2023年10月30日

つきのぼうや イブ・スパング・オルセン 

つきのぼうや イブ・スパング・オルセン やまのうち・きよこ訳 福音館書店

 読み終えました。まず、絵本のサイズが変わっています。縦が、34cmで、横が、12.7cm。細長い本です。この細長さを利用して、空の月から下にある地面、そして、海底までを絵で表現してあります。1975年(昭和50年)初版の絵本です。

 さて、もう一回、読みましょう。
 絵の天上にある黄色いお月さまです。顔があります。おじさんの顔です。
 おじさんの月の顔が、地球上にある地面のみずたまりに反射して映っています。顔は、ピースマークのようです。

 おじさん月の子分のような少年が登場します。『つきのぼうや』です。
 おじさん月『ちょいと ひとっぱしり したへ おりてって、あの つきをつれてきてくれないか。ともだちに なりたいのだ』(あのつきとは、地面のみずたまりに映っているおじさんの顔です)

 なかなか書けない文章です。
(つきのぼうやが)『とちゅうで うっかり ほしを けとばすと ほしは ながれぼしに なりました』
 
 へぇーー つきのぼうやが持っているカゴが三日月の形をしています。
 発想がいい。

 つきのぼうやは、時間をかけながら、宇宙から、地球の地上へと降りていきます。
 降りながらいろいろな生き物たちと出会います。
 展開がおもしろい。
 繰り広げられる出来事に動きがあります。
 ふーん。なかなかいい。高いところから低いところへの移動です。
 風が吹いています。動きがあります。
 凧(たこ)が揚がっている(あがっている)空です。
 高いところから低いところへ、縦長絵本の形が十分に活用されています。効果的です。
 ハロウィンみたいな(カボチャの顔をした)風船が浮かんでいます。
 なかなかいい。親戚に絵本が好きな5歳の女の子がいるので、こんど会った時にプレゼントしよう。
 
 なかなか地面に到着しない『つきのぼうや』です。
 地面を通り越して、『みずのなかへ とびこみました。』(水の中では、いろんな魚たちが、つきのぼうやに寄ってきます)

 つきのぼうやは、つきを手に入れました。(それは、手鏡です)
 つきのぼうやは、手鏡をカゴに入れて、今度は、空に昇っていきます。

 宇宙にいるつきのおじさんは、つきのぼうやが地上から持ってきてくれた手鏡に自分の顔を映して、鏡に映った自分をともだちだと思っています。
 幸せは遠くにあるのではなく、手元にあるのです。児童文学『青い鳥』を思い出しました。

 最後のページの絵がなかなかいい。
 つきのおじさんの顔、そして、地球の地上にいる人たちの月に照らされた影がいい感じをかもしだしています。

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