2022年09月13日

なぜ僕らは働くのか 学研プラス

なぜ僕らは働くのか 監修 池上彰 佳奈(マンガ) モドロカ(イラスト) 学研プラス

 タイトルを見てとまどいます。
 わたしはこれまでに、なぜ、自分が働くのかなどと考えたことがありません。
 生活していくためにはお金がいります。
 働かないとお金が入ってきません。
 つまり、死んじゃいます。
 死にたくありませんし、働かないという選択肢を考えたこともありません。

 うちは、中学1年の初夏に父親が病気で急に亡くなってから、収入源となる大黒柱を失った貧乏な母子家庭になってしまいました。
 お金ほしさで、中学2年14歳の時から、新聞朝刊配達のアルバイトを始めて、以降、歳をとって定年退職するまで、アルバイトやサラリーマンをしながら働き続けました。
 この本の中の14歳男子は、中学受験に合格して私立中学校に入ってから不登校になって転校しています。学校に行かないのなら働けばいいのにという自分の考えは、今の時代ではこどもの権利擁護(けんりようご。守る。保護する)で批判されるのでしょう。

 自分がこどもだったときには、こういうマニュアル本は見たことがありません。
 おとなになってから見て読んだのは『13歳のハローワーク』でした。
 データをさがしたら、そのときの感想メモが残っていました。
『13歳のハローワーク 村上龍 幻冬舎』 2003年発行
 巻頭の著者の言葉には納得させられます。
 これまでの日本経済、日本人の暮らしの変化をとらえながら、この世に楽な仕事はない。苦痛の代償が金銭だ。
 自分にとってどんな苦痛だったら耐えられるかを基準にして仕事を選択しよう。
 自分の適性に応じた仕事を探そうと呼びかけています。
 著者は1日12時間、毎日、何年も文章を書いているそうです。
 
 自分の定年退職後の感想です。
 『世のため人のためと自分に言い聞かせながら長いことがまんして働いてきたけれど、ふりかえってみれば結局、お金のためだけだった』(ただ、結果的には社会貢献できたということはあります)
 なにをするにしてもお金がいります。
 衣食住にかかる生活費、こどもたちの教育費、住宅ローン、親の介護費用、自分たちの老後の費用、もろもろの必要経費がかかります。
 お金のために人生の大部分を費やしました。
 それは、それでいいと思っています。

 「なぜ働くのか」と考えたことはありません。
 こどものころは、両親や祖父母、親戚のおじさん、おばさん、ご近所の人たちなど、まわりにいるおとなたちを見て、人間は働くことがあたりまえだと思っていました。
 みんな働いていました。小学生のときは、こずかい稼ぎで、近所の駄菓子屋のまわりの草むしりをして駄菓子屋(だがしや)のおじさんからごほうびに5円玉をもらって、その5円玉で、そのお店で、お菓子を買いました。
 海辺近くの集落で暮らしたときは、中学校の授業が終わったあと、海の岩場でサザエやウニやワカメをとって、業者に売りにいく級友がいました。
 わたしの中学生時代は、自分の趣味で、小鳥のジュウシマツを家で飼育しており、ジュウシマツは夫婦仲がいい小鳥で、どんどん卵を産んでヒナが育って、すぐ20羽ぐらいにはなるので、増えすぎたジュウシマツをデパートの小動物売り場や、街中のペットショップに売りに行っていました。もう半世紀ぐらい前のことになりますが、その当時で、1羽を120円で買い取ってくれました。受け取ったお金は、給食費や教材代の支払い、自分のこずかいにしていました。
 高校の授業料とか修学旅行の積立金はバイト代と奨学金をあてました。
 高校での長期休み期間中は、友人の父親の紹介を頼って、その友人といっしょに肉体労働の土方仕事(どかたしごと)をしていました。朝8時から夕方5時まで働いて、一日2800円ぐらいでした。
 自分にとっては、働かないということは、どうやって食べていくのだろうかという疑問につながります。

 半世紀ぐらい前は、こどもも大人も働いていました。こどもは、昔は労働力でした。義務教育だから働かないというのは、労働基準法とか児童福祉法などの法整備と世の中の人たちの意識がこどもは、だれもかれもが勉強、勉強、進学、進学となってからです。勉強しているから働かなくてもいいというのは、新しい世代の人たちの思考だと思います。
 半世紀以上前の中学生は、農家のこどもは、田植えや稲刈りの時は学校を休んで家族と農作業をしていました。漁師のこどもは船をこいで沖に出て親の手伝いをしていました。

 本の帯には、優良図書みたいな宣伝文句が並んでいます。
 不思議です。
 こういう本が必要な時代だということは、昔と比較して人間の気持ちのもち方が弱くなっているという証拠のような気がします。

 前置きが長くなってしまいました。
 読み始めます。

(1回目の本読み)
 わたしは、実用書を読むときは、まず、1ページずつ、ゆっくり最後のページまでめくります。
 おおざっぱな、流し読みです。

 マンガストーリーやイラストの部分がたくさんあります。
 こどもさん向けです。
 
 不登校だったという中学2年生男子がいます。東京にある私立の進学校(中高一貫でしょう)から母親の実家がある広島県内の中学校に転校して、今は通学しているようです。
 (わたしは不思議なことがあります。最近は、学校に行きたくないなら無理して行かなくていいんだよと言われています。そういうことを口にする他人は、自分に実害がないからそれでいいでしょうが、親は困ります。学校とつながりがあるうちは学校関係者に相手にしてもらえるでしょうが、学校を卒業してどこの組織ともつながりがなくなったら、そのあとは、永久に引きこもりになってしまう可能性があります)

 この本には、私立中学校で不登校だったハヤトの両親がいます。
 ハヤトのおばさんがいます。
 ハヤトのおばあさんがいます。
 ハヤトの友だちがいます。
 おばあさんが飼っているねこがいます。
 本屋の店長がいます。

 『仕事』を解説する文章があります。
 基本は『世のため人のため』です。
 自分のことばかりを考えると、仕事を辞めたくなります。
 仕事をすれば、必ず、自分はだれかの役に立っていることに間違いはありません。
 もうひとつ付け加えると『仕事は楽で、給料が良くて、休みが多ければいい』とだけ思って働いていると不祥事(ふしょうじ。信頼失墜行為(しんらいしついこうい))につながります。
 事件や事故が起きます。
 『世のため人のため』という動機付けをしっかりして、法令やマニュアル(手引き)を守って、まじめに働くことが、自分の身を守る秘訣(ひけつ。コツ)です。

 自分はおとなからこう教わりました。
 仕事は、辞めてはいけない。
 相手から辞めてくれと言われたら考える。でも、それでも辞めない。しがみつく。
 そういう気持ちをもって働くのが仕事をするということだ。
 (労働を提供して、お金をもらって、もらったお金を生活費にあてて、結婚して、家族をもって、こどもを育てて、命を代々つないでいく)
 生き物の本能です。(生まれつきの行動様式)

 『お金』の話が出ます。
 本でのお話は、生涯獲得収入につながっていくと思います。
 参考に、以前読んだ本をここに紹介しておきます。
 『将来が見えてくる! 日本の給料&職業図鑑 Special 宝島社』
 正社員である一般的なサラリーマンひとりの生涯獲得収入は、手取りだと2億円前後ぐらいに感じます。
 生涯獲得収入を増やす秘訣は、無職の期間をできるだけ短くすることです。細く長く、線香花火のように稼ぐことです。打ち上げ花火のような人生を送ることは、恐怖感(スリル)を伴います。

 大学を卒業していても無職の人はいます。
 学歴があって、五体満足で、口が達者でも働けない人もいます。過去に何かを成し遂げたことがあるという実績がない人です。
 長い人生を生きてきて、学歴は、資格が必要な一部の職種を除いて、あっても意味がないような気がしました。リタイアすると学歴はなんの意味もありません。(本の184ページに似たようなことが書いてありました。勉強ができるからといて、仕事ができるわけでもありません。仕事でけっこう稼いでいる大人でも、漢字の読み書きがおぼつかなかったり、計算がにがてだったりする人は多いです)

 お金がほしかったら、共働きは必須です。
 夫婦で協力してがんばらねばなりません。
 こどもたちが大きくなって就職すると、家族全員が働いていて、世帯全体の合計収入がびっくりするほど大きくなる時期があります。

 うーんとたくさんお金が欲しかったら、雇われ人ではだめです。
 雇われ人は、税金を始めとして、社会保険料などをたくさん、長年とられ続けます。稼いでも稼いでも国家や自治体などにとられ続けます。かなりの額です。あわせて、家賃や住宅ローンも負担が重い。家賃や住宅ローンがなければ、生活費のやりくりはかなり楽になります。

 自営業で社長という立場の経営者になって、人を使う側にならなければ大きなお金はもうかりません。
 そのかわり、24時間365日、仕事のことが頭から離れません。広い人間関係も必要になります。必要なことには、たくさんお金をつぎ込まなければなりません。

 ふつうは、自分が好きなことは仕事にしません。(本の79ページにそんなことが書いてありました)
 好きなことは、仕事の合間の気晴らしのためにとっておきます。
 お金のために自分ができることを仕事にします。
 自分が好きなことを仕事にしている人は、たぶん、そのことだけしかできないから、そのことを仕事にしているのだと思います。一芸(いちげい。ひとつのこと)に秀でた(ひいでた)人は、一芸以外のことはできなかったりもします。

 『適正』というものは、やってみないとわからないということはあります。
 自分には向いていないと思っていたことが、やってみると、案外自分に向いていたということはあります。

(2回目の本読み)
 「はじめに」で、中学生・高校生のためにこの本をつくりましたというメッセージがあります。
 最後のほうには、おとなも読んでくださいというような文脈があります。
 うーむ。ポイントをしぼったほうがいいのではないか。
 おとなには、おとなが読むこのジャンルの本があります。自己啓発本とか、発達障害対策本とか。

 最初に主人公ハヤトの挫折があります。
 小学5年生から受験勉強を始めて、私立の中学校に合格したけれど、まわりは秀才ばかりでついていけず、不登校になった。東京から母親の実家がある広島県内に引っ越しして地元の中学校に通うことになった。母と祖母と叔母と4人ぐらいをしている。父は仕事のために東京に残った。
 ちょっと暗い話です。
 実家の家業を継ぐとか、もともと引き継ぐべき大きな財産がある家のこどもさんが、将来のために行くのが私立学校のような気がします。
 単なるサラリーマンを目指すなら、私立学校へ行く必要もないような。お金がかかります。
 大企業の幹部になっても、雇われ社員では、莫大な財産を手にすることはむずかしい。ほんの少数、ひと握りの人しか幹部になれる枠がありません。
 競争は激しく厳しい。だれかひとりが笑うために陰ではおおぜいの人が泣きます。人を踏み台にして、のし上がるのです。
 勉強も仕事もがんばりすぎて、メンタル病になったら残念です。

 需要があるから(ニーズがあるから)サービスの提供があり、お金が動きます。

 本には、職種のことがいろいろ書いてあります。
 大きな組織には、いくつもの部署があり、それは、会社の業種が違っても同じパターンです。
 事務職と技術職、営業職などがあります。
 人事・労務管理を担当する:総務部とか総務課とか。
 組織のお金を管理する:財務部とか経理課とか。
 商品の販売を担当する:営業部とか。
 技術開発を担当する:研究職とか。
 福祉関係、建築・土木関係、交通、電気、水道・下水道、広報、いろいろありますが、業種が違っても裏方で組織を支えていく人たちの事務や技術の仕事のパターンは同じです。地味ですが必要な業務です。
 機械、機器、輸送関係、農林水産業、建設、教育、政治、経済、観光、商業、法務、公務、各種管理業務、今思いつくのはそんな業種です。

 本では『仕事を通じての人のつながり』が強調されています。

 お金の話があります。
 本には書いてありませんが『会社のお金を自分のポケットに入れてはいけません』
 いわゆる横領(おうりょう。横取り)です。
 現金を見ると、自分のポケットに入れたがる人がいます。ほかの人のお金です。罪になります。

 ついでに、忠告としていくつか書いておきます。
 セクハラ行為をしてはいけません。
 とくに、男子の頭の中はエロでいっぱいです。
 がまんしなければなりません。
 今どきは、録画や録音がはやっています。証拠が残ります。
 やばいです。
 パワハラやいじめもやばい。自殺とつながると責任は重い。遺族に復讐されます。
 相手が死に至らずとも、一生うらまれます。相手の人格(人間性)を否定しないことが自分の身を守ることにつながります。

 個人情報の漏洩(ろうえい。もらす。流す)もアウトです。
 仕事をしていると見たくもないけれど、顧客や社員という他人の情報が目に入ってくることがあります。家族構成とか、経済状態とか、そのことを外部に漏らすとトラブルにつながります。働く人には、守秘義務があります。

 この本にはきれいごとしか書いてないので、出てくる人たちは善人だけです。
 現実社会には、組織の外部にも内部にも、人をだまして、人からお金をまきあげる人がいます。
 瞬間的につじつまの合う嘘をつける人がいます。
 働くときには、注意しましょう。

 法令や規則の範囲内にいることを心がけながら働きましょう。
 自分自身の身を守るためです。お金がらみの贈収賄(ぞうしゅうわい。業者からたくさんのおこずかいをもらって、えこひいきをする)はよくあることです。
 努力すれば安全な範囲内にいることができます。警察に捕まったら家族も泣きます。

 本では『家計簿』の話が出ます。
 自分のお金の管理ができない人は、会社のお金の管理はできません。

 体験者として書くなら、住宅費における家賃の負担は重い。
 家賃がないと家計はずいぶん楽になります。
 分譲マンションより戸建てのほうが、住宅の維持費がかかりません。
 分譲マンションは、住宅ローンに加えて、管理費、修繕積立金、駐車場代がかかります。けっこう大きな金額です。戸建ては、駐車場代はいりません。外壁塗装は10年過ぎぐらいのペースでやればいいです。大事に長く家を使う気持ちが節約の秘訣です。固定資産税は、家賃ほどの重い負担にはなりません。豪邸は別でしょうが。

 この本では、人生の三大出費として『教育』『住宅』『老後』と示されています。
 自分たちの祖父母世代は、義務教育だけで就職して、同じ戸建てに何十年間も住み、七十代後半で、病気で亡くなっていきました。両親世代はもっと長生きですが、似たようなパターンです。
 結婚しない。こどもはもたない。親が所有している家に住み続けるとなれば、お金は残ります。さきほど提示があった『(こどもの)教育費』『住宅』の費用がいりません。ただ、自分自身の老後が心配です。加齢に伴って、自分で自分のことができなくなったらどうしょうという心配事が生まれます。自分が死んだあと、財産が残っても相続する人がいないとどうなるのだろう。わたしには、わかりません。

 この本では『よくない働き方』が示されています。
 長時間大量の仕事をさせられる。あるいは、する。
 無意識に、ロボットのようになって、人間の感覚がなくなって、麻痺して(まひして)働き続ける。
 廃人になってしまいます。(通常生活が送れなくなる)
 ただ、世の中は『比較社会』ですから、それぐらい働いて、とびぬけた印象を上層部に与えないと、出世できないということはあります。(上層部のポスト(地位)に就く(つく)のは、つまりは、弱肉強食の生き残り合戦のような競争社会なのです。淘汰(とうた。ふるいにかけられて選別される)されていくのです。

 『子育てをしながら働く夫婦』について書いてあります。
 朝、散歩をしていると、保育園に行く親子連れを何組か見かけます。
 ちびっこがママといっしょに歩いていたり、パパがこぐ自転車の後席シートに座っていたりします。車で保育園まで送迎しているファミリーもいます。午前7時から午前7時30分くらいの間によく見かけます。散歩をしながらちびっこに『がんばれ!』と心の中で声をかけます。お金を貯めるのには、苦労が伴うのです。(ともなう)
 たいへんなのは、10年間ぐらいです。あとは、楽になります。熊太郎じいさんも給料が安かったので共働き子育て体験者です。
 
 66ページに働く人の声があります。(ほかのページにもたくさん書いてあるのですが、ひとりの人が全部を書いたような文章パターンになっています。読んでいて変化がなく楽しめません)
 コメントは、最初に、コメントする人の職業と年齢を示したほうが理解しやすいです。
 この本では、働く人のコメントの最後にカッコ書きで職業と年齢が記されています。
 全体的にこの本はこのパターンで、主従が逆転したレイアウトがされている印象がありました。
 構成として、マンガが先にあると本当に読みやすいのだろうか。つくり手側の思い込みではなかろうか。情報がいっぱいあって、かつ重複していて読みにくかった。マンガと文章とイラスト部分はページを分けてもらったほうが見やすいし読みやすいです。

 『章(しょう)』ごとに、まずマンガがあって、そのあとにイラストと文章説明があります。
 中学生の職場体験があります。
 中学生ぐらいだと、就職の話は、まだ遠い。
 なんというか、働いて、税金を払う立場にならないと、働くということがどういうことなのか、なかなか理解しにくい。お金をもらって、稼いだお金を使わないと、働くという実感は湧きません。
 中学生はまだこどもです。そういう点では、昔のように、まず実技(働く、家の手伝いをしてこずかいをもらう)をしながら本で学ぶという方法がわかりやすい。

 おとなの世界で働いているこども(タレント、芸能人、ミュージシャン、ダンサー、棋士、モデル、スポーツ選手など)がいます。企業や団体組織のお金もうけの『広告塔』の役割を与えられることが多い。企業等の宣伝マンです。本人や周囲がしっかりしないと、相手のいいように利用されてしまいます。老若男女不特定多数の目にさらされて、さらし者にされてしまいます。ときに本人の心が壊れます。いいことばかりではありません。
 スターとなるこどもたちは、人生の前半で、与えられた『人生の運』を使い果たしてしまう人たちです。
 人生は山あり谷ありで長い。
 最初に山を上りつめると、あとは下るだけです。できるだけゆるやかにくだったほうがいい。
 健康管理が大事です。
 きちんと三食食事をとって、睡眠も十分にとって、規則正しい生活を心がけます。
 最近は入浴しない若い人が増えていますが、入浴はしたほうがいい。

 喫煙はやめたほうがいい。喫煙は、職場でトラブルの原因になりやすい。社員も顧客も喫煙嫌いの人は多い。雇う側が喫煙場所を用意するのもたいへんです。後片付けや清掃をしてくれる人の人件費もかかります。

 保育士の仕事が出ます。こどもが好きだから保育士になりたいそうです。
 保育士は、子どもの命を預かるという非常に責任の重い仕事です。
 一般的に、もめごとが起きたときにお金で解決できる仕事はまだ安心なほうの仕事です。
 生きるか死ぬかで、サービスを提供する相手が亡くなったり、相手がケガをして、もうもとの体に戻せなくなったりすると、大変なことが起こります。
 原因をつくった人は、一生その苦しさを背負って生きていくことになります。
 物事を表面だけで見て、楽しげでお金になる仕事と判断することは誤りです。
 
(つづく)

 161ページまで読みました。
 なにかしら、内容についてですが、視点が反対ではなかろうか。
 大多数の職を考えるのではなく、少数の職種を例示してあります。
 人間には個性があるのに、標準的で無個性な、AI(エーアイ。人工知能)アンドロイドロボットをつくるようなニュアンス(感覚)の記述に思えます。教科書を読むようです。
 この本は、ボリュームがありすぎます。
 教科書として、4月から7月まで、一週間に1回か2回、授業で使用するような本になっています。

 一般的には、第一次産業(農林漁業)、第二次産業(鉱工業、製造業、電気・ガス業、建設業)、第三次産業(小売業、サービス業)があって、大多数の国民は、その他おおぜいで働く職業で生活しています。
 こちらの本では、マンガ家とか、スポーツ選手、医師、書店員(本屋も減少しています)、テレビ、インターネット関係、フリーランス(組織に所属しない労働者)、マスコミ関係、海外で働くなど、一般人があまり目指さないような職種について書いてあります。あわせて、精神論があります。精神論は大事ですが、繰り返し、何度も類似の記述が文章やイラスト、マンガで出てくると、もういいという気持ちになります。
 さらに文章量が多くて、つくり手にとっての自己満足的な、ぶ厚い情報量の本になっています。読み手は読みつかれます。文字が多い。理屈が多いです。

 仕事場における人間関係とか、マナー(礼儀作法)のことはあまり書いてありません。(後半に少し書いてありましたが、むしろその部分を最初にもってきてボリュームをふくらませたほうが現実的です)

 転職すればいいというのは、雇用する側の人間にとっては、避けてほしいメッセージです。人ひとりとるのにも、多大な時間と経費、労力が注がれています。仕事の仕方を教育する前に仕事を辞められては、雇う側は途方に暮れてしまいます。基本はやっぱり3年間は同じところで働いて実績をつくることです。欠員になったあとの残されたメンバーの苦労を知らないから簡単に辞めることができるのでしょう。欠員者の仕事は残業で補うのです。
 
 中高生に求めるのは、まずは、心身の健康管理です。
 毎日の通勤には多大なエネルギーがかかります。
 規則正しい生活習慣を日頃からつけていないと通勤ができません。

 そして自身の家計が破たんしないような金銭管理の習慣づけです。
 本にあまり出てこないのは、労働時間、労働条件、労働組合のことなどです。働くときの基盤はそれらにあります。(こちらも後半に多少の記述はありました)
 
 抽象的で漠然とした(ばくぜんとした。広くてはっきりしない)夢の記述が続きます。

 『お金』の話が出ます。
 『お金』と『自分が自分のために自由に使える時間』と、両方大事です。

 職場にいるのは善人ばかりではありません。
 いじわるな人もいるし、変な人もいます。
 複雑怪奇な人間関係の波を渡っていくには『技(わざ)』がいります。
 自分で一生懸命考えて、失敗を繰り返しながら体で学んでいきます。

 これではロボットになってしまうと思いながら読んでいたら、142ページで、本当のロボットが出てきたのでびっくりしました。
 もう人間の店員はいらないのです。
 昔を体験した人間なのでわかるのですが『電算化』は『人員削減』とセットで行われました。
 便利になると喜んでいると、人間が働くポスト(自分が働く立場)が消えるのです。その仕事をしていた人たちはマシーン(機械)に仕事を奪われて給料がもらえなくなります。職を失うこともあります。
 いいことばかりじゃありません。『共存』できることが大事なのです。

 SDGsのことが書いてあります。2030年までに達成する目標。
 ロシアとウクライナで戦争が始まって、石炭・石油エネルギー削減施策の実行も危うくなるような気がします。
 まずは世界が『平和』でないといけないのです。
 そして、AI(エーアイ。人口知能)は完ぺきではありません。過信しないほうがいい。

(つづく)

 『人生100年時代の生き抜き方』がかいてあります。
 これまでとこれからの比較図があります。
 これからの仕事量が少ない。
 老齢者には定年退職後も働けと言われているようです。対して若い世代には働きすぎるなというメッセージが見えます。もうくたびれ果てた年寄りに期待しないでほしい。

 人づきあいが広いと負担も大きい。
 親族を大事にしたほうがいい。血族、姻族を大切にします。助け合いがしやすい関係です。信頼関係も築きやすい。

 14歳ぐらいの中学生男女は反抗期です。
 自立するための反抗期です。
 自分のことは自分のやりたいように自分でやりたい。
 本の後半を読んでいると、親や教師など、おとなのいうことをよくきいて、しっかり勉強をして、いい子になりましょうという雰囲気を感じます。
 『いい子』を演じると心が壊れます。素のままでいい。(すのままでいい)
 
 186ページから、不登校のこどもさんに対するアドバイスがあります。
 親から見ての一番の願いは、こどもが生きていることです。
 小学生でも中学生でも高校生でも、親から見れば、勉強ができなくてもいいし、運動ができなくてもいいし、願いは、とりあえず生きていてほしいということです。
 本来の人生のスタートは、二十歳を過ぎてからが本番です。それまでは、心身の準備時期です。学校でなにがあったかなんて関係ありません。

 188ページにある『コミュニケーション能力とは?』のような部分を本の最初にもってきたほうがいいです。
 たいていみんな、職場の人間関係で悩むからです。

 仕事においては『立場で物を言う』ことが求められます。
 自分の頭の中で思っていることと正反対のことを顧客に言わなければならないこともあります。
 それがお金をもらうということです。
 世の中は矛盾(むじゅん。理屈が通らない。筋が通らない)ばかりです。

 192ページの『自分の人生に向き合おう』は、いいページです。
 散歩をしながらひとりで、ああでもないこうでもないと考える作業は必要です。

 マンガから続く最後付近は「自画自賛」が強すぎると感じました。

(3回目の本読み)
 130ページに『幸せに働くってどういうこと? 仕事がうまくいく人 そうでない人』の項目があります。

 職場で一番嫌われる人は、仕事をしない人です。
 しなかった仕事は、ほかの人がしなければならなくなります。ほかの人にとっては『負担』となります。人の仕事をやってあげても、給料に反映されないこともあります。たいへん迷惑です。

 承認欲求:いいねと言われたい気持ち

 不登校の記事部分で思ったことです。
 いじめを受けたから不登校になった。
 なんとなく、行きたくなくなった。
 そういうことを聞かされるとなんともいえない気持ちになります。
 主体が自分ではないのです。人のせいにしているように聞こえるのです。
 そうだねとは言えないのです。
 いじめるやつには、こぶしをあげて立ち向かっていきます。
 大声をあげて、相手に怒りを表現しないと、相手の攻撃はやみません。
 自分を守るために戦います。(ウクライナの大統領のようにならねばなりません)
 案外戦ってみると相手は弱かったということもあります。
 いま思い出したのですが、自分が小学2年生のころ、同じクラスに、わたしを汚いとか、まぬけだとか、ばかにしていた男の子ふたり、女の子ふたりがいました。
 体育の授業で、すもう場ですもうがあって、わたしはその4人全員に勝ちました。なんだこいつら、弱いじゃんか、と思いました。4人はわたしに負けて、いいわけばかりしていました。

 行きたくないから行かないは、こどもです。
 やりたくないからやらないというのは、こどもの行動です。
 やりたくないことを、やらなければならないから、がまんしてやるのがおとなです。
 悩む思春期を克服して、こどもはおとなになります。

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