2022年07月05日

認知症になった蛭子さん 蛭子能収 光文社

認知症になった蛭子さん 蛭子能収(えびす・よしかず) 光文社

 38ページまで読んだところです。
 状況は深刻です。
 ここまでは、えびすよしかずさんの奥さま蛭子悠加さん(えびすゆかさん)の苦悩が綴られています。
 奥さまは、離婚を考えていたこともあるそうです。
 テレビを見ている自分は、えびすさんは、気楽なキャラクターの人なので好感をもっていましたが、夫婦としていっしょに暮らすとなると話が違ってくるでしょう。
 へんな話ですが、(えびすさんは、いいかげんなところがある)いっしょに仕事はしたくないけれど、そばで見ているだけの関係でよければ親しくなりたい人っています。

 えびすさんは、認知症以前に自己中心的、自己本位な性格の方です。(本書中では『自分ファースト』と表現があります)そのキャラクター(個性)が『太川陽介&えびすよしかずのローカル路線バス乗り継ぎ人情旅』では、力いっぱいおもしろさが発揮されていて、映像を見ていて楽しかった。
 えびすさんは、いいかげんといもいえるキャラクターに重ねて、今回、認知症を発症されたわけですから、奥さまである蛭子悠加さん(えびすゆかさん)はたいへんです。

 えびすさんは、もともと、ぼけているふうでした。
 この本を読んでいると、認知症がひどいので、もう、あの路線バスで、えびすさんが活躍していた時代は戻ってきそうにありません。
 ドラえもんの声優だった大山のぶ代さんの顔も頭に浮かびました。大山のぶ代さんも認知症になられてしまいました。

 自分には、認知症というのは、脳みその中でたんぱく質がどうかこうかして、脳細胞が死んでいくというぐらいの知識しかありません。
 先日、テレビだっか、ラジオだったかで、さきざき認知症になる人が700万人ぐらいになりそうだといっていて驚きました。そのなかに自分が入ってはいけません。そして、自分の妻も入ってはいけません。(読み進めていたら、本書の40ページに類似の記事がありました)
 されど、いっぽう、自分たちが認知症になったとしたらということも考えておかなければなりません。あまり考えたくありませんが…… 準備は必要です。
 長生きはしたいけれど、できるだけ普通な心身で長生きをしたい。

 そんなことをもんもんと考えながらこの本を読んでいます。
 えびすさん本人が書いたとか、語ったというよりも、ここまでは、えびすさんのそばにいる人たちが、現在の状況を教えてくれているというふうです。
 おそらく、いろんな人の話を聞いて、編集者がまとめているのでしょう。

 2007年(平成19年) 結婚。週刊誌『女性自身』のお見合い企画で縁があった。奥さまは、漫画家のえびすよしかずさんのファンだった。
 えびすさんより19歳年下です。えびすさんの前妻だった方は、2001年にご病気で亡くなっています。

 2014年(平成26年) 軽度認知障害と診断される。人の話を聞かない。他人に興味がない。人の名前を忘れる。毎晩のように離婚の話し合いが続いていた。

 2017年(平成29年) 夜中に奥さんを叩く。(翌朝えびすよしかずさん本人に記憶なし)レム期睡眠行動異常症。レム期:脳が活動している。ノンレム期:ぐっすり眠っている。

 2020年(令和2年) アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症(幻視あり)を併発していることが判明した。

 奥さまは、えびすさんを『よっちゃん』と呼びます。

 結婚後はケンカが多かったそうですが、夫婦ゲンカは必要です。
 ケンカしてお互いにどこかの線で折り合いをつけます。
 いいこともあれば、そうでないこともあります。
 それが夫婦です。

 異常発汗、夜間頻尿(やかんひんにょう)、お風呂でお湯の出し方がわからない、シャンプーがどれかわからない、4回も5回も頭を洗い続ける。風呂上がりに体をふかずに濡れたまま下着を着用する。異常な言動が、まだらぼけのように現れます。正気(しょうき。まとも)になったり、おかしくなったりです。
 だれもいないのに人が見える。デパートの売り場を電車が走っている。洗濯物のカゴが妻の倒れた姿に見える。
 世話をしている奥さまのほうも夫の世話をする負担が重たくて、精神状態がおかしくなっていきます。充分な睡眠をとることができません。
 えびすさんが外で道に迷う。家の中でトイレがどこにあるのかわからなくなって迷う。バス旅のことを妄想のように言う。
 
 奥さまは『ありがとう』という言葉に救われています。
 えびすさんは、長いこと、奥さまに『ありがとう』と言ってくれたことがなかったそうです。
 病気になって、えびすさんの口から奥さまに『ありがとう』と感謝の声かけが始まったそうです。

 えびすさんに、認知症という病気を理由に仕事を減らしてやめてもらおうとしたら、本人の気持ちがものすごく落ち込んだそうです。
 その経過のなかで、仕事をやめることは、心身によくないので、このまま仕事を続けるという結論を出されたそうです。ご立派です。

(つづく)

 良かったフレーズです。(文節)
『介護は……マラソンレースのようなもの。100メートル競走のつもりで走り続けたら、いずれ燃え尽きてしまいます』

 認知症になったとして、身の回りの世話をしてくれる配偶者やこども、兄弟姉妹がいない人はどうするのだろう。
 お金がなければ、法令等に基づいて、行政等が助けてくれるのでしょうが、お金があって、家族等がいなくて、本人に自覚がないまま本人が認知症になったときは、どうするのだろう。
 なかなかむずかしいものがあります。悪徳商法の餌食になってしまいそうです。

 認知症の人は働けないのかという問題提示があります。
 えびすさんには、働きたいという強い意思表示があります。
 『稼ぎたい(かせぎたい)』のです。
 えびすさんの不思議なところは、稼ぎたいと言っているわりに、いくらギャラをもらっているのかも、家に貯金がいくらあるのかもご本人は知らない。気にしていないというところです。奥さまが管理しています。いいだんなさんです。
 今どきの高齢者がこどもの頃に受けた教育として『とにかく働く』『貯える』『倹約する。節約する』というものがあります。小さなころに教え込まれたことが魂(たましい)として体に植えつけられているのでしょう。
 認知症の人でも働ける範囲で働くことはできるし、癌の人でも、癌だから働いてはいけないということもないのでしょう。

(つづく)

 次は、えびすさんの芸能事務所マネージャーさんのお話です。森永さんという方です。本のなかでは、16年間のふたりの付き合いだそうです。(本は2021年の発行です)
 今は、42歳ぐらいの男性です。ちなみには、えびすさんは、現在は74歳です。
 2018年ころから(本人が71歳ぐらいから)物忘れがひどくなられたそうです。

 62ページにえびすさんが腕時計を5分間進めている話が出ます。
 路線バスの旅で、太川陽介さんがそのことを指摘してきちんと時刻を合わせて、本人が混乱したシーンがありました。
 以下、その番組を観た時の自分の感想記録の一部です。
『太川陽介&えびすよしかずのローカル路線バス乗り継ぎ人情旅 第3弾 北海道函館から宗谷岬 2008年(平成20年)ロケ分 動画配信サービス』
 太川陽介さんに指摘されて、時刻が間違っているえびすさんの腕時計の針を正しく直したら、以降、えびすさんは、時刻を間違えてばかりいた。(腕時計はもともと意図的に時刻を進めてあった)えびすさんは、さらに時間の感覚がおかしくなって、バスセンターの構内で、おそらく、ロケ撮影を見ていた一般の人たちも巻き込んで、爆笑の渦に包まれていました。一般の人たちの姿は映っていませんが、まわりにいるみなさんが大笑いされているようすが、映像から伝わってきました。えびすよしかずさんはおもしろい。』

 経歴です。
 1986年(昭和61年) 漫画家をしながら柄本明(えもとあきら)さんの劇団「東京乾電池」に参加。当時えびすさんは39歳です。タレントとしてテレビに出演し始める。
 1998年(平成10年) かけマージャンで逮捕されてしまう。3か月間謹慎。51歳ぐらいのとき。
 2007年(平成19年) ローカル路線バス乗り継ぎの旅シリーズ開始で人気者になる。60歳ぐらいのとき。

 自分の記録だと2019年(令和元年)が、太川陽介さんたちとの最後の路線バス乗り継ぎの旅でした。
『太川・蛭子の旅バラ最終回スペシャル 路線バスの旅 奥州山脈攻略の旅 テレビ番組』
 福島県郡山から山形県銀山温泉までの路線バスによる乗り継ぎ旅です。
 加藤紀子さん:しっかり者の感じ。山形観光大使をしていた。
 さとう珠緒さん:以前出演した時に2万キロ歩いたと話あり。(じっさいは2万歩歩いた)
 熊切あさ美さん:(タクシーの中で、自分たちが行き先を告げたのに、運転手に)わたしたちは、どこに向かっているんですか。ゲストは以上の3人でした。
 えびすさんは、当時72歳でした。
 (この本を読み続けていたら194ページにそのことが出てきました)
 
 えびすさんが、人生で大切にしているものとは『オッパイと競艇』だそうです。
 オッパイは、奥さまのオッパイです。ギャンブルはやるけれど、今は競艇だけということはどこかで聞きました。
 言葉は過激ですが、家庭、とくに奥さん、そして、趣味としての競艇が好きなのです。
 
 森永マネージャーの認知症だったおとうさんのお話も出てきます。
 わりと、認知症の人は身近にいます。
 近所にいたり、この本を読んでいる読者の身内にもいたりします。珍しい事ではありません。
 突然認知症になるのではなく、予兆のようなものがあります。
 家に閉じこもって、食が細くなって、話し相手がいないとやばいようです。
 まともなときとおかしなときが交互に現れて、最後はおかしなことだらけになるという経過をたどるようです。
 
 えびすさんは佐良直美(さがらなおみ)さんの歌が好きで、マネージャーさんが車の中でかけるそうです。なつかしい。こどものころに聞きました。「世界はふたりのために」というヒット曲でした。「いいじゃないの幸せならば」もありました。
 このあと読んでいた115ページにご本人から別の曲名が紹介されていました。「私の好きなもの」(YouTubeで聴いてみました。こどものころに聴いたことがあるのを思い出しました。ボサノバ(南米ブラジル生まれのリズム)のリズミカルな歌です)

(つづく)

 次は、2002年の暮れ(前妻死去後)からえびすさんを担当している雑誌「女性自身」山内記者のお話です。「蛭子能収のゆるゆる人生相談」のコーナーを担当されているそうです。
 これまでの方も含めて、ご自身のご家族、ご親族に認知症の方がおられて、そのこともからめてお話が出ています。
 今この本を読んでいる自分自身にも世話をする方の立場としての体験があります。読んでいて、共感できることが多い。
 
 えびすさんのキャラクターについて書いてあります。
 どちらかといえばいいかげんそうに見える人です。
 たとえば、邦画「男はつらいよ」のフーテンの寅さん(渥美清さん演じる)と似て、見ている人が、あれなら、自分だって、社会でやっていけるとか、自分だって、俳優になれるような気がするという自信を与えてくれるキャラクターです。
 神経質に悩むことが、ばかばかしくなってくるのです。
 えびすさんの口癖が「ま、いいか」だそうです。
 救われる言葉です。

 されど、えびすさんは気配りの人だそうです。
 そういえば、路線バスの旅をしているときのえびすさんは、バスの車内でもほかのお客さんに気軽に声をかけて、雑談を楽しんでおられました。本文では知らない人との会話はにがてだとおっしゃっていますが、映像を見ていると何にでも興味をもって知らない人に話しかけていました。

 記者自身の認知症だったお母さんのお話がありのままに書いてあります。
 勇気ある発言もあります。
 両親や義父母の介護をするということは、自分や自分たち夫婦が自由に使える自分たちの時間を失うということです。もっと強く言うと、自分たちの時間を奪われるということです。
 ああしたい、こうしたい、あるいは、あれをしなければならない、これをやらなければならないということがやれなくなります。行きたい所へ行けないことも出てきます。
 そして、その状態が延々と続いて、なかなか終わりが見えないのです。
 いつまで続くのだろうかと、とほうに暮れるときがあります。
 記者は正直に「もう死んでくれ」と思ったことがありますと書かれています。わたしも不謹慎ですが「いつまで生きるのだろうか」とため息をついたことがあります。精神的にもしんどいのです。
 それが現実です。それでも、終わりは必ず来ます。

 元気でまわりに負担をかけないお年寄りなら、そんなことはないのです。
 だから、がんばって、心身の健康管理に力を入れます。

(つづく)

 104ページからは読者からの相談にえびすよしかずさんがアドバイスを送るコーナーです。
 腰痛の相談に対して、オレに相談するより病院に行ってください。ごもっともです。
 相談に対する答は、フツーなようで、フツーではありません。
 そもそも相談者は、えびすさんにまともな答えを求めていません。
 気持ちがいやされる雰囲気を求めています。
 認知症に関する相談もあります。えびすさんは、自分が認知書であるという自覚がありません。自覚がないから病気なのでしょう。
 
 労働者の基本的な意識を感じる受け答えです。
 『仕事は楽で給料が良くて休みが多い仕事がいい』
 それだけでは、生きがいを得られないので『世のため人のために働く』という動機付けをします。
 しっかりした動機付けがないと不祥事が頻発します。
 えびすよしかずさんはお金のことをあれこれ言いますが、基本的には、働くことを生きる使命(しめい。責任)と受け止めておられます。責任感が強いのです。

 えびすさんは、旅猿に出てくるお笑い芸人東野幸治さんのことを、東尾さんと呼び続けます。
 西鉄ライオンズでピッチャーをしていた東尾修さんを思い出しました。

 レビー小体型認知症:幻視。変動(ぼんやりしたり、しっかりしたり)。気持ちがへこむ。手足が震える。睡眠中に大声を出したり暴れたり。たちくらみ。便秘。
 脳神経細胞に「レビー小体」というたんぱく質ができる。レビー小体が脳細胞を壊す。

 根本敬(ねもと・たかし):漫画家。本にお名前が出てきます。

 キレる夫について妻から相談がありました。(昔は瞬間湯沸かし器と言っていました。すぐに激高(激しく怒る(いかる)のです)。
 パワハラ人間がいっぱいいます。大きな組織には必ずと言っていいほどパワハラ人間がいます。競争社会には、自分の思いどおりならないと暴れる人がいます。
 まわりの人は、そういう人が権力を握っているから黙って従っているふりをします。
 
 漫画の描き方の話が出ます。
 えびすさんは、定規を使うことが面倒くさいので、背景として、都会のビルは描かずに、山ばかり描いていたそうです。よくそれでギャラをもらえたものだと感心しつつあきれました。

 小学4年生のときにそろばんを習ったそうです。おかけで、ギャンブルの計算が得意だそうです。
 
 夫に、おしっこは、洋式トイレで座ってしてほしいという妻からの要望相談があります。
 たしかに、飛び散ります。わたしはずいぶん前から自宅では座ってします。
 ご主人も座ってやってください。

 酒もギャンブルもやらないのに貯金がないという相談があります。
 不思議です。ニコチンとアルコールをやる人は、たいていお金がたまりません。
 ギャンブルのことはわかりませんが、儲かっている人は見たことがありません。儲かったと自慢している人は、そのときの儲け以上に、これまでに損しているものです。(えびすさんはこの本の中で、これまでに1億円ぐらい負けたというようなことをおっしゃっています)
 えびすさんは、賭けマージャンで逮捕されて(レート(かけ金)はそれほど高いものではありません)テレビ出演を自粛していた時に、ラスベガスでギャンブルをやっていたそうです。まあ、病気ですな。(151ページに一時期(いちじき)週刊誌やワイドショーで話題になった検事長のかけマージャンの話が出ます。たしかえびすさんと同じレートでした)

 議員やテレビ局幹部の言動に関する批判があります。
 頭がおかしげな人がいっぱいいます。
 怒られそうですが、えびすさんの言うとおりだとも思えます。

 この先、生きていても将来に希望をもてないというような相談があります。
 生きていれば絶対いいことはあると返答されています。

 今年読んで良かった一冊です。

 夫から『ありがとう』という言葉を聞きたいという妻からの相談があります。
 『ありがとう』ぐらい言ってあげてほしい。自分はしょっちゅう言っています。それから『おいしい』も言うようにしています。

 この本は、認知症を素材にした社会福祉の本として仕上がっています。

(つづく)

 パート6まできました。
 平和島というところで、人生最後のギャンブルをするそうです。
 ボートレースです。

 えびすさんは、本は読まないそうです。本は読まないのに本を何冊も出しています。ふつう本を読まない人は、本を書こうとは思いません。
 仕事だから原稿は書けるのでしょう。インタビュー形式もあるのでしょう。
 おそらく、記者や編集者の手助けがあるのでしょう。

 この部分のコーナーでは、人生最後のギャンブルと誓いをたててボートレースに挑んでいますが、最後には、(これでギャンブルはやめる)「そんなこと言ったっけ」みたいに終わっています。
 えびすさんらしくて、いい終わり方でした。
 個人事業主のような仕事は、引退も復帰も自己申告で自由自在です。
 読み始めでは、お金を賭けずに見るだけならOKじゃないのかとも思いました。

 ボートレースって、去年・おととしあたり八百長の不祥事があった記憶です。給付金の不正受給もありました。どこも信頼を裏切られるような出来事ばかりです。うそつきは、人間の行いの本質なのでしょう。うそつきは人間の始まりなのです。

 えびすさんは、全国の競艇場に行ったことがあるそうです。
 路線バスの旅と性質が通じるものがあります。

(つづく)

 パート7は、2017年から2020年の「蛭子能収のゆるゆる人生相談」からのピックアップだそうです。

 ピラミッドや万里の長城を見たことがあるけれど、石を積み上げてあっただけだったという、えびすさんのコメントです。割り切ると悩みが消えます。
 『(自分のしまむらの商品券を奥さんに使われて)オレのモノは女房のモノ、女房のモノは女房のモノ、悲しいけれどそれでいい』というコメントもいい。
 現実的で納得できる回答が多い。
 忘れ物、心配性の人で家を出たあとすぐまた家に戻る人に対して、メモの効用を説かれています。そのとおりです。

 えびすよしかず語録ができそうです。
 『オレはほとんど買い物をしません。だってお金が減るから。何か買うぐらいだったら競艇資金にします。(そのくせ競艇では、かなり負けているふうです。157ページに奥さんから先月は21万円もまけたと叱られたという記述があります)』
 財布をもたず、ズボンのポケットに裸銭を(はだかぜに)を入れているらしい。財布の代わりが、銀行ATMのそばに置いてある銀行の封筒だそうです。(もうびっくりすることばかりです。こんな人でも働いて結婚して生活できているわけですからみなさん自信をもちましょう)
 路線バスの旅で、どこへ行ったか、ゲストがだれだっかを思い出せないそうです。どこへ行っても初めて来たという新鮮な気持ちをもてることが嬉しいそうです。(前回訪れたことがあるのに初めて来たと言う)
 ともだちなんていなくていいという趣旨の発言があります。友だちは、めんどうくさいそうです。奥さんがいればいいそうです。
 バス旅の相方太川陽介さんの奥さんがらみのトラブルの話まで出てきます。えびすさんが本能むき出しのコメントをされています。ただ、昔の人の働き方(給料が安かろうが、労働時間が長かろうがつべこべ言わずに働け)を押す強い気持ちには古い世代の人間として自分も共感します。事実は関係ないのです。太川陽介さんが「シロ」だと言ったら「シロ」なのです。事実よりも、これからも続ける信頼関係のほうが大事なのです。

 『オレは自分のこどもをたたいた経験がありません』(わたしもありません)
 『仕事は死ぬ気になってやるものではなく、死んだふりをしてやるものです』(名言だと思います。マニュアルに沿って人工知能ロボットのようになって労働者を演じればいいのです)
 『子どもとギャラは少し低く見積もっておいたほうがいいことがあるかもしれません』(同感です)
 (自分がこれから先、出たい旅番組として)『歩かないで、知らない人と会話もしないで、その土地のファミリーレストランでミックスグリルを食べて、全国各地の競艇場を巡る旅』(たしか、千鳥の「相席食堂」で淡路島を旅して、ボートレース場にも行かれました。ギャンブルの結果は、負けたと思います)

 相談として『彼氏の口癖が「死ね」です』とあります。答は、すぐ別れなさいです。(昔、ドーム球場へプロ野球観戦にいったとき、階上席からグランドの選手に向かって、「死ねー」とか「殺せー」を連呼する若い男性がいました。隣席の彼女がたしなめてもやめません。またあるときは、大相撲を観に行ったときに、やはり「ぼこぼこにしろー」とか「いてまえー」と土俵に向かって大声をあげる若い男性ふたり組を見たことがあります。いずれも脳みその中にゆがみがある人たちです。即刻、きっぱりと別れたほうがいい)

 『コロナでフリーの仕事がなくて困っている』という相談があります。アドバイスがまともで感心しました。求職活動をしながら、食事をきちんととりなさいと、規則正しい生活の重要性を説いておられます。生活の正しいリズムを常日頃からキープしておかねば、すみやかに働くことはできません。

 不倫の相談があります。不倫はするなと説いておられます。失うものが大きい。外でエッチするより家なら女房とタダでできるというのはえびすさんらしい。

 自分はがんばらないほうがいいと言ったことはないのに、世間からは、がんばらないほうがいいと言ったと思われている。言ったことはないそうです。『オレは、子どもを育てるために必死になって金を稼ぎました』と強く主張されています。

 生命保険の相談があります。
 長い人生をふりかえってみて、いらなかったなと思うもののひとつが『生命保険』です。

 読んでいると、奥さんの偉大さがわかります。
 たいしたものです。よっぽどのえびすさんファンなのでしょう。
 夫婦というものは、なにかひとつでも相手に尊敬できる部分があれば、婚姻を継続していけます。

 エッセイスト(随筆家)になるにはどうしたらいいですか? という質問があります。
 まずは日記を書きなさいとアドバイスがあります。
 的確なアドバイスです。

 30歳で女性経験がないという相談があります。(逆もあるのでしょう)
 気にするなというアドバイスのあと、自分は吉祥駅(きちじょうじえき)の近くにある井の頭公園(いのかしらこうえん)の森の中でやった。金がなかったというような思い出話があります。まあ、すごい人生相談です。

 たまに、末尾が『ま、いっか!』の決めゼリフで終わります。赤塚不二夫漫画天才バカボンのパパの『これでいいのだ』を思い出します。『これでいいのだ』と思えば、何でも肯定できて、前に進めます。

 上司にお金を貸したら返してくれないという相談があります。
 だれしも一度は体験するような知人間の貸し借りの話です。
 いやなことはいやだと言えるようになったら立派なおとなです。
 えびすさんは、ビートたけしさんがえびすさんの家に行きたいという申し出を断っておられます。

 実質母子家庭だった長崎県でのことが書いてあります。父親と兄は遠洋漁業、姉は集団就職で名古屋へ行かれています。たぶん中学を出て、蒸気機関車に乗って名古屋まで行かれた時代の人でしょう。
 家族がみんなそろって長い間いっしょに暮らせる家庭は幸せです。そうでない家も案外多いのが現実です。

 えびすさんは、募金はしない主義です。それもいいと思います。
 一度すると、何度も募金の催促が来たりもします。

 奥さんから『なめとんのか、コラ』と怒鳴られたことがあるそうです。
 奥さんのお気持ちがわかります。

 『ゴーンさんのような大富豪はそうとうなドケチだと思いますよ』
 ドケチだからお金がたまるということはあります。

 不登校の中学2年生女子について相談があります。
 自分からのアドバイスです。
 人生は自分にとって快適な居場所探しです。
 高校を卒業したらたいていは、自分の好きなところに住めます。(昔は中卒でもそうできる環境でした)
 それまでは日本各地の土地を見て、候補地を考えるのも楽しい作業です。
 最低限の読み書き計算の能力は身につけておいたほうが自分のためです。楽しいこともいっぱいあるはずです。なんとか学校へ行って、卒業はしましょう。

 クレバ:ラッパー、シンガーソングライター。えびすよしかずさんの奥さんが好きだそうです。

 ながながと時間をかけながら読んでいます。
 まあ、競艇(きょうてい)キチガイですな。

 ときどき施設に宿泊するショートステイを利用しているそうです。
 奥さんが介護から解放されて休養できるようにという奥さんのためなのでしょう。
 ご本人は施設で泊まるのはさびしいそうです。

 「おわりに」でご本人のコメントがあります。
 文章を読んでいると、認知症のせいなのか、二重人格のような状態になっている感じがします。
 日付は、2021年4月です。
 ご本人のお写真は、七福神のえびすさんか、ほていさんのようです。
 なかなかいい本でした。
 力がこもっていました。

 えびすさんの本を読んでいて思い出した本2冊です。
『ペコロスの母に会いに行く 岡野雄一 西日本新聞社』
 これは漫画で、ドラマや映画、舞台劇にもなった作品です。
『明日の記憶 荻原浩 光文社文庫』
 こちらは、だんだん記憶がなくなっていく男性のお話です。映画にもなりました。名作です。

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