2022年11月09日

ともだちが ほしかった おばけ

ともだちが ほしかった おばけ スザンヌ・コフマン作 ふしみみさを訳 光村教育図書

 2022年8月発行の絵本です。
 本のカバーにある白いおばけがかわいい。
 おばけのQ太郎は毛が三本ですが、こちらのおばけは毛がありません。
 まんまるめがねをかけていて、ほっぺたが青森のりんご娘みたいに真っ赤です。

 表紙をめくって、おばけが、やっぱりかわいい。
 雨が降っています。
 おばけはだれにも見えないようです。
 だから、ともだちがいません。

 昔見た洋画『キャスパー』を思い出します。
 絵本の絵は外国です。

 おばけも人間と同じで『孤独』がにがてです。
 
 人間たちのすぐそばにいても、だれもおばけの存在に気がついてくれません。
 気づくのは、犬のブラウンだけです。(なるほど)
 だからおばけは<さみしい>
 
 ところがあるひ……
 赤い風船が現れました。

 ともだちのつくりかたです。
 似た者同士がともだちになりやすい。

 絵本に最初から出てくるこのおばけは、女子ではなかろうか。
 赤い風船と仲良しになれたおばけです。
 風船だけど風船じゃない。
 友だちはいつか恋人になったりもする。
 いつもいっしょ。
 たいていいっしょ。
 
 起承転結の転です。
 おばけのともだちである赤い風船がいなくなってしまいました。
 人間界でもたまにあることです。
 探しても探しても見つかりません。

 ていねいな絵です。

 だんだん気持ちがしぼむおばけです。
 風船がしぼむように気持ちもしぼんでいきます。

 赤い風船は赤い風船ではありませんでした。
 真実を知りたい方は、絵本を買ってください。
 うまくいえないけれど、こういうことって大事なんだろうなあという絵本です。
 『なんでもないこと』が大事なのです。
 THE 虎舞竜(ザ・トラブル)高橋ジョージさんの歌曲『ロード』を思い出します。
 今年放映されたNHK『72時間』の特集番組の時に出演された方も同様のコメントをお話しされていました。
 青森県恐山(おそれざん)の72時間という番組を観終わって、親しかった人を亡くして、思い出してみれば、なんでもない日常生活のなかに幸せがあったとふりかえるものでした。
 なにかしら口実(こうじつ。きっかけづくりの材料)をつくって、人が集まって、飲み食いをして、どうということもない話をしてその場を過ごす。
 宴(えん。うたげ)が終わったら別れて、また集まって、そんなことを繰り返しながら歳をとって、ひとりずつ天寿を全うして(まっとうして)、この世にお別れをしていく。
 そんな日常生活を送ることが幸せなことだと、歳をとって気づかされました。

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