2022年11月10日

説教したがる男たち レベッカ・ソルニット

説教したがる男たち レベッカ・ソルニット ハーン小路恭子・訳 左右社

 今回読む本は、韓国人女性が書いた作品『私たちにはことばが必要だ -フェミニストは黙らない- イ・ミンギョン すんみ・小山内園子 訳 タバブックス』の中で書かれていた本です。「男は女を殺す」という内容で説明がありました。
 本の趣旨としては、女性差別反対! 女性を男性の支配から解放するというメッセージだと思います。

 読み始めます。
 エッセイが9本あります。(エッセイ:短い文章でなにかを表現する)

『1 説教したがる男たち』
 アスペン山麓(さんろく):アメリカ合衆国コロラド州アスペン市。高度2740m。
 40代の筆者と友人らしきサリーです。
 カンタベリー物語:14世紀イングランドの詩人ジェフリー・チョーサーが書いた物語集。当時のあちらこちらの物語を集めてある。カンタベリー大聖堂(イギリスにある教会)。

 女性の内面で起きる戦争:女性の意見が男性に否定される。男性から女性である自分がいなくてもいい存在扱いをされる。
 中東各国では、女性の証言が法的に保障されていない。男性の目撃者が必要とされる。
 
 読んでいると怖くなってくる(こわくなってくる)本です。
 女性が、動物や虫けらのように殺されていきます。殺すのは男です。殺す加害者は『配偶者』『元配偶者』です。
 『暴力は人々を沈黙させる』
 
 女性が人間としての地位を獲得したのは、1970年代なかば(昭和50年以降)とあります。

 女性は性暴力にさらされている。

 47歳のとき、著者は「説教したがる男たち」というエッセイを書こうと思った。2008年です。(平成20年)

 『行きたい場所に行き、言いたいことを言うのは、生存のための……(権利だ)』移動の自由、表現の自由が女性から奪われていた過去があります。

『2 長すぎる戦い』
 アメリカ合衆国の治安の悪さについて書いてあります。レイプ事件が多い。(強姦ごうかん。性行為の強要)
 読んでいると、アメリカ合衆国は銃を所持してもいい社会であり、治安の悪さの面で、観光旅行に行くことが嫌な気分になります。
 悲惨(ひさん)なことがいっぱい書いてあります。『この国も全地球も……(女性に対する暴力であふれている)』
 レイプの加害者が警官であったりもします。高校や大学のアスリート(スポーツ選手)男性も信用できません。
 女性はやられるばかりです。被害者である女性のほうが自殺することもあります。
 どうしてこんな男たちがいるのか。大半の男たちは節度を守ってちゃんとしている。『(加害者は)胎児の時期に受動喫煙があった(ゆえに脳みその中身にゆがみがあるというような記述)。両親が非社交的。低所得者層』そんなことが書いてあります。

 性的な誘いを拒否すると男に殺される。
 男から卑猥な(ひわいな)言葉を浴びせかけられるそうです。
 著者は、女性であることの危険性を訴えています。

 政党である共和党のこととか、中絶禁止についての賛否のことが書いてあります。
 『レイプされた女性の体は、妊娠を避けるよう機能するはずだ』という共和党員の発言があるそうです。(わけがわかりません。その共和党員男性の頭の中のつくりはどうなっているのだろうか)
 『レイプによる妊娠は神の恩寵(おんちょう)』という主張があるそうです。恩寵(おんちょう。神さまからの恵み)そんな発言は、もう犯罪です。
 実父や義父によるレイプ。(めちゃくちゃです。本来こどもを守るべき立場の人です。人でなしです)
 読みながら思うのは『安全であることをどうやって確保したらいいのか』
 50ページまで読んで、アメリカ合衆国に対する『絶望』と『失意』が芽生えました。アメリカ合衆国もロシアも中国もインドも似たようなものなのかも。

『3 豪奢(ごうしゃ。とても豪華)なスイートルームで衝突する世界 IMFとグローバルな不正義と電車の中の他人について』
 ひとつは、男女を国名に変えて説明があります。
 男:(支配する側。富。)ヨーロッパ、アメリカ合衆国、
 女:(支配される側。貧困)アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、
 もうひとつは、組織の上層部にいる幹部の男性にいい人はいないということです。
 性暴力をふるう男性が、IMF(国際通貨基金)にいた。『金を払うから(なにをやっても)いいだろう』です。
 最近どこかで聞いたようなお話です。俳優さんとか。企業のトップとか。
 ストレス解消が女性に対する飲酒をともなった性暴力です。
 英雄色を好むということもあります。

 現実として『暴力には暴力で対抗しないと自分の体を守れない』

 多数の貧困者とひとにぎりの富豪がいる。

 過去の失敗を失敗と認めて未来を考える。

 女性は、声をあげることで、男の名誉と栄光を奪うことができる。
 男の名誉と栄光は、女性の犠牲のうえにあると読み取ることができます。
 男は、女をまるでゴミのように捨てることがある。

 彼の名前は『特権』。
 彼女の名前は『可能性』。永遠に語り継ぐ。けして完結しない物語を語り継ぐ。

 男は大金で問題にケリをつけようとする。
 女性に大金を支払って黙らせる。
 黙る女性はいる。
 和解が成立する。
 女性を責めることはできない。

 加害者がいたぶる相手は複数。加害行為は常習ということもある。
 加害者は偉いさんです。(組織の幹部)
 貧しい移民の女性が民事訴訟で、偉いさんである男性に性暴力をふるわれたと訴えて責めます。偉いさんは、お金で和解しようとします。女性は貧しいからお金をもらってあきらめます。

『4 脅威を称えて(たたえて) 結婚の平等が真に意味するもの』
 アメリカ合衆国保守派の同性婚に対する批判について書いてあります。
 
 日本の場合は、国民の整理整とん、おおぜいいる人間の交通整理の手段として、戸籍制度があるので、同性婚とか夫婦別姓を認めるためには、戸籍制度自体を触(さわ)らなければならないという困難さがあると自分は考えています。
 システムを変えなければ『同性婚』『夫婦別姓』の実行ができません。法律の改正とか新たに法律をつくる必要があります。国民全体のことを考えるとなかなかむずかしいものがあります。

 過去の歴史として、夫がボスで、配偶者である女性は、夫の所有物だった。
 女性は、召使い、奴隷の扱いで、男女平等ではなかった。
 夫は外で仕事、妻は家で家事というのもその考え方にあてはまる。

 結婚とは、こどもをもって育てること。
 現代では、人工授精、代理妻、養子制度もある。
 血がつながっている親子兄弟姉妹親族でも交流がうまくいかないこともある。
 血がつながっていなくても仲良しで暮らしていける人もいる。性別も関係ない。
 そんなことが書いてあります。

『5 グランドマザー・スパイダー』
 絵画の話です。
 一枚の絵がありますが、人物である女性の顔と体は布におおわれていて見えません。ひざから下の足が見えるだけです。
 絵の中で、女は存在しているのに消されていると、分析と批判の表現があります。

 家系図の話があります。男である父系図です。男系図ですから、女性の名前はありません。
 父権主義的な血統主義です。
 意味をとれないのですが、やがて排除されてしまうことを『グランドマザー』と呼ぶそうです。
 ほとんどの文化で、こどもは父親の名前を受け継ぐ。既婚女性は、ミセスだれそれ(男の名前)で呼ばれる。
 結婚によって、妻は夫の枠に組み入れられる。
 家族写真に夫と男のこどもは映っているが、妻と女のこどもは写っていない。(アフガニスタンの話。女は全身をヴェールやブルカで顔や体をおおっていた)
 
 読んでいて、外国世界での女性差別の厳しさが伝わってきます。

 『映画』『絵画』『歌唱』『写真』には、女性解放のメッセージがある。
 沈黙に追い込まれずに歌うとあります。

 精神的にかなり重たい話が続きます。

『6 ウルフの闇 説明しがたいものを受け入れること』
 1915年、ヴァージニア・ウルフは33歳の女性だったから始まります。イギリスの作家さんだそうです。精神病疾患があったようで59歳で自殺されています。
 日記にある言葉が『未来は暗い。思うにそれが、未来にとって最良の形なのだ』自分には言葉の意味がとれません。
 自分が女であるから未来が暗いのか。
 彼女の言葉として『女である私に国はありません』
 
 哲学的で内容はむずかしい。

『変態に囲まれたカサンドラ』
 カサンドラというのは女性の名前で、女だから真実を言っても信じてもらえなかったそうです。
 トロイの王女カサンドラだそうです。
 王女でも信じてもらえないのか。親族から狂った嘘つきと言われたそうです。

 女性には『主張』という概念がない。事実の有無以前に、女性にはなにかメッセージを発する能力も権利もないとされている。
 女であることが、アキレスけん(弱み)扱いされる。
 
 人を攻撃することに快感をもつ人たちがいます。
 女性たちは虐待の対象です。
 フロイトという精神科医が出てきます。

 虐待の加害者である男は『合意があった』と主張します。
 性的異常者がよく使う言い訳です。
 権力者が性的異常者であることがある。
 裁判官がセクハラの加害者であることもあると事例が紹介されています。
 なんでもありです。恐ろしい。
 大学構内もやばい。軍隊内部でも性的暴行が蔓延(まんえん)しているという紹介が続きます。(日本でもニュースで流れていました)
 著者は、横暴な男たちと闘っています。
 女性が出世するためにやむなくセクハラに応じる悲しさが書いてあります。
 この本は、厳しい本です。

 冤罪の話がでます。(えんざい。事実ではないことで罪を負わされる)

『#女はみんなそう』
 対立をサッカーのワールドカップにたとえてあります。
 フェミニスト(女性解放運動家)のオールスター・チーム「広範な社会問題」 VS メインストリームのメディアと男たちチーム「ほかの出来事とは無関係」(ちょっと、自分には意味がわかりません)
 男チームは女チームを責める時『精神疾患』と言います。
 
 アメリカ合衆国の統合失調症の患者たちは『暴力をふるえ』という幻聴の声を聴く。
 
 『#女はみんなそう』が、はやったことが書いてあります。
 女性同士の対話が大量に繰り返されたそうです。

 言葉を武器にする。
 冒頭に書いた先日読んだ本につながります。
 『私たちにはことばが必要だ -フェミニストは黙らない- イ・ミンギョン すんみ・小山内園子 訳 タバブックス』
 
 男は、上司が(女性に対して)助平(すけべえ)なことを言い、性的なサービスを要求したことが問題になるとは思っていない。
 男は、夫が妻をレイプすることが犯罪だとは思っていない。夫の部分が「恋人」になったりもします。

救いのコメントもあります。『多くの男性はレイプ犯ではないし、多くの女性は被害者になることはないのだが……』
 男の権利が女の権利を蹂躙する。(じゅうりん:踏みにじる。侵害する。傷つける)

『9 パンドラの箱と自警団』
 読んでいて思ったことです。
 歴史上、現在が一番民主的ということはない。
 人類は常に『途中経過』の途上(とじょう)にいる。

 書いてあることの主旨(しゅし)として、警官は、女に肌をあらわにするようなみだらな服装をするなとは言うけれど、警官は、男には、レイプをするなとは言わない。
 事件の責任は、女のほうにあるとされる。(くやしい)

<全体を読み終えて>
 今まで知らなかった世界をこの本で知りました。
 窓を開けて、今まで見たことのない世界をながめた気分です。
 自分はもう仕事をリタイアした身分で、さらに、心身の老化で男の部分もリタイアした気分なので、傍観者(ぼうかんしゃ)の立場で、窓の外の風景をながめるような感覚です。
 徒然草(つれづれぐさ)を書いた吉田兼好(よしだけんこう)法師のような気分で毎日を過ごしています。
 男に対して怒りを感じている女性がこの本を読まれると、気持ちがすーっとするかもしれません。

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