が好きな男性のようです。ヘルパーの仕事がらみの関係のようです。鷹島珊瑚が帯広から東京に行くとき、見送りに来た仲間の中にいた。

 古本屋の店内光景からスタートです。
 アガサ・クリスティ:イギリスの推理作家。1890年(日本だと明治23年)-1976年(日本だと昭和51年)85歳没。「オリエント急行の殺人」「そして誰もいなくなった」ほか。
 丸谷才一(まるや・さいいち):小説家、文芸評論家。1925年(大正14年)-2012年(平成24年)87歳没。

 わたしは、帯広市は2度車で通過したことがありますが、ガソリンスタンドで給油をした記憶しか残っておらず、碁盤の目の市街地で、整然とした街のつくりだったと思います。そんなことを思い出しながら読書が始まりました。この本によると、帯広市は、雪は少ないそうです。
 
 菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ):1008年-1059年?平安時代。更級日記(さらしなにっき)の作者。更級日記を読んだことがあります。読書メモが残っていました。その一部です。
 『更級日記 菅原孝標(すがわらのたかすえ)の女(娘) 平塚武二 童心社
  「更級(さらしな)」とは地名です。姥捨て山の慣習(年老いたおばあさんを食いぶちを減らすために山へ捨てにいく。)がある土地とあります。夫を亡くした作者は晩年「死」を意識し始めます。内容は日記というよりも人生の回想記です。最終章では仏さまが迎えにくる夢をみておられます。心素直に書かれた情感のこもった名作です。枕草子とか徒然草の陰に隠れていますが、完成度は同等かそれ以上です。これまで読んだ古典の中で、いちばんよかった。訳者の力量もあるのでしょう。読みやすくて、わかりやすい。』

 鷹島美希喜(みきき):O女子大学(オー女子大学)日本文学科入学、その後大学院生。鷹島珊瑚、鷹島滋郎の親族。古本屋を営んでいた鷹島滋郎が大叔父(おおおじ。親の叔父(おじ)。祖父母のきょうだい)にあたる。美希喜の父親が、「光太郎」で、「統一郎の息子」。母はリアリスト(現実主義者)だか、両親とも放任主義。

 (再掲ですが)鷹島光太郎の妻鷹島芽衣子(たかしまめいこ。鷹島美希喜(みきき)の母。49歳)は、リアリストである。(現実主義者)。鷹島芽衣子は、叔母の鷹島珊瑚に変な男がついて、億単位の財産を男にもっていかれるのではないかと心配している。鷹島芽衣子は、しっかりしている。要領がいい。少し見栄っ張り。

 後藤田先生(ごとうだせんせい):O女子大学国文科の教授

 鷹島家の人々のキャラクター(個性):のんびりとしている。夢のようなことばかりを考えている。現実的ではない。物思いにふけりがち。つかみどころがない。

 ブックエンドカフェ:鷹島古書店ビルのお隣にある喫茶店。田村美波という女性が経営している。鷹島滋郎の時代から商店仲間としての付き合いがある。

 沼田:鷹島古書店のお隣にある『汐留書店(しおどめしょてん)』の店主

 そうか、なるほどと思ったこととして、泥棒よけのために、閉店後レジの中はからっぽにして、引き出しを開けておく。(泥棒がレジをこわさないように)

 忠臣蔵(ちゅうしんぐら。1703年1月30日(旧暦12月14日)吉良邸討ち入り(きらていうちいり):先月(2023年12月。BSの連続ドラマ番組を観ていました。松平健さんが大石内蔵助(おおいし・くらのすけ)を演じておられました。いつか、『マツケンサンバ』をステージ上の演舞でじかに観て(みて)みたい)

 小林カツ代:料理研究家、エッセイスト。1937年(昭和12年)-2014年(平成26年)76歳没

 ほのぼのとしている内容です。
 
 最後の気になる文章として、『古書高価買取』の金属製で立派な看板がなくなっている。

『第二話 「極限の民族」本多勝一と日本一のビーフカレー』
 第二話を読み終えての感想です。読み手によって好みが分かれる作品です。味わいはありますが、理解するのに手間がかかるため、読み手は読み疲れてしまいます。
 登場人物の各自がその存在をはっきり書いていないので(たぶん意図的に)、どういう人物なのかメモをしながら整理して理解する手間がかかります。それから、味わいある事象のできあがりぐあいが、『まわりくどい(うざいとも表現できます)』。『いい感覚』を押し付けられているような圧迫感があります。ほんとうにそうだろうかという反発するような疑問をもつ部分もあります。

 鷹島滋郎の借家:東京都杉並区高円寺にある。駅から徒歩12分。築50年の建物に滋郎は20年以上住んでいた。1階が水回りと倉庫。2階が荷物置き場と寝室。4K家賃10万円。
 どういうわけか、食器が二人分ある。(女性の存在がうかがえる)
 寝室が、ゴッホのアルルの黄色い家に似ている。(たまたま数日前にゴッホの映画を観ました。『永遠の門 ゴッホの見た未来 洋画 2018年』映像に黄色い家が出ていました。

 同上の家の大家(おおや):平塚さん。90歳近いおじいさん。高円寺駅から歩いて20分以上かかる家に住んでいる。妻は8年前に死去。囲碁が好きで、鷹島滋郎は囲碁友だちだった。

 加納先生:鷹島美希喜の大学の先生。近現代文学担当

 辻堂誠:辻堂出版社の社長。鷹島珊瑚より年上、鷹島滋郎より年下。身長180cmぐらい。元大手出版社勤務

 花村建文(はなむら・たけふみ。愛称けんぶん):辻堂出版社の社員。30歳ぐらい。眉毛が黒々としていて太い。

 本多勝一(ほんだ・かついち):新聞記者、ジャーナリスト、作家。1932年生まれ(昭和7年)。91歳。作品として、『極限の民族』

 筆まめ:めんどうがらずに、よく手紙を書く人

 太宰治(だざい・おさむ):小説家。1909年(明治42年)-1948年(昭和23年)38歳。入水心中死(じゅすいしんじゅうし)

 細雪(ささめゆき):谷崎潤一郎作品。大阪旧家の4姉妹の日常生活。1936年(昭和11年)から1941年(昭和16年)までの話。谷崎潤一郎は、1965年(昭和40年)79歳没。

 杉浦日向子(すぎうら・ひなこ):漫画家、江戸風俗研究家、エッセイスト。2005年46歳没
 円地文子(えんち・ふみこ):小説家。1986年(昭和61年)81歳没

 カレーのボンディ:欧風カレーのお店
 店子(たなこ):借家人
 バックヤード:倉庫や作業場所、台所など。
 フルーティ:くだものの風味がある。
 カンバセーション・ピース:著者保坂和志。新潮社
 ポアロ:エルキュール・ポアロ。アガサ・クリスティの推理小説に出てくる名探偵
 ファイアー:FIRE。ファイナンシャル・インディペンデンス・リタイア・アーリー。経済的に自立して、早めに退職してのんびり暮らす。投資で稼ぐ。
 
『第三話 「十七歳の地図」橋口譲二著と揚げたてピロシキ』
 鈴子、和子:鷹島珊瑚の北海道帯広での介護ヘルパー仲間

 ミキコ:帯広市内の喫茶店『時計』でアルバイトをしている。

 東山権三郎(ひがしやま・ごんざぶろう):帯広市の住人。東山権三郎の奥さんの世話をするために鷹島珊瑚が介護ヘルパーとして東山宅を訪問していた。奥さんは亡くなった。

 沼田浩三(ぬまた・こうぞう):東京神田汐留書店経営者(鷹島古書店のお隣)

 橋口譲二:写真家。1949年生まれ(昭和24年)

 更科蕎麦(さらしなそば):江戸蕎麦の御三家のひとつ。『更科』『砂場』『籔』
 
 古典の文章の解読・解釈がむずかしい。
 
 岡本かの子:昭和初期の小説家。1939年(昭和14年)49歳没。芸術家岡本太郎の母親

 平野レミ:料理愛好家。76歳

 グリヤーシ:豚肉料理
 ピロシキ:東欧料理の惣菜パン
 
 東山さんの奥さんが亡くなって半年ぐらい過ぎて鷹島珊瑚の次兄である鷹島滋郎さんが亡くなった。

 司馬遼太郎(しば・りょうたろう):小説家。1996年(平成8年)72歳没

 塩野七生(しおの・ななみ):歴史作家、小説家、女性。86歳

 池波正太郎:時代小説作家。1990年(平成2年)67歳没

 東山権三郎さんから鷹島珊瑚さんに告白がありました。

『第四話 「お伽草子(おとぎぞうし)」とあつあつカレーパン』
 銀座のバー『さんざし(可憐な(かれん)白い花のこと)』のママ:白髪の一部を紫に染めている。紫色のメガネをかけている。自称CEOの妻(最高経営責任者の妻)のつもり。

 北沢書店:おしゃれなバーやクラブに飾るようなディスプレイ用の洋書を売っている。

 戸越銀座(とごしぎんざ):東京都品川区内。五反田、大崎の南に位置する。(先日テレビ番組『モヤモヤさまぁ~ず2』のロケ先ということで戸越銀座がちらりと放送されました。同番組は放送曜日が変わってから愛知県の地上波では放送されなくなったので、動画配信サービスを利用して見ています。東京地区あたりの散策番組ですからしかたがありません)。戸越銀座にある『キッチンさくら』で働く女が関係あるのではないか。『さんざし』のママいわく、『子持ちの不倫の女』大学生の息子がいる。ほんの少し小麦色の肌にこぢんまりとした目鼻立ちをしている。名前は、「タカコ」という。50歳ぐらいだが、40代に見える。

 国文学研究資料館:戸越銀座にあった博物館(2008年に立川市に移転した)

 本田奏人(ほんだ・かなと):小説家志望者。イケメン。

 ナチュラルボーン:天性、生まれながらの、生まれつき。

 後藤田先生:指導教員

 藤岡作太郎:国文学者。1910年(明治43年)39歳没。心臓麻痺による。

 秋山虔(あきやま・けん):文学者。2015年(平成27年)91歳没。源氏物語の成立論。源氏物語の研究者。紫式部の作家論。

 校注者(こうちゅうしゃ):古典などの文章を校訂(こうてい。ほかの本と比べる)して、注釈を加える人。
 穿鑿(せんさく):細かい点まで根ほり葉ほり調べること。
 御伽草子 ちくま文庫 谷崎潤一郎が訳した、『三人法師』 室町時代の成立
 
 鷹島滋郎の資質・性格として、優しいから、はっきり断らないとあります。ずるい人です。自分で決定・決心をしない人です。いいかげんな人にも思えます。鷹島滋郎のルックスがいいから人格まで美化してあります。誤解があります。

『第五話 「馬車が買いたい!」鹿島茂著と池波正太郎が愛した焼きそば』
 鹿島茂:フランス文学者、文芸評論家。74歳

 本病(ほんびょう):作品をつくったときのコロナ禍が背景にあるのだろうか。本を介してうつる病気だそうです。

 ウォッカトニック:ウォッカ、ライム・ジュース、トニック・ウォーター(炭酸水にあれこれ入れた清涼飲料水)
 アイリッシュ・ウィスキー:アイルランド、北アイルランドの穀物を原料としたウィスキー

 村上春樹:小説家。74歳
 
 焚書(ふんしょ):書物を焼き捨てること。

 文壇バー:文壇の関係者が集まるバー(お酒を提供する飲食店)。東京銀座、神田神保町に多かった。「ミロンガ」「ラドリオ」
 
 狂牛病:牛の疾病。脳細胞が壊れる。2000年代前半に話題になった。

 ドナルド・キーン:アメリカ人日本文学者。2019年(平成31年)96歳没
 
 鷹島珊瑚が鷹島古書店を引き継いで半年が経過しています。
 
 宇野千代:小説家、随筆家。1996年(平成8年)98歳没
 丸谷才一(まるや・さいいち):小説家、文芸評論家。2012年(平成24年)87歳没

 粗熱(あらねつ):料理ができたてあつあつの状態をいう。

 読んでいての感想ですが、鷹島珊瑚が東山権三郎を好きだとは思えないのです。自分から積極的に東山権三郎にアプローチ(接近)するようすがあまりありません。東山権三郎からアタック(押してくる)されたら、そうなってもいいかなぐらいの愛情です。

 目論見(もくろみ):企て(くわだて)
 堤中納言物語(つつみちゅうなごんものがたり):平安時代後期に成立した短編物語集
 プロット:物語の筋、仕組み。企て(くわだて)
 うたかた:水面に浮かぶ泡(あわ)のこと。はかなさを表現する言葉

 こちらの本は、古典が好きな人が読む本です。
 今年のNHK大河番組『光る君へ』と重なる部分もあります。
 
 武田百合子:随筆家。1993年(平成5年)67歳没

 三島由紀夫:小説家。1970年(昭和45年)45歳没

 遠藤周作:小説家。1996年(平成8年)73歳没

 吉行淳之介:小説家。1994年(平成6年)70歳没

 バルザック:フランスの小説家。1850年(日本は幕末。1868年が明治維新)51歳没

 ヴィクトル・ユーゴー:フランスの詩人、小説家。1885年(日本では明治18年)83歳没。『レ・ミゼラブル』の著者。「ああ無情」

 はっきりとは書いてありませんが、東山権三郎は、俳優の高倉健さんに似ているらしい。

『最終話 「輝く日の宮」 丸谷才一著と文豪たちが愛したビール』
 最後のお話になりました。
 古典の知識、近代文学の知識が下地にないとなかなかすんなり理解できない作品です。あわせて、古書店の知識もあったほうがいい。
 そういった点で、自分の好みの本ではありませんでした。少女が読む本です。
 
 辻堂社長

 NCIS:ネイビー犯罪捜査班。アメリカ合衆国のテレビドラマ。アメリカ海軍、アメリカ海兵隊がからんだ事件を捜査する。犯罪捜査ドラマ。

 マーク・ハーモン:アメリカ合衆国の俳優。72歳。NCISに出演している。

 玉能小櫛(たまのうおぐし):『源氏物語玉の小櫛』 国学者本居宣長(もとおりのりなが)による『源氏物語』の注釈書。(説明、解釈書)以前三重県松阪市にある本居宣長記念館を見学したことがあります。古事記を翻訳した人です。そのときの感想メモが残っています。2011年(平成23年)3月の記録です。
 『地震列島と化した日本の紀伊半島を南下して、渋滞を抜け出してたどり着いたのは三重県松阪市でした。地元出身の人、本居宣長という人はよく知りません。江戸時代中期の学者さんのようです。古事記とか、源氏物語を訳した人という紹介です。千年間、翻訳できなかった物語を訳した人となっています。記念館で資料を見ました。几帳面で、根気強い方だったという印象をもちました。奥さんが旅好きで、旅に出たまま家に帰ってこないという嘆きが面白かった。本居宣長さんが学習や研究に励んだ場所、鈴屋というお店の2階の写真を撮ってみました。』

 源氏物語をそこで書いたという京都の廬山寺(ろざんじ)というところも見学したことがあります。2009年(平成21年)11月の感想メモが残っています。お寺さんは、京都御所の東にありました。
 『廬山寺(紫式部邸址(あと) 1000年ぐらい前、紫式部さんはこの地で「源氏物語」を書き連(つら)ねた。日本で最初の女流作家ではなかろうか。お寺さんの展示をみていると南北朝時代がついきのうのことのように思われる。縁側に腰かけて、紅葉した樹木と、白い石庭と今は眠りについている桔梗(ききょう)の苗をながめました。』
 今年始まったNHK大河ドラマ『光る君へ』との縁を感じました。初回から紫式部の母親が父親の上司の息子に刺殺されて不穏な動きです。父親がこどもの紫式部に言ったのは、『忘れろ』。母親は病気で急死したことにするそうです。なんとも理不尽な。不条理があります。

 東山権三郎についてです。男の立場からいうと、こんなかっこいい男の人は現実にはいません。この世にこういう人がいたらいいなという少女の空想と夢です。星の王子さまと、白馬に乗った王子さまです。(ふと、昔、三遊亭円楽さん(昔の)が、日曜夕方のテレビ番組『笑点』で、ご自分のことを、『星の王子さま』と言っておられたのを思い出しました)
 
 物見遊山(ものみゆさん):いろいろなところを見物しながら遊ぶ、散策すること。気晴らしをする。
 むげ(無下)にはしたくない:むだにしたくない。ないがしろにしたくない。
 
 夏目漱石:小説家。1916年(大正5年)49歳没
 竹久夢二:画家、詩人。1934年(昭和9年)49歳没

 数奇者(すきもの):執心な人物(あるものに気持ちが惹かれ(ひかれ)そのことが心から離れない)

 小山清:小説家。1965年(昭和40年)53歳没。太宰治の門人(もんじん。弟子(でし))。作品『落穂拾ひ』

 和泉式部日記(いずみしきぶにっき):平安時代中期の歌人和泉式部が記した日記。1008年ころの作品

 輪(わ):作品を、時代を超えてつないでいくもの。古本屋と学者は、輪の存在となる。子孫が引き継いでいく。
 よこしまな気持ち:正しくない。道をはずれた。

 田辺聖子:小説家、随筆家。2019年(令和元年)91歳没。作品『新源氏物語』
 
 東京神田神保町あたり、古書店街を紹介する本です。旅の本でもあります。
 
 吉田健一:文芸評論家。父は吉田茂。1977年(昭和52年)65歳没。

 佐倉井大我(さくらい・たいが):鷹島滋郎の関係者。男性。

 先日洋画『君の名前で僕を呼んで』を観ました。17歳の少年が、24歳の男子大学院生を愛する映画でした。前知識なしで観たのでびっくりしました。そしてこちらの本を読んでまたびっくりしました。偶然ですが、男同士、同性愛の話が続きました。
 映画と本と、同じテーマが続きました。

 『愛の形って、いろいろあると思いませんか』
 『察する(さっする。言わなくてもわかる)』世界を書いた小説でした。察するときは、自分の都合のいいほうに解釈するのです。
 でも、現実は違います。
 誤解や錯覚を解消するために、人間はしゃべらないとお互いのことを理解できません。
 自分の脳みその中にあることを正しい(うそはつかない)言葉に変えて相手に伝える努力をしないと自分の気持ちは伝わらないし、相手もそうしてくれないと相手の正直な気持ちはわかりません。

 本は、食堂併設の古本屋にしましょうというところで終了します。タイトルどおりの、『古本食堂』です。

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