2022年08月08日

そして、バトンは渡された 邦画

そして、バトンは渡された 邦画 2時間16分 2021年 動画配信サービス

 本は読みました。
 『バトン』は、こどもさん(優子)です。
 本の感想メモを見返しましたが、どうも、自分には合わない内容だったようです。
 さて、映画のほうはどうなりますか。

 時間帯のうち始まってからの長い時間帯は退屈で、同じパターンの繰り返しで、出てくるのは、ほぼ善人ばかりで、なんだかなあという雰囲気でしたが、映画全体の4分の3を過ぎたあたりからの長いラストシーンはそれなりに感動して涙しました。手紙の交換話です。長いラストシーンは、力(ちから)を出し尽くした感じでした。
 辻村深月(つじむら・みづき)作品『朝が来る』とか、邦画『幸せの黄色いハンカチ』と同じ路線上にある作品と感じました。愛情物語です。黄色いハンカチの代わりが、赤いリンゴだと推察しました。
 児童福祉の話が最初の1時間、それからが恋愛話に変わって、最後は、児童福祉の話でまとまります。サンドイッチ作戦ですな。
 ああ、こういう物語を書いてみたい。

 原作を知らないとややこしくて、わけがわからないかもしれません。
 時間軸が頻繁に変化します。現在から過去へ、過去から現在へが繰り返されます。
 「時」を変えて、シーンがパッパと変わります。

 梨花(りか)さんが、話を引っぱっていきます。目的のためには、手段を選ばない魔性の女と呼ばれますが、梨花さんは、とんでもなく善人です。わけあって、他人の娘のために生涯を捧げます。(子宮の病気でこどもを産めなかった)
 梨花さんの世話になる優子さんは、男をもてあそぶ女、いつも笑顔のある人と呼ばれたりもします。優子さんが『みーたん』と呼ばれるのは、生まれて最初の名字(みょうじ)が「水戸(みと)」だったからでしょう。

 優子の親が、いろいろと事情があって変わるわけです。
 自分が思うに、小学生で一番大切なことは『生きていること』です。勉強ができるとかできないとか、運動ができるとかできないとか、そういうことは横に置いといて、親にとって、自分のこどもである小学生についての一番の願いは『生きていること』です。死んだらだめです。

 子役さんの演技が上手(じょうず)です。主役の子役さん以外の子役さんの演技もじょうずです。

 設定は、ありえないことです。
 実父がブラジルへ行くと言えば、こどもはわけもわからずブラジルへ連れて行かれます。
 継母は、ほかの男を探すでしょう。

 優子の大学進学拒否の姿勢がいい。
 学歴よりもお金が欲しい。
 学歴が欲しかったら、お金をためてから大学へ行けばいいのです。
 料理が好きだから、料理の仕事がしたい。親がいないから、早く社会に出て、自立して自活していきたい。(あたりまえの理屈です)

 高校教師の言動は不可解でした。
 本人の希望に沿わない進路指導はしてもらわなくていい。

 早瀬君は、プロのピアニストにはなれません。
 プロのピアニストになる人は、一日中ピアノを弾いています。ピアノ以外のことはしません。(番組「徹子の部屋」に出ていたピアニストの人がそう言ってました)

 親って何? を考える映画です。
 
名言として
 『笑っていれば、いろんなラッキーがやってくる』(亡田中梨花さんの言葉)
 『本当の親なら(実親なら)けんかができる(元の関係に戻れる)』(優子さんの言葉)
 『義理の親のほうがいい。(実の親でも「毒親(こどもの人生を支配する。こどもに害がある親)」がいるという意味合い)』(優子さんの夫早瀬くんの言葉)
 
 まあ、親なんて、あてにしないほうがいい。
 人生の前半、15歳ぐらいまで、あるいは、18歳ぐらいまでの短期間に世話になる人たちです。
 親離れ、子離れして、孫が生まれると再び合流するのが一般的です。

 まあ、演技です。
 他人同士の役者さんたちが、演技をしてメッセージを見ている人に伝えます。
 優子さんは、ピアノが弾けるような指さばきではありません。
 男子が音楽大学をやめるわけですが、お金が続かなくて音大を辞める人はいるかもしれませんが、音大の雰囲気がイヤで辞める人はいないような…… 音楽に包まれた毎日は、きっと楽しいはずですから。

 まあ、登場人物のみんなが極度にいい人ばかりです。
 
 優子さんは結婚するわけですが、人生はそこからがかなりきつい。
 はるかに長い。
 結婚は、ゴールでありスタートでもあります。
 子育ては、気が遠くなるほどの忍耐の積み重ねです。
 家族全員永久に健全な状態ではありません。
 病気やケガ、事故や事件に巻き込まれるのがたいていの人生です。障害物を乗り越えていくのがたいへんです。

 最後のほうのバス車内シーンは、太川陽介さんとえびすよしかずさんの路線バスの人情旅シーンと重なりました。

 お葬式は、お花がいっぱいあったほうがいい。


(2018年のときの読書メモ)
 そしてバトンはわたされた 瀬尾まいこ 文藝春秋
 ややこしいお話です。
 主人公は、「優子」 という女性で、今は、17歳高校2年です。
 名前は、「優子」 ひとつですが、苗字が、転々と変わっています。
 実父が、水戸秀平、実母は、優子が3歳のときに交通事故死しています。水戸秀平は、田中梨花(秀平より8歳年下)と再婚します。この時点で名字は(みょうじは)「水戸優子」 です。
 その後、水戸秀平と梨花は離婚して、水戸秀平は海外赴任でブラジルへ単身行ってしまいます。そこで、どういうわけか、田中梨花が優子を引き取って、(養女かもしれない) 優子は、水戸優子から田中優子(梨花が旧姓に戻る。)になっています。実父は、育児を放棄しています。親の勝手です。仕事より家族を優先して選択すべきです。仕事最優先の人は家族をつくることはあきらめたほうがいい。
 そのあと、まだ、169ページ付近を読んでいるのですが、田中梨花は、泉ケ原という男性と結婚するようで、その時点で「泉ケ原優子」 になります。さらに「森宮優子」 になるわけですが、理由はまだ読んでいないのでわかりません。
 苗字が、「水戸」 → 「田中」 → 「泉ケ原」 → 「森宮」 と変わります。
 実父が「水戸秀平」、継父が「泉ケ原なんとかさん」、同じく継父が「森宮しゅう(東大卒民間会社課長職)」
 実母が「水戸なんとかさん」、継母が「(森宮・田中・泉ケ原)梨花」
 父親が3人、母親が2人とあります。家族の形態が17年間で7回変化した。
 読んでいて、奇異な設定をしすぎではないだろうかと。

 最初の1ページで、「かつ丼、ドリア、オムライス、ハンバーグ、オムレツ、バター、牛肉、卵」 と、大量の料理と食材の記事が登場します。そういえば、同作者の作品を以前読んだことがあります。「ぼくらのごはんは明日で待っている」 でした。食べ物作家さんです。

 悩み事がない(親がいないことは悩みの原因にはならない。) から始まります。
 学校小説です。おとなになった今思うことは、学校生活から得るものはないということです。
 他人と暮らしているのに、「家族」 とするのか。読んでいて、つらくなる出だしですし、その後も暗い雰囲気は続きます。
 こうであるといいなという理想が書いてあるのか。心情は、女子向きの小説です。
 お金がないほうが、人間は強くなれる。
 母なし、父なしの暮らしはせつない。

 構成として、手作り感があります。第1章が281ページまで。第2章が372ページまで。ふたつの章の分量がかなり違います。それから、第2章は、セリフの連続です。台本のようになります。まだ、読んでいないので、どのような読後感をもつか楽しみです。

(つづく)

 ピアノをどうして優子は弾けるのか。 この暮らしのどこで、3年間もピアノ弾きに没頭できたのか。
 第1章を読み終えました。本作品は、高校生向けの課題図書(読書感想文)になるのではないかという予感をもちました。あたるかどうか、わかりません。高校教室モノで、ピアノが出てきて、合唱で、合唱コンクールの様相が出てきます。

 お金があって、大きな家があって、温厚な人たちが家族で、それでも、ストレスがたまる。堅苦しくて、楽しくない。
 言いたいことを言い合えるのが家族。

 「退屈すぎて死にそう」 と泉ケ原梨花さんは嘆きます。
 
「(実の父親は女子高生にとって) 不潔で、厄介」 そうでしょう。

 森宮壮介35歳を優子15歳が「おとうさん」と呼ぶことはできない。

 うーむ。こういう設定って、成立するのかなあ。続けて、第2章を読みます。

(つづく)

 第2章を、つまりは全部を読み終えました。

 実父というものは、娘が、どんな男を連れて来ても、結婚相手として、だめだとは言えませんし、言いません。それが、愛情です。ですので、この物語の場合、そうではないのは、実父ではないからと解釈します。

 2章全体が、過去の振り返り記述になります。どうなのかと疑問をもちました。現在進行形が記述の基本ではなかろうか。

 この作品の評価は賛否両論に分かれるでしょう。

 良かった表現の主旨として「(女性として)自分を見せることにうまくなる」「消しゴム話(けしごむばなし。実用だけでなく、おしゃれを追求する。)」「女子は笑えば3割、可愛く見える。」「(他人と暮らすことで) おじいちゃん、おばあちゃんと疎遠になる」「泣いている場合じゃない。」「曇りのない正確な音」

 調べた単語として「大地讃頌:合唱曲。だいちさんしょう」「スフレ:菓子、料理。ふわーとした円柱型の固まり。卵白の泡立ち」

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