2022年12月22日

完全自殺マニュアル 鶴見済

完全自殺マニュアル 鶴見済(つるみ・わたる) 太田出版

 先日同著者の『人間関係を半分降りる 筑摩書房』を読みました。
 著者は、2歳年上である兄の家庭内暴力によって、家族関係を破壊されています。
 精神科受診歴ありです。かなり悩み苦しんでおられます。
 ゆえに、この『完全自殺マニュアル』なのです。これから読んでみます。
 不気味なタイトルですが、よく売れている本です。1993年(平成5年)出版。2022年で120刷されています。そんなに死にたい人がいるのか……
 少し前、SNSで知り合った面識がないらしき男女4人がホテルの部屋で薬物を飲んで、メンバーのうちのひとりである女子大生が、ベッドの上で袋をかぶって死んでいたというニュースがありました。
 何のために大学受験のための勉強をしたのだろう。女子大生を知る知り合いのインタビューでは、ふだんは、まじめで優しい性格のいい人だったそうです。
 つくり笑いかもしれない笑顔の奥に『心の闇』が隠れている。二重人格みたいな人がいます。
 自殺されると、残された家族の心には深い傷跡が残ります。後悔という心の傷は、自ら(みずから)が死ぬまで永遠に消えません。自殺した事実を認めたくない遺族もいます。認めると自分の心が崩壊するからです。
 先日はテレビ番組『家、ついて行ってイイですか?』で、女子大生当時に妊娠出産をして、実家の親から勘当(かんどう。親子の縁を切る)されて、東京で、幼い娘と貧困暮らしをしてきた年配の女性の話がありました。たいへん苦労されて、幼かった娘さんは五十代になられてから、がんになって亡くなっています。見ていて思ったことです。世間体(せけんてい)よりも中身が大事。他人の目よりも、自分たちが生きているという幸せが大事です。実家のご両親、とくにお父さんには妊娠した娘さんを許してほしかった。

 この本の帯には『18歳未満の方の購入はご遠慮ください』と書いてあります。本は、ビニールで包まれていて中身を見ることができない状態で注文後送られて来ました。わたしは、もう老齢者で18歳未満ではないので堂々と読みます。自殺しなくても、お迎えまでの時期のほうが近い年齢になってしまいました。

(1回目の本読み)
 わたしが実用書を読むときは、まず、1ページずつゆっくりめくりながら最後のページまで目を通します。何が書いてあるのか、あらかじめ全体を把握してから2回目の本読みをします。

 「はじめに」があります。
 これから先、自殺するための方法が書いてあるそうです。
 本当は、自殺するための方法だけを淡々と書きたいけれど、営業上の理由で、書きたくないことを書いておかなきゃいけないという趣旨で、この本の出版の理由が書いてあります。読者が予想するであろうとおり、筆者は、自殺してはいけないというメッセージをこの部分に書き記しています。

 救いのある本です。
 生きようとしている。生きたいと訴えている文章です。
 すごい気合が入っている文章です。
 8ページでは、小説家太宰治(だざい・おさむ)氏のことが思い出されました。(その後やはり自殺した小説家芥川龍之介氏のことも出てきました。そういえば、川端康成氏も自殺でした。小説家の心理にとって自殺行為は身近なものです)

 本文に移りました。

 不謹慎な言い方ですが、おもしろい出だしです。
 通信簿のような五段階評価があります。株式投資参考分析のための会社評価の円に囲まれた六角形の表のようでもあります。
 (死ぬときの)
 苦痛、手間、見苦しさ、迷惑、インパクト、致死度の五段階評価です。

 クスリのページを見ていてびっくりしました。
 薬局で売っている薬の写真があります。(市販の薬で死ねるのか)

 全体をとおして、すごい文章量です。
 著者はすさまじいエネルギーと時間をこの本に注ぎ込みました。
 専門用語もけっこうあります。わかりやすく説明されています。

 次に出てきたのが『煙草(タバコ)』です。
 そうか、喫煙は自殺行為なのか。

 次が首つり。
 よくある手段です。

 69ページまで読んで、ふと、思い出したことがあります。
 二十代のころ、職場の先輩が話していたことがあります。
 『自殺は、その時は止められても、次の時には止められない』
 自殺志願者は、しじゅう自殺することを考えているから、一度止めることができたとしても、その数時間後、数日後、数週間後に再び試みられた時には止めることが無理というものでした。(納得できました)

 『樹海(じゅかい)』富士山麓の森の中で道に迷って餓死するということだろうか。
 場所の地図やバス停の写真まであります。
 『地元の人に怪しまれるな!』なんだか、ユーモラスにすら思えてきます。
 
 ビルからの飛び降りです。
 20m以上の高さが必要だそうです。
 4階建て、10mぐらいだと死に損ないそうです。
 
 崖や団地の固有名詞が出ています。

 ときに医学書を見るようです。
 体の部位の解体図みたいなものがあります。
 
 ああ、練炭自殺ってありました。安楽死できそうです。(そういえば、自分は中学一年生の冬に、練炭ごたつ(れんたんごたつ)の中で眠り込んで、一酸化炭素中毒にかかって病院に搬送されたことがあります。手術台の上で意識を取り戻しました。無影灯(むえいとう。明るく白く輝くライト照明)が天井にありました)この本では、車でのガス中毒が紹介されています。

 『自殺村』というところが大阪にあったそうです。
 この本は、自殺の研究書です。

 入水(にゅうすいじさつ)からは、心中(しんじゅう)を思い浮かべます。男女の心中。母子の心中。風呂場でもOKと書いてあります。祖母と孫の心中もあります。悲しいことです。

 火柱をあげての自殺は激しい。(焼身自殺です)
 雪山での凍死。
 餓死。いろいろあります。
 クマにかみ殺される。
 生命保険がらみ。命は金です。
 最後のほうは、自殺のデータです。死に方の分類です。
 アメリカ合衆国での自殺は、銃がらみの自殺です。銃社会という背景があります。
 
 最後のページまできました。
 思い切りがいい文章でした。

 自殺はやめましょう。
 急がなくても、人間はだれでも必ず最後には死にます。

(2回目の本読み)
 さて、最初に戻って、ゆっくり読み始めます。
 『クスリ』です。五段階評価で、死ぬのには、手間がかかるとあります。この部分を読み終えてわかったのですが、かなり大量の薬を飲まないと死ねません。人間の体の自然の働きとして、途中で、具合が悪くなって吐いてしまうそうです。苦しそうですからやめましょう。
 クスリの種類がいろいろ書いてあります。
 サプリメント(栄養補助食品)が流行っていますが(はやっていますが)、まあ、へんなものやわけのわからないものを口には入れないほうがいいです。

 医薬品以外として『煙草(タバコ)』が紹介されています。
 あかちゃんが2本ぐらい誤飲すると死んでしまうこともあるそうです。子育て中の方は注意しましょう。喫煙者のご両親や祖父母の方は禁煙しましょう。

 殺虫剤の紹介があります。人間が飲むものではありません。やめましょう。(この本を読んでいたころに同時進行で読んでいた作品『硝子の塔の殺人(がらすのとうのさつじん) 知念実希人(ちねん・みきと) 実業之日本社』で、ねずみを殺す薬が犯罪に使用されていました)
 灯油やガソリンも飲んじゃだめです。

 そうか。読んでいると、日常生活の中に、毒になりそうなものがたくさんあります。

 いじめが原因の中学生の自殺のことが書いてあります。
 学校側には、勉強よりもいじめ撲滅を最優先に取り組んでほしい。

(つづく)

 『首吊り(くびつり)』
 思い出したことがあります。
 もう半世紀以上昔の話ですが、(50年以上前の出来事)自分は、小学校一年生の時に(そのとき、祖母に止められて亡くなった方を見てはいませんが)首吊りの現場にいたことがあります。
 父方祖母とまだ6才だったわたしのふたりで、祖母の友人で、近所でひとり暮らしをしているおばあさんの家にむだ話でもしようと訪ねて行ったら、そのおばあさんが家の奥の部屋で首をつって亡くなっていました。(もう忘れていた記憶が、本のこの部分を読んでいてよみがえりました。実際の光景を見なくてよかった)その後、そのおばあさんのお葬式では、自分は祖母に言われて、葬式行列の先頭付近で位牌(いはい)を両手で持って、山の中腹にある集落の墓場まで歩きました。当時はまだ土葬(どそう)だったので、葬式行列で歩く自分の後に円筒形の棺桶がついてきました。いろんなことを思い出してしまいました。そのときの労働のごほうびが、古新聞紙に包まれたお菓子でした。

 本書によると「首吊り」は、最善の自殺の手段だという趣旨で解説があります。
 変な表現ですが、「お勧め(おすすめ)」なのです。
 しばらく前に、刑務所で収監されている死刑囚が、死刑の手段として「首吊り」は残虐(ざんぎゃく)だからけしからんというような訴えを裁判所に起こしたというニュースを見ました。(そういうものなのかとその時は思いました。されど、この本によれば、楽に死ねるそうなのです)
 高さは必要がない。脳に血を送る動脈を締めれば人間は死ぬそうです。
 脳への血液供給を止める。
 一瞬で意識がなくなる。苦痛なしとあります。(わたしは嫌です)
 ふざけていて、事故死のように亡くなった例がいくつか紹介されいます。
 ただ、完ぺきな死を迎えるためには、一定の時間がいるそうです。
 実例として、歌手の例、連合赤軍の活動をしていて殺人をおかし収監されていた最高幹部の例、精神病院の患者の例などがあげられています。
 年間1万人もの人が首つり自殺で亡くなっているそうです。
 なんなんだろう。明日に希望がもてない環境になると、人は、明日を生きることをあきらめる。ちょっとはっきり思い出せないのですが、邦画作品「男はつらいよ」のフーテンの寅さん(とらさん)のセリフだったか、何かの本に書いてあったフレーズで『幸せとは、明日が楽しみだと思える生活を送ること』というような格言めいた言葉がありました。そんなことを、この本を読みながら思い出しました。『たまに、幸せだなあと思える時がある。それを幸せっていうんじゃないかなあ』というのが、寅さんのセリフだったような記憶です。

 『樹海(じゅかい)』富士山の山麓です。森の中に入って、迷って餓死するのかと思ったら、森の中で首を吊るそうです。死後、見つからないようにするそうです。(ひとりぼっちでさみしそう。死後、だれかに見つけてほしいという気持ちはないのか)
 年1回、自衛隊の歩行訓練があって、死体が発見されるそうです。
 平凡なコメントですが、死ぬ気があったら、死ぬ気で生きてほしい。

『飛び降り』
 何十年も前に東京のビルから飛び降り自殺をした女性アイドル歌手の名前が出てきます。18歳でした。ショッキングな自殺でした。覚えています。すでに結婚していましたが、自分も若かった。アイドル女子は、いろいろとがんばりすぎて、心身をコントロールできなくなったのでしょう。
 彼女がデビューして人気が出てテレビに出ていた当時、わたしの知り合いのおばちゃんが彼女の知り合いで、おばちゃんがサインをもらってあげるわと言い、おばちゃんから白い厚紙に書かれた彼女のサインをもらいましたが、その後自分が引っ越しを二度したこともあって、そのサインはどこかにいってしまいました。
 偶然ですが、先日電子書籍の週刊誌を読んでいたら、彼女のご両親は彼女が自殺したあと離婚されたという内容の記事を読みました。
 自殺は、あとに残された人にも深い悲しみを連鎖させていきます。自殺はやめましょう。
 この本では、飛び降りは、苦痛はないことが多いけれど、迷惑をかけることは、はなはだ大きいと解説されています。巻き添えで、たまたま建物の下にいた関係ない人まで死ぬこともあります。自殺はやめましょう。
 スカイダイビングのような感じです。数秒間の間に、思い出が走馬灯のように流れるそうです。(死にきれなかった人の話です。転落しても死ねない人もいます。自転車置き場の屋根とか車の屋根がクッションになるそうです)
 転落後に死んだ姿はむごい姿になるそうです。
 先日読んだ『闇祓(やみはら) 辻村深月(つじむら・みづき) 角川書店』を思い出します。古い建物を改装したサワタリ団地から複数の主婦が時期を変えて飛び降り自殺をします。

 いじめを受けた中学生は自殺をしやすい。
 『毎日いじめられるので、学校に行くのがいやになりました……』関係者はいじめ防止に熱意を注いでほしい。
 いじめた中学生たちは、『バンザーイ!』と言ったそうです。おもしろいとか退屈だったからが、いじめた理由です。狂っています。脳みそへの教育がされていません。生まれたところからやり直しです。
 
 団地からの飛び降りが多かったという説明があります。
 そういえば、昭和50年代に、大都市には、自殺の名所となっている高層の公団住宅があった記憶です。もうすっかり忘れていました。

 今は96ページにいます。気が重くなってきました。『孤独』は、死に近い。
 ビルの高いところから下を見下ろす写真があります。怖い(こわい)。死にたくありません。

『手首・頸動脈切り(けいどうみゃく。首のあたり)』
 わたしは小中学生のころ、将来は動物園の飼育員か獣医になろうかと思っていたことがあります。でも、よく考えたら、血を見ることが怖い人間だったので、医者とか獣医には向かないということが自覚できました。ゆえに、手首を切るなどというおそろしいことはわたしにはできません。

 文章を読んでいて気分が悪くなってきたので速読します。
 なかなかこの方法では死ねないそうです。
 スリル(恐怖)はあります。
 この本は1993年の本です。(平成5年)。
 今年の紅白歌合戦に出るかもしれないとニュースが流れた当時のアイドル歌手の名前が書いてあります。その昔、自殺企図(じさつきと)がありました。
 (今は、みんな歳をとりました。昔も今も、十代アイドルのメンタルの管理は、関係者がしっかりやったほうがいい)

 死にたかったら手首を切り落とせみたいに書いてあります。無理です。やめましょう。
 それから、首を切るなんて、おそろしくてできません。
 心臓を刺すのもむずかしそうです。
 
 挑戦して、死ねないことがわかって『助けてーー』と叫んだ女子高生の例が書いてあります。

 この付近を読んでいて思い出した作品があります。『1リットルの涙 木藤亜矢』病気で亡くなった娘さんの手記です。たしか『ばかでもいいから五体満足な体がほしい』と書いてありました。
 生きたいのに死ななければならない運命の人たちがいます。自分から死んじゃだめです。

 会社の不正を隠すために死んだ人がいます。
 不気味です。遺書に『会社の生命は永遠です……』自分の生命は永遠ではないのです。間違っています。

 恋愛がらみの自殺企図があります。
 案外いっしょに暮らしてみると、こんなはずじゃなかったのにと思うことが多いのに。
 『あこがれ』は錯覚(さっかく)なのです。世の中は、誤解と錯覚で成り立っているのです。
 歳をとるとわかります。

 本の中身はすごい調査能力で驚かされます。

『飛び込み』
 『飛び降り』があったので『飛び込み』って何だろうと思いました。
 鉄道への飛び込みでした。
 かなり問題のある自殺方法のようです。
 見苦しさ、迷惑が5段階評価の5です。
 永い人生を送ってきたので、人生経験のひとつとして、一度だけ電車にひかれた人を見たことがあります。顔は挫傷して(ざしょう。ひきずった。こすれた)性別も表情もわからず、粘土の塊(かたまり)のようでした。こわいとは感じませんでした。見た目は、粘土でできた人形のようでした。毛布をかぶせられて担架で運ばれて行きました。亡くなっていたと思います。
 鉄道への飛び込みはおおぜいの人たちに迷惑をかけるからやめてほしい。そもそも自殺自体をやめてほしい。
 
 妻のある男性との不倫関係で悩んで電車に飛び込んだ女性の例が書いてあります。
 『不倫』は、自殺の理由になるのです。不倫はやめましょう。

 鉄道自殺に失敗して、両足を失った女性のことが書いてあります。
 その後、義足を付けて結婚されて2児をもうけておられます。
 洋画『フォレスト・ガンプ』に出てくる軍隊でフォレスト・ガンプの上司だった軍曹のようなポストの男性を思い出しました。彼は戦場で戦っていた時に、敵の爆弾で足を失います。彼は軍人としての名誉のために俺はここで死ぬと主張するのですが、フォレスト・ガンプが彼をかついで助けます。長いこと、上司はフォレスト・ガンプを死なせてくれなかったとうらみますが、やがて、うらみが晴れる時が来ます。生きていなきゃだめなんです。

 125ページに『三原山』が出てきました。伊豆諸島の大島にある火山です。
 どういうことだろうと首をかしげましたが、火口に身を投げるそうです。捜索もしてもらえないそうです。なんだかすさまじい話です。

『ガス中毒』
 ガスをためて爆発させて爆死するのかと思ったら、ガス管を口にくわえて死ぬやり方があるそうです。(小説家川端康成氏がそうだったそうです)
 だけど、たまったガスに引火して、爆発することもある。近所迷惑です。別の部屋の人が巻き添えで亡くなったこともあると事例が紹介されています。自殺を図った本人は生き残っていたりもします。これはもう殺人罪です。
 都市ガスではなかなか死ねないとあります。
 ガスを吸って中毒で死ぬ。
 車の排気ガスを吸って死ぬ。
 そういえば、小学校低学年のこどものころ、排気ガスのにおいがとてもいいにおいで、うれしい気持ちで吸った体験があります。(あぶなかった)
 
 この死に方に限らず、ほかの方法でも、死後発見されたときのこととして、失禁(しっきん。おしっこちびり)、脱糞(だっぷん。うんこちびり)の状態で発見されたくないという意識が人にはあるようです。ゆえに、なかなか死ねない自殺行為中にトイレに行って用を済ましてから死んでいたということがわかる人がいたそうです。(うーむ。人間の行動とはわからないものです。うんこ、しっこで、かっこわるい思いをしたくないのなら死んじゃだめです)

 自殺の理由が、借金とアルコール。うーむ。返せないお金は借りない。いや、返せない人には貸さない。アルコールはやめて白湯(さゆ。あたたかいお湯)を飲む。そのほうが体には良さそうです。

 これを書いている今、ラジオからは、昨年の今ごろ起きた大阪にあったクリニックでのガソリンまき引火爆発大量死事件のニュースが流れています。他人を巻き込んでの自殺行為です。あれからもう1年がたってしまいました。やりきれない思いが残ります。

 140ページまで読んできて、読み疲れてきました。時間をかけて、ずーっと毎日少しずつ読んできました。なんだか、自殺で死ぬのがばからしく思えてきました。これだけ労力を尽くしてあの世へ行きたいのなら、生きたほうが楽です。生きていれば楽しい体験もできます。
 以前読んだえびすよしかずさんの本に、たしか、死にたいと思った時は、おいしいものをいっぱい食べて、ぐっすり眠るといいと書いてありました。
 おいしいものを食べると、幸せな気分を味わえます。またおいしいものを食べるために、がんばって働こうと、生きていく動機が生まれます。
 疲れているから死にたくなるのです。疲れがぬけるまでぐっすり眠りましょう。

『感電』
 そんな死に方があったのか。事故死のようなものです。
 ほかの死に方でも出てきていましたが、単独のやり方ではなかなか死ねない。合わせて睡眠薬を飲んだり、アルコールを飲んだりです。

 本人が感電死しているときは、本人にさわらない方がいいそうです。まだ、その人の体に電流が流れていることがあるそうです。巻き添えはごめんです。

 別件として、大阪府内に自殺が相次いだ町があるそうです。6月4日から7月2日までに5人の男女が亡くなっています。
 思うに、公表されないがために、案外、全国各地の自治体内で自殺は起きているのではないか。
 知らないだけかもしれません。

『入水(にゅうすい)』
 体がひどい状態で発見されるそうです。
 窒息死で死ぬ。
 女性が好む方法だそうです。
 153ページ、ここまで読んできての感想です。
 原則として、人生で1回だけのチャレンジです。例外は未遂で生き残りです。再チャレンジもなきにしもあらずですが、よほどこの世がイヤなのでしょう。
 ホラーとかスリラー作品よりもこの本のほうが怖い。気になって、ネットで、ほかの方の感想も読みました。たくさんの感想が寄せられていました。むしろ、この本を読んで、死ぬのがばからしくなったというご意見もちらほら見かけました。ぜひ、そうしてください。
 入水の部分を読みながら、今年、知床半島遊覧船沈没事故で亡くなられた人たちの亡くなった時の状態と重なる細かい状態表現が書いてあって、犠牲者の方たちがとても気の毒になりました。運行事業者はひどいことをしたものです。自殺する気なんてこれっぽっちもない人たちでした。あまりにもお気の毒です。観光業に携わる(たずさわる)人たちは、事故防止にきつく努めてほしい。安全第一、人命第一です。金もうけに心を奪われないでほしい。

『焼身』
 焼け死ぬというよりもガスで中毒死すると思って読み始めましたが違っていました。焼け死ぬのです。死にそこなったら、生き地獄を味わうことになります。
 ふーっとため息をつきながら思う。いろんな本がある。本の世界は広い。死ぬ本もあれば、死にたくない本もある。
 焼身自殺では、即死できないそうです。
 この自殺を選択する理由として、悲惨(ひさん)な事情があって、その不幸な事情を世間にアピールする(ときに加害者の非を責めて、自分を責めた相手を世間のさらしものにする)ことが目的だそうです。復讐です。

『凍死』
 新田次郎作品で映画化された『八甲田山 死の彷徨(ほうこう。さまようこと)』を思い出します。
 八甲田山(はっこうださん)の山上(さんじょう)にはロープウェイで二度行ったことがあります。一度目は雪山状態ですばらしい景色と空気でした。このブログの青森県のところに写真があります。
 されど、自殺目的の山入りは悲惨です。死ぬのも根性がいります。
 北海道の大雪山での事例が書いてあります。
 
『その他の手段』
 餓死(がし):すさまじい貧困暮らしがあります。
 砂丘に埋もれる:そんなことができるのか。窒息死です。
 
 いついつどこで何があったという書き方をしてあるので、歴史書を読むようでもあります。

 クマにかみ殺された:クマ牧場のクマ舎に飛び込んでいます。そんなことをする人がいるのか。クマもびっくりしたんじゃないか。

 尊厳死(そんげんし):自殺しなくても近々死ぬ運命にある人の死です。うーむ。まわりの人は死ぬなと止めると思います。

 生命保険目当ての自殺:保険金はおりるようですが、死んだらだめです。ばかになって、働いて、倹約すればお金は残ります。

 187ページ以降はデータです。
 統計数値をながめていると、悲しい気持ちになってきます。
 人間って、何なのだろう。
 1年のうち、5月の火曜日がいちばん危ない日らしい。
 アメリカはピストル自殺が多いそうです。
 
 読み終えました。
 かなり時間がかかりました。
 疲れました。
 わたしは、長生きしたい。
 いままで苦労したのですから、リタイア後は、そのぶん楽しい思いをして極楽浄土(ごくらくじょうど。苦しみのない楽しい世界)へ旅立ちたい。

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